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4つのカテゴリから検証!金属と樹脂の材料特性をマスターする

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樹脂パーツや金属パーツを設計する際、その材料の機械的、物理的、熱的、電気的な特性を考慮することが重要です。

パーツ設計において、その機能性は、形状、サイズ、肉厚、接続部の位置関係など、目に見える要因によって影響を受けます。しかし、それほど明白ではないにせよ、同様に重要となるのが射出成形、切削加工される材料の特性です。

設計はマクロレベルで行われ、材料特性は分子レベルで制御されると言われます。設計プロセスの早い段階で使用する材料とその特性を考慮することで、設計が完成した時に、より効果的でコスト効率の良いものとなります。このDesign Tipsでは、早い段階でのパーツ特性の検証方法に役立つヒントをご紹介します。ここでは、金属と樹脂の材料特性の4つの基本カテゴリを紹介し、パーツ設計の際に考慮するべき主要ポイントや見過ごしがちな設計上の問題について説明します。


moter air cleaner
バイクのエアクリーナーは耐熱性、強度、柔軟性など複数の材料特性のバランスが保たれていることが必須となる部品の良い例です。
材料選定が重要である理由

金属でも樹脂でも、材料選定は単純かつ偶発的な場合もあれば、複雑かつ部品性能にとって非常に重要な場合もあります。たとえば、屋内用に設計されたデバイスのケースを製作するとします。樹脂製の筐体の多くはABS、ポリカーボネート(PC)、またはそれらの混合樹脂から製造されますが、特に温度または電気特性などで問題はなく、また特別な構造上の要件がある訳でもないため、たとえば家のリビングルームといった過酷ではない環境において、期待通りに機能するでしょう。

一方、バイクのエアクリーナー用のハウジングはどうでしょうか。この部品は、フィルター交換のために定期的に開閉する必要があります。その機能を実現するため、リビングヒンジや一体型のバネクリップを導入する必要があるかもしれません。飛んでくる異物による衝撃、エンジンからの熱、太陽の紫外線、湿気、燃料や洗浄液に対する耐久性が必要とされます。このような用途に適した材料を選定するには、リサーチと試作の繰り返しが必要となります。

スマートフォンの部品では、さらに複雑になります。その機能には、放熱性と耐熱性、電気絶縁性、ワイヤレス信号の通過と遮断制御、さらに落下等による繰り返しの衝撃に対するケースの保護性能があげられます。これらの各部品には、特別な要件が求められ、それらの要件を満たすには特定の材料特性が必要なため、材料の選定が重要となります。

効果的な材料選定は、完成したデバイスまたはアセンブリの機能を明確に理解することから始まります。次に、全体的な動作における、特定パーツの機能を確認する必要があります。留意すべきいくつかの機能がある場合、「必須機能」と「オプション機能」を区別して優先度を設定するべきです。たとえば、ハンディデバイスでは滑らかな表面仕上げが必須となりますが、強度要件を満たすためにガラス繊維強化材などが必要となる用途では、必須要件ではないかもしれません。検討するべき特性要件のリストには多数の項目が含まれますが、材料の機械的性質、物理的性質、熱的性質、電気的性質という4つのカテゴリに分類できます。


材料特性の調査

機械的性質

機械的性質とは、材料にさまざまな負荷がかかった場合に現れる性質です。これらには引張強度、圧縮強度、柔軟性、硬度などの特性が含まれます。

機械的性質
樹脂:リビングヒンジに使用されるポリプロピレンの柔軟性から、ガラス繊維強化ナイロン素材の高い強度まで大きく異なります。
金属:ほとんどが高い剛性を備えています。また、多くの鋼鉄がアルミに比べ剛性が高くなっています。

物理的性質

物理的性質とは、材料の外観上の特性と、化学物質や放射線に対する反応を表すものです。これら特性には、材料の密度や薬品や紫外線に対する耐性が含まれます。また、色や質感など、外観上の特徴も含まれる場合があります。

樹脂:樹脂の物理的性質は、材料によって大きく異なります。たとえば、ウレタンは湿度の高い環境下での使用には適さず、またSLA(光造形)方式で3Dプリントされた樹脂は、紫外線への露出によって強度が脆くなります。
金属:同様に、化学物質への暴露に対する金属の耐性は、その材質によって異なります。腐食性の高い環境下におけるステンレスの使用は、一般的ですが、熱伝導といった特性では他の金属より劣っています。
一般的に使用される材料の例
  • 高品位な外観が求められる筐体や日用品に使われる樹脂:
    ABS、ABS/PC、PC
  • 耐摩耗性に優れた材料:
    ナイロン、POM、PPおよびPE、真鍮
  • リサイクル用の一般的な材料:
    PET、ABS、PS、アルミ、銅
  • 医療機器に使われる材料:
    PC、PEI、PEEK、PET、PS、チタン、ステンレス
  • 導電性の材料:
    銅やアルミをはじめとした金属材料、ステンレスなどの金属繊維を含有させた樹脂
  • 電気遮蔽性の材料:
    ガラスやカーボン繊維を含有させた樹脂
  • 機構部品に使われる材料:
    ナイロン、炭素鋼、ステンレス

熱的性質
熱的性質は、温度(熱)に対する材料の反応を示す性質です。その材料は熱に晒されることにより脆くなったり、変形したり、または低温環境で強度が脆弱になりますか?その材料は、熱を容易に伝導、それとも遮断しますか?パーツに影響を与える温度は、自然環境による影響、または組み立てられた状態の部品が稼働することによって発生する場合もあります。

樹脂:樹脂を選択する場合、熱反応は大きな課題となります。シリコーンはオーブン用耐熱食器に適した材質ですが、夏季の車中では多くの樹脂がダメージを受ける可能性があります。
金属:一般的に金属は、ほとんどの樹脂より熱耐性が高く、インコネルなどニッケルクロム基の「超合金」は最高700℃の高温に耐えられることから、ロケットエンジンの部品に適しています。それほど過酷な条件下ではありませんが、アルミがヒートシンクなどの放熱板に理想的な材料である一方、ステンレスは適していません。

 

 

電気的性質
電気的性質とは、導電性、抵抗または誘電係数等の性質を示すものです。

樹脂:樹脂の電気的性質は、材料によって大きく異なります。スマートフォンのように電流と信号を分離して歪みを防止しなければならない小型機器、または診断や治療のために強い電流や磁場が使用される医療機器では、非常に重要となります。
金属:同様に、金属の導電性は、材質によって大きく異なります。導電性を考慮した場合、銅が最も一般的な選択肢ですが、この特性が最重視されないのであれば、アルミは低コストおよび耐食性に優れる一方、比較的高い導電性も備えています。

見過ごしがちな材料特性

多くの設計者は、特に明白な欠点が認められない限り、使い慣れた「お決まり」の材料に頼りがちになるものです。その材料がニーズを満たし、コスト面でも満足のいくものであれば、特に問題はありません。しかしながら、多少のリサーチによって得ることのできる恩恵を、みすみす見逃しているケースもあるかもしれません。または、材料特性のリサーチを怠り、試作の段階で問題が発覚した場合、開発プロセスで遅れが生じる可能性があります。もしくは、製造期間が長期にわたる場合に、より低コストでニーズを満たすことができる材料があれば、多大なコスト削減につながることもあります。以下にいくつかの例を示します。

  • 屋内で使用する製品の設計において、熱や紫外線からの影響は特に考慮する必要がないと考えるかもしれません。しかし、日差しのあたる場所や車内に、製品が放置された場合も想定する必要があります。
  • あらゆる種類の化学薬品との接触が想定されているでしょうか?製品の「使用上の注意事項」に化学物質への曝露についての注意書きを提示しているかもしれませんが、より耐性の強い材質であれば、満足度は高まる場合もあります。
  • 屋外におけるあらゆる使用環境が想定されていますか?特定の車輌用パーツは、ボンネット内で紫外線から保護されているかもしれませんが、同時に蓄積される熱への耐性も必要となり、バイクの部品では、全く正反対の条件に考慮する必要があります。
  • 部品の寿命はどれ位でしょうか?使い捨て?交換可能?恒久的な使用を想定していますか?
  • 材料の密度は考慮されていますか?駆動パーツは、軽量化による恩恵を受けるものの、その一方で適切に機能するために一定の重量を必要とする場合もあります。
  • 代替可能な材料のサイズと強度の関係性。強度の高い材質のパーツを使用することで、スペースの節約が可能です。単位体積あたりのコストが割高であったとしても、より少ない材料を使用することで、コスト削減につながります。
  • 仕上げは単に表面的な問題だけではありません。テクスチャなどの要素は、人間工学的にも重要です。
  • 適切な材料選定によって設計上の課題が解決される場合があります。たとえば、一体型のバネクリップやリビングヒンジにより、接続用パーツが不要となります。
  • さまざまな製品で課題となる耐熱性。最適な金属または樹脂でできた設計的に優れたヒートシンクでは、重要な部分からの効果的な放熱が可能です。
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弊社では、数十種類におよぶ射出成形、切削加工用の材料を提供しています。在庫材料一覧ページでは、各材料の詳細な情報を掲載しております。

リサーチは、あくまでも第1ステップに過ぎず、お客様のニーズを満たし、コスト面でも最適なソリューションを特定するためには、試作や性能試験による裏付けが必要となります。


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