Design Tip

樹脂流動にまつわる悩みとその対処法

射出成形品に発生するヒケや気泡などの問題と回避方法について「デザイン キューブ」*) などでもご紹介してきました。形状の肉厚が厚すぎることによって発生する問題です。しかし、薄すぎる肉厚も問題の原因になります。各フィーチャはその目的を果たし、応力に耐える厚さである必要がありますが、成形中に樹脂が適切に流動できる厚さであることも重要です。

厚すぎる肉厚のフィーチャを判別することは比較的容易ですが、薄すぎるかどうかについてはそうはいきません。樹脂の流動は、樹脂の特性、ゲートの位置、肉厚、パーツの形状などに左右されます。どれもが樹脂の流れを滞らせる原因になる可能性があり、樹脂が完全に充填しなかったり、構造を弱めてしまうウェルドラインの原因となります。このような理由もあって、金型にどのように樹脂が充填され、流れていくのかを予測することが重要になってきます。しかし、複雑な形状では予測も困難になります。そこで弊社は、ProtoFlow® というソフトを開発し、3D CAD で設計されたパーツを成形するために必要な樹脂流動をシミュレートできるようにしました。解析結果は、ProtoQuotes® オンライン見積りを通して、無償で提供しています。最新のアルゴリズムをベースに開発された ProtoFlow は、プロトラブズの高速コンピュータ上で、パーツの形状、肉厚、樹脂の特性を考慮して、ゲートから金型内部への樹脂流動のシミュレーションを行います。

金型への樹脂の充填は、樹脂が硬化する前に、パーツの隅々にまで樹脂が行き渡るようにすることを目指したレースと考えることができます。このレースを優位に進めるためにいくつかの条件を設定していきます。一つ目は、ゲートの位置の設定(パーツの形状によってはゲートの位置は限定的となります。)もう一つは、射出圧力の設定で、弊社では金型の中に樹脂を流すための適切な圧力として 15,000psi(約1,070kgf/mm2)を最大値としています。気をつけなければならないのは、樹脂は金型を流れるにつれて、冷え、粘度を増し、硬化していくため、複数のゲートから注入された樹脂や、障害物を回り込んできた樹脂が合流したときの温度が下がりすぎていると、構造を弱めてしまうウェルドラインが形成されてしまうということです。

図1 ProtoFlow 解析結果

これらの問題を予測し、回避するためにプロトラブズでは無償で樹脂流動解析を行っております。ProtoFlow による解析結果は、樹脂の流動に問題がありそうな形状の場合には ProtoQuote 見積りに加えます。ProtoFlow による解析結果は 3D アニメーションで樹脂が金型の中を流れる際の温度と圧力を表示します(図1)。

ProtoFlow のアニメーションには2つのシミュレーション結果が含まれます。一つは充填温度の解析結果で、樹脂の温度が金型を流動するにつれて下がっていく様子を確認できるため、「そり」の発生を予測する手助けとなります。もう一つ、充填圧力の解析では、樹脂が流動する時にさまざまな場所にかかる圧力をシミュレーションし、結果は色と等圧線で表示します。緑と青は圧力が低い場所で、問題が起きる可能性は低いことが予測されます。等圧線の間隔が狭く、金色と黄色で表示された場所は、圧力が高いことを示し、ウェルドライン、バリ、ショートショット、ガス焼けなどの問題が生じる可能性があります。

充填圧力に関する問題については、圧力を下げるために、形状の肉厚を増やすという対処法があります。肉厚を15% 増やすだけで、問題を解消できる場合もありますし、肉厚を 100% 以上増やす必要がある場合もあります。それでも、肉厚は一気に増やす必要はなく、段階的に増やしながら確認することで、過剰に肉厚を増やすことを避けることができます。肉厚を増やすことに加えて、より流動率の高い樹脂を指定することも対処法になることがあります。最良の対処法を検討するにあたっては、弊社カスタマー サービス エンジニアにご相談ください。

ProtoFlow による解析を実施することで、樹脂の流動に関わる問題が発生する可能性を大幅に減らすことができます。それでも成形時にまったく問題が起きないことを保証させていただくことができない旨、ご了承ください。

ProtoFlow の解析結果は全ての ProtoQuote 見積りに含まれるわけではありませんが、ご要望がありましたら、カスタマー サービス宛てにご連絡ください。
 電 話: 0120-2610-25 または 046-203-9100
 Email: customerservice@protolabs.co.jp

樹脂の種類に応じた推奨肉厚については、樹脂の種類と推奨肉厚のページをご参照ください。ProtoFlow では成形性の観点から、適切な肉厚を確認することができます。それでも製品の用途や目的に応じて形状のニーズが異なることは確かです。設計については製品開発者であるお客様に依存させていただくことになります。

 

*) ProtoFlow に関する詳細はこちらご参照ください。
*) デザインキューブのお申し込みはこちらから承っております。