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3D プリンタ、切削加工、射出成形の効果的な使い分け

従来の切削加工や射出成形は、かなり以前から存在する製造方法ですが、ごく最近までは、樹脂パーツの試作方法として好まれる手法ではありませんでした。従来の射出成形は何千ものパーツの量産には向いていますが、製造を開始するまでにかかる準備や段取りに数週間、初期投資は何百万円も必要であることが普通でした。従来の切削加工でも、同じパーツをいくつでも製作できますが、その前に切削ツールパスを演算して生成しなければなりませんし、それ以外にも多くの段取りに工数がかかります。このような初期準備が必要なため、パーツを大量に作るのであれば初期コストを吸収することが可能ですが、試作品に求められるのは、ごく少数を素早く安価に製造して、手早く機能や形状などを確認できることです。つい最近までは、図面やスケッチをベースに手作りする手法しかありませんでした。試作品を入手するために必要なプロセスであるとはいえ、手作りは面倒でかつ間違いも起こりやすい手法でした。

図 1:FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンタで出力したパーツのサンプル。FDMでは、コンピュータにより制御されたプリントヘッドが動きながら材料を下から積み上げてパーツを造形します。

最初に実用化された樹脂パーツの試作方法は、1980 年代に開発され1990 年代に実用化された、 3D プリンタによる積層造形法でした。特殊な材料を積層してパーツを造形していく方法です。当初のCAD ソフトは、2D の図面をコンピュータ上で描くものでしたが、その後、3D CAD として発展しました。これにより設計者は、自分が作りたいものを完全なソリッドモデルとして、パソコン上にバーチャルな製品として作ることができるようになりました。プリンタのほうも2Dのイメージを印刷するものから3次元形状を造形できるものへ進化を遂げました。印刷に使われるインクは固化する液体や固着・焼結可能な粉末に置き換わり、「2次元」の層が積み重なれば3次元になると考えるのは論理的にも自然な流れでした。この論理を 3D プリンタによって実現できるようになり、自分のデスクトップ上で設計した 3D CAD モデルを物理的なパーツとして、数時間から数日のうちに手にすることが可能になったのです(図1参照)。3D CADモデルのデータから直接複製することが可能になり、人手の作業による手違いもなくなりました。そして設計者は、パーツを実際に作って手に取ることで図面から3次元形状を想像する必要がなくなったのです。そのため、3D プリンタは、樹脂パーツの試作を行う際の手段として急速に普及していきました。

図 2:切削加工で製作したパーツのサンプル。樹脂や金属のブロックを、エンドミルでを削り出します。

3D プリンタに使われている技術は、機能面を含めて進化し続けています。しかし、使用できる材料や、機械的な強度にも制限があるという状況は変わっていません。切削加工は 3D プリンタとは逆で、ブロック材料を削ってパーツの形状を作っていく方法です。必要な材料のブロックがあれば、任意の形状を削りだすことができるわけです(図2参照)。とはいえ、切削加工を実用的な試作方法として展開することは、それほど簡単なことではありませんでした。

切削加工の場合には、新たな製造技術が必要だった3D プリンタ造形技術と違い、すでに存在していた工作機械を使うことができるというメリットがあります。難しいのは、3D CADで作成した形状のとおりに切削するためのツールパスを生成するソフトを開発することです。3軸加工機に対応するツールパスを自動生成し、自動的に治具を製造することは、非常に複雑なプロセスでした。しかし、現在ではソフトウエアができたため、自動化が可能になり、切削加工も試作パーツを素早く製造する方法として、価格的にも手頃で有効なオプションになってきたのです。切削加工は、実際の製品で使われるものと同等の材料を使うことができ、機械的、電気的、化学的、熱的、あるいは光学的なテストを実施できる試作パーツを作ることが可能です。用途に応じた多様な樹脂が増えてきている現在、切削加工の意義は増しています。また、切削加工なら樹脂だけではなく金属製のパーツを製造することもできます。

図 3:射出成形したパーツ。短納期射出成形では金型に熱可塑性樹脂を注入して成形します。「短納期」プロセスは一般的に金型に使用される鉄ではなく、アルミ金型を製作するテクノロジーで実現しています。

量産効果という観点で考えたときには、3Dプリンタ、短納期切削加工どちらも期待できません。一方、短納期射出成形であれば量産効果を得られるという優位点があります。短納期射出成形プロセスでは、切削加工と同様に、3D CAD モデルからアルミ金型を切削するための加工パスを迅速に生成します。一度金型が完成すれば、パーツをたくさん作るほど単価は急速に下がります。したがって、短納期射出成形であれば機能試験やマーケットリサーチなどの目的で十個単位、あるいは百個単位で製作でき、量産に転じることになった場合は千個※単位で製造することもできます。射出成形できる特性の樹脂は数多くありますが、その検証を行うための試作にも最適です(図3)。パーツの機能の検証に加えて、その成形性をも確認することができるわけです。3Dプリンタによる造形および切削加工では、成形性の検証はできません。射出成形できない形状や、困難な形状も製作できてしまうからです。

※プロトラブズでは短納期射出成形による製作個数について、10個~1万ショットという目安を公開していますが、制約があるわけではありません。オンデマンドで必要な個数を製作しますので、在庫レスを実現する製造サービスとしての活用が可能です。

はっきりしていることは、ここで紹介したどの方法も製品開発の過程において有効である、ということです。

  • 3D プリンタ: 開発初期に個別の試作を、早く行いたい場合に有効で、デスクトップでできてしまう場合もある点で魅力的です。
  • 短納期 切削加工: 量産する場合と同じ材料で機能部品を数個必要とする場合に最適です。
  • 短納期 射出成形: 製品と同じ材料で成形性をテストしたり、少量生産をしたい場合に最適です。

本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、気軽にお問い合わせください。

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