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<9つのヒント>から読み解く!射出成形パーツのコスト削減方法

射出成形設計のヒントを活かして予算を有効活用する

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パーツの製造コスト削減は、誰もが目指していることです。単純に聞こえるかもしれませんが、射出成形において、パーツあたりのコストを削減する最も簡単な方法は、パーツの数量を増やすことです。これは、パーツ数が多いほど、金型を製作する初期費用が償却されるためです。

しかし、プロジェクトによっては、必要なパーツ数がほんのひと握りという場合もあります。ご安心ください。プロトラブズなら、試作や小ロット生産(25個から)に対応したコスト効率の良い金型を、注文から数日以内に製作できます。

パーツあたりのコストに加えて、材料についても検討してみましょう。多くの樹脂は、強度と機能の点で類似していますが、成形が比較的容易ないくつかの材料はパーツコストの削減に役立ちます。プロトラブズにパーツの3D CADデータをアップロードしていただくと、インタラクティブな見積もりシステムでさまざまな材料を試すことができます。 

この記事では、製造コストを抑えるための射出成形設計の9つのヒントをご紹介します。

  1. アンダーカットをなくす
  2. 不要なフィーチャを取り除く
  3. コア・キャビティ構造を検討する
  4. 表面仕上げや装飾を省く
  5. 自己嵌合パーツを設計する
  6. 金型を修正して再利用する
  7. 製造性の解析に留意する
  8. マルチキャビティ金型やファミリーモールドを使う
  9. パーツのサイズを考慮する
①のようなアンダーカットは金型構造が複雑になり、パーツを取り出せなくなる場合があるため、できる限り設けない。

①のようなアンダーカットは金型構造が複雑になり、パーツを取り出せなくなる場合があるため、できる限り設けない。

アンダーカット

アンダーカット形状があると金型構造が複雑になり、パーツを取り出せなくなる場合があります。どうしても必要となる場合、金型にはスライド、置き駒などが必要になります。代替方法としては、貫通穴を開けて押切り合わせにしたり、パーティングラインや抜き勾配を変更することで金型構造を簡単にします。これにより、製造コストを増大させる部品を金型に追加しなくて済むため、金型コストが抑えられます。特に置き駒は手作業での取り外しが必要になるため、金型コストだけではなく、パーツコストにも影響が出ます。

コア・キャビティ構造(上図右側)は高さのある壁面やリブ付きの面を成形するコスト効率の良い手法です。

コア・キャビティ構造(上図右側)は高さのある壁面やリブ付きの面を成形するコスト効率の良い手法です。

不要なフィーチャ

表面に模様を付けたり、部品番号、会社ロゴを設けると見栄えは良くなりますが、こうしたフィーチャのために、若干の追加費用を覚悟する必要があります。とはいえ、航空宇宙用途や軍事用途では、多くの場合、決まった部品番号が必要です。その場合、文字の太さが0.5mm 以上あるゴシック体(サンセリフ 系フォント)を使用しましょう。Century Gothic 26 ポイントの標準フォントおよび16 ポイントの太字フォント、またはComic Sans MS 24 ポイントが金型彫り込み可能な文字サイズです。小さい文字の場合、深さを0.25 ~ 0.38mm 程度 にすることで、成形品のスムーズな離型を可能にします。

コア・キャビティ構造

電子機器のハウジングや箱型部品のリブ形状や外周面を形成する際に、金型に深い溝形状を加工する場合には長くて細い工具が必要になります。または、内側を金型のコア(可動側)で形成し、外側を金型のキャビティ(固定側)で形成する手法もあります。

この手法はコア・キャビティ構造と呼ばれ、高さのある壁面やリブ付きの面を成形する場合は、はるかにコスト効率が良くなります。しかも、滑らかな表面仕上げが得られ、ガス抜きを十分に行えるほか、取り出しが容易になりますので、大きな抜き勾配を付ける必要もなくなります。

表面仕上げ

パーツを美しくすることは結構なことですが、高いレベルの外観を得るためには、多くの場合、ビーズブラスト、や金型の磨きが必要になり、金型コストが増大します。PM-F0(切削したままの面)以外の仕上げには、最高でSPI-A2鏡面仕上げ(レンズや光沢面が必要な外装品用途向け最上級仕上げ)まで、一定レベルの手作業が必要です。機能上必要な場合を除いて、このような精巧な仕上げは避けるとよいでしょう。

自己嵌合パーツ

医療部品用のスナップ留めケースや、ポータブルラジオ用の噛み合い部品のペアを設計する場合もあるでしょう。しかし、1種類で済むのに、2種類の嵌合パーツを製作する必要はあるでしょうか。どちらの向きでも部品が嵌合する、いわゆる「ユニバーサル」なパーツを製作できるよう、スナップの設計を見直しましょう。必要な金型が1つだけで済み、初期製造コストを抑えることが可能になります。

金型の修正

既存の金型を削り、製品に肉を盛ることは比較的容易に行えます。一方、製品を削る方向では金型に肉を盛ることになるため、コストと時間がかかります。覚え方としては、金型を修正することで樹脂を足すことはやり易いが、除くことは比較的難しいということです。

射出成形パーツは、実用に耐える最終的な設計にたどり着くまでに、見直しが何度も行われる場合があります。形状を見直すたびに新しい金型を調達するよりも、同じ金型を修正して使用するほうが賢明な方法と言えます。そこで、最初は基本となるパーツをできるだけミニマムに設計して、必要な数だけパーツを成形します。その後、パーツ形状に変更を加えたり同じ部品の大型版を製作したりするために、金型を再加工して、再びパーツを成形するとよいでしょう。パーツを変更する回数が適切ならば、金型の修正を利用することで、製品開発のコストを抑えることができます。

製造性の解析- DFM解析

プロトラブズでは、射出成形パーツの製造性(DFM)の解析を無償でお見積として提供しています。これによって、潜在的な問題点や設計改善の機会が得られます。アンダーカット、抜き勾配、肉厚や樹脂の流動など、製造するために重要なポイントが確認できます。これらの点を入念に確認し、設計に関するご質問がある場合は、プロトラブズのカスタマーサービスエンジニアにお問い合わせください。 

マルチキャビティ金型とファミリーモールド

パーツの量産をお考えでしょうか。その場合は、サイズとパーツ形状に応じて2、4または8つのキャビティを持つ金型を使用して量産を行えば、金型コストは上がりますがパーツ単価を抑えることができます。

同じプロジェクトの嵌合パーツを製作する場合は、一度に複数のパーツを成形することを検討してはどうでしょうか。A)同じ樹脂材料ですべて製作する、B)各パーツのサイズがほぼ同じ(加工時間が同じくらい)、C)各パーツをすべて同じキャビティで無理なく成形できる、という条件を満たしている場合、パーツごとに金型を個別に製作する必要はないかもしれません。ただし、その場合、品質面でのバラつきには留意する必要があります。

また、リビングヒンジで結合できるパーツがないか検討してみてください。この手法は、たとえば折り畳み式容器の両側を成形するのに適しています。リビングヒンジを使用しない場合は、パーツを開閉させるためにピンなどの組立部品が必要になるでしょう。ただし、ポリプロピレン(PP)など、柔軟かつ靭性に優れた材料を使用する必要があるということだけは注意してください。

パーツのサイズ

同様に、パーツの大きさについても必ず考慮してください。プロトラブズの射出成形の最大パーツサイズは、現在、650mm×480mm、パーティングラインからの最大深さは101mmです。ただし、このような大型のパーツには、大型の金型が必要なため、金型と部品コストに影響を与える可能性があります。

 

本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、カスタマーサービスエンジニアまでお気軽にお問い合わせください。

電話:0120-2610-25 Email:customerservice@protolabs.co.jp

自己嵌合パーツ(片方)の例です。どちらの向きでも、もう片方と嵌合する「ユニバーサル」なパーツです。

自己嵌合パーツ(片方)の例です。どちらの向きでも、もう片方と嵌合する「ユニバーサル」なパーツです。

キャビティを8つ持つこの金型は、パーツの量産に使用します(図の上の写真は完成品です)。

キャビティを8つ持つこの金型は、パーツの量産に使用します(図の上の写真は完成品です)。

上図はファミリーモールドの例です。左の製品は医療用ホチキスの『SubQ It』で、外科的切開を閉じるために生体吸収性ファスナーとともに使用されます。

上図はファミリーモールドの例です。左の製品は医療用ホチキスの『SubQ It』で、外科的切開を閉じるために生体吸収性ファスナーとともに使用されます。