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最適な樹脂材料の選び方

Injection molding materials available to Proto Labs
写真 1: Protomoldでは、製品の目的に合った強度、柔軟性、抵抗、潤滑性などの特性を備えた樹脂を選択できます。

材料データベースに記載されている商用ベースのプラスチック材料は、85,000 種類を超えます。その中には、45のポリマー群があり、それらはさらに熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂という2つのおおまかなカテゴリーに分類されます。プロトラブズでは、短納期射出成形サービスであるProtomoldで使用できる様々な熱可塑性樹脂を標準材(在庫)として取り揃えています(写真1)。また、標準材以外に、お客様からのご支給材での成形についても承っております。

このようなたくさんの材料の中から、目的のものを選ぶということは非常に骨の折れることのように思われるかもしれません。そこで、今号では射出成形で最もよく使用される材料の利点や適切な活用分野を紹介することにしました。適切な材料を選ぶことによって、製品のフォーム・フィット・ファンクション(形状・取り付け・機能)を満たすことにつながります。

以下に利用頻度の高い樹脂の利点、活用例、考慮する必要のあるポイントをまとめました。

ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

利点 : ABSは強度があり衝撃にも強いプラスチックで、多種多様な分野で幅広く使われています。収縮率は低く、寸法安定性にも優れており、酸や塩基に対する耐性もあります。ABSは、家電製品のリモコンなどに向いています。また、比較的安価でもあります。

活用例 : 外観を重視するパーツ、 ハンドヘルド機器、電子部品の筐体、リモコン、パソコン、携帯電話等

考慮点: 射出成形ではウェルドラインが発生しやすく、厚肉部ではヒケやボイドが発生し易い傾向にあります。ヒケを回避するには、ABS/PCが効果的な場合があります。

PC(ポリカーボネート)

利点 : PCは強度があり。耐衝撃性にも非常に優れた材料で、収縮率が低く、寸法安定性にも優れています。光学パーツにも使用できるレベルの透明性も備えています。PCには耐熱性もあり、外観が重視される場合の表面の仕上がりがキレイです。

活用例 : レンズ、屋内/屋外で使用する照明、携帯電話の筐体、電気電子機器、医療機器、防弾ガラス等

考慮点: 厚肉部分に、ボイドや気泡、ヒケなどが生じる可能性があり、耐薬品性が低い性質です。代替の樹脂としては不透明で良い場合はABS/PC、厚肉の形状があるパーツではアクリルがオプションとして挙げられます。

PPA(ポリフタルアミド)

利点 : PPAはナイロン類として知られ、4、6/6、6、6/10、 6/12、12などがあります。それぞれが特有の利点を備えています。一般にナイロン製のパーツは、強度と耐熱性に優れており、特に強化された場合には、強酸や強塩基以外の化学薬品に対する耐性にも優れています。Nylon 6/6のような材料は、硬度や剛性に優れており、摩耗しにくいという利点もあります。Nylon 6は低温で非常に硬く、強度があります。その一方で、Nylon 6/12には強い耐衝撃性があります。

活用例 : 肉薄の形状、櫛、スプール、ギア、ベアリング、スクリュー、(ガラス含有材での)構造パーツ、ポンプ用パーツ、ボンネット内のパーツ、カメラ等

考慮点: ナイロンの収縮は非線形的であるため、ソリが生じやすい傾向があることを念頭に樹脂選びをする必要があります。湿気の多い場所で使用する場合には、ナイロンは避けたほうが良いでしょう。というのも、ナイロンは吸湿性が高い材料であるため、湿気の多い場所では寸法に影響があり、場合によっては構造上の問題が生じる場合があります。

POM(ポリオキシメチレン)

利点 : ポリアセタールとも呼ばれるこの材料は、高い強靭性、剛性、硬度、強度などの特徴があります。ポリアセタールは、潤滑性にも優れ、炭化水素や有機溶剤に対する耐性もあります。弾性があって摺動性があるので、ベアリングの表面やギアにも向いています。

活用例 : ギア、ポンプ、ポンプのインペラ、コンベアリンク、液体石鹸のディスペンサー、ファン、送風機のブレード、自走車のスイッチ類、電気スイッチのコンポーネント、ボタン、ノブ

考慮点: ポリアセタールは収縮が無視できないため、パーツの設計にあたっては、均一な肉厚が必須になります。パーツの塗装やコーティングは、潤滑性が高いため難しく、表面の見映えに期待するのも難しいです。もし試作の数量が多くないのであれば、Firstcut切削加工での製作が適していることがあります。

PMMA(ポリメチルメタクリレート)

利点 : アクリル樹脂としても知られるPMMAは、優れた光学的な特性、光沢、引っかきに対する耐性を持っています。アクリルは、低い収縮率を持ち、肉薄、肉厚のセクションにおけるヒケの量も少ないという特徴があります。

活用例: ライトパイプ、レンズ、照明の覆い、光ファイバー、サイン

考慮点: アクリルは砕けやすいため、応力によるひび割れが発生しやすい傾向にあります。そのような場合の代替品が必要な場合には、PCが考えられます。アクリルパーツは脆いため、常に抜き勾配が必要です。通常、他の材料の倍の勾配が求められます。アクリルの耐薬品性は高くありません。

PP(ポリプロピレン)

利点 : グレードにもよりますが、PPは安価でありながら優れた耐衝撃性を備えた樹脂の選択肢です。ポリプロピレンのホモポリマーは低温では砕けやすいことがありますが、共重合体(コポリマー)は耐衝撃性が高いです。PPは耐摩耗性、柔軟性、伸張性が高く、耐酸性、耐塩基性もあります。

活用例: 統合ヒンジ、リビングヒンジ、ファン、スナップオーバーリッド(シャンプーボトルの蓋等)、医療用ピペットのチューブ

考慮点: パーツの肉厚の部分に、ボイドや気泡が発生する可能性があります。PP製のパーツには収縮やソリが発生することがあります。

PBT(ポリブチレンテレフタレート)

利点 : PBTは電気特性が優れているため、自動車の電装部品や電機・電子部品分野で利用されています。ガラスの含有率に応じて強度が高くなります。ガラスを含有しないグレードでは、強度と柔軟性があります。PBTには、燃料、オイル、油、多くの種類の溶剤に耐性があり、匂いを吸収することもありません。

活用例: スライドベアリング、ギア、カム、コーヒーメーカー、トースター、ヘアドライヤーのノズル、掃除機、電気釜のハンドルやノブ

考慮点: ガラス含有のPBTはソリやすい傾向があり、耐酸性、耐塩基性、耐炭化水素性は良くありません。また、薄肉の形状では樹脂が充填せずにショートが発生しやすい傾向にあります。代替材料としてはナイロンが考えられます。

その他の材料の情報について

プロトラブズでは、PPS、TPE、LCP、LDPE、エラストマなど様々な樹脂をストックしています。樹脂によってはグラスファイバーやカーボンファイバーのフィラーで特性が向上することがあります。弊社でストックしている材料の情報(機械特性、成形性、コスト等)は 樹脂特性ガイドで紹介しています。また、材料のサンプルプレートもご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

レジンパズルも活用
図2: 9種類の樹脂パーツで構成される「レジン パズル」

初めて3D CADファイルをアップロードしてお見積りをご依頼いただいた方には、「レジン パズル」(写真2)を無料でプレゼントしております。9種類の樹脂でできたパーツを組み立てながら特性に触れられます。

アップロードいただいた3D CADモデルの解析結果の図解を含むお見積りへのリンクをEメールでお送りします。Protomold射出成形は平均3時間、Firstcut切削加工は平均2時間で回答しております。

アップロードはこちらからどうぞ

※ 9種類の樹脂:HDPE、PP、ABS、PC/ABS、POM、PBT、PA66 GF33、PA66、PC

 

ご参考:
= カスタマー サービスへのご連絡 =

本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、気軽にお問い合わせください。
 電 話: 0120-2610-25 または 046-259-9821
 Email: customerservice@protolabs.co.jp

技術資料(ホワイトペーパー):
plastic injection-molded part

図解 樹脂部品設計 Vol 1

樹脂射出成形を考慮した樹脂設計について図解しました。射出成形の仕組みから推奨肉厚、肉厚、表面仕上げ、公差、キャビ・コア、樹脂の選定など樹脂製品の設計にお役立てください。

complex plastic injection-molded part

図解 樹脂部品設計 Vol 2

凹凸形状や穴形状、直線や曲線などさまざまなフィーチャを備えた樹脂パーツの設計に関するアドバイスをまとめました。 スライド、テーパ合わせ、置き駒、無理抜きなどに関する解説もお役立てください。

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