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二色成形&インサート成形の活用メリット

<組み立て工程短縮>と<コスト削減>を両立!
※本記事は米プロトラブズにて編集・作成されたものです。文中の一部サービスには日本では未展開のものも含まれています。
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二色成形とは、ベースの成形パーツに別の樹脂層を追加して、単一の材料では実現できない特性の組み合わせを可能にする射出成形の方法です。

最も一般的な用途は、硬い一次側成形品を覆うように、柔軟で機能的な、手に優しいゴムのような材料の層(熱可塑性エラストマー(TPEなど))を二次側として成形するものです。別の用途では、色や仕上がりが異なる材料を組み合わせて一体成形することで、そのパーツの外観を変えたり"見栄え"を良くしたりすることも可能です。二色成形品は、医療機器やハンドツール、歯ブラシ、また組み立て用のガスケットやシール部品など、あらゆる分野に広く採用されています。

二色成形を採用することで、異なる材料を効果的に接着できるようになり、組み立て工程が大幅に省略されますので、費用対効果が非常に高くなります。 二色成形の材料選定は、結合する一次・二次側成形材料の互いの適合性により成り立ちますので、よくご検討頂く必要があります。通常の射出成形と比較すると複雑なため、材料を選択する際には樹脂の専門家のアドバイスを参考にすることをお勧めします。

二色成形の様々な方法について

二色成形は、ある材料で一次側部品を成形した後、別の金型、材料にて二次側部分の成形を行うものです。 二色成形には、次のような種類の工法があります。
1つ目は、自動化されたロボットにより同じ金型内で成形された一次側部品を二次側の成形エリアに移送・セットする方法です。一次側部品セット後に出来た空洞部分に二次側成形材料を充填し、成形されます。同時に次にセットされる一次側部品も成形されます。
2つ目は、回転式二色成形と呼ばれ、金型を回転させ、金型の一次側、二次側成形エリアを自動で交互に入れ替えて成形する方法です。こちらも二次側部品の成形時に次の一次側部品も同時に成形されます。二色成形は一般的にこの方法が広く採用されています。
3つ目はコアバック二色成形と呼ばれ、スライド機構を用いて一次側・二次側の成形エリアを制御し成形する方法です。スライドの前進で、一次側が密閉・成形後、スライドが後退し、二次側成形 �リアが開放・成形されます。 金型構造上、平面的な形状でないと成立が困難なため、限定的な採用となります。

これらの方法は、特殊で高価な装置と金型を必要としますが、高度に自動化されているため、大量生産(仕様により異なる場合があります。一般的には100,000個以上)の場合には高い費用対効果が期待できます。 プロトラブズの二色成形では2つの金型を使用します。一次側部品を一次側の金型で製造後、一旦成形品を保管し時間を空けた後、手作業で二次側の金型にセットし、二次側成形材料を流し込んで成形します。この方法は、前述の二色成形の工法に比べて複雑な装置を使用せず、簡易的な金型を使用するため、早期の生産が可能となります。

二色成形方法の比較

プロトラブズの二色成形はニ次側金型に一次側部品を手作業でセットする工程のため、自動化された工程よりも成形時間は掛かりますが、小~中ロット生産であれば、自動化に必要な付帯設備等の設定・調整が無い事で、トータルの時間やコストを大幅に抑えて製造することが出来ます。また、適切な材料を選択することによって、樹脂同士の化学結合を確保できる場合があります。気を付けなければならない点は、一次側部品は、接着に影響を及ぼす恐れのある油分や塵などの汚れが接着面に付着しないよう慎重に取り扱う必要があ ることです。

大量生産向けの二色成形 プロトラブズの二色成形
大量生産の場合(製品の仕様等により異なりますが、通常10,000個以上) 小~中ロット生産(通常10,000個未満)までの場合
全生産工程で採用する設計と材料などの仕様が確定している場合 設計の試作または材料の試験が必要な場合や、設計変更の可能性がある場合
生産計画上、比較的高価な二色成形用金型と設備に投資が可能な場合 製品や機器を迅速に市場供給する必要がある、あるいは量産開始までの繋ぎが必要な場合
2つの材料間の化学結合を最大限に高める必要が求められる場合 幾つかの候補材料や形状における化学結合の試作や試験が必要な場合

 

結合の役割

2つの樹脂は化学結合することにより、分離するのを防ぐことができます。パーツの形状にもよりますが、結合後の樹脂が分離される可能性として、幾つかの要因が考えられます。 それらは、主に以下が含まれます。

  • 直接的な引張力により、結合部で分離を引き起こします。
  • 結合界面に平行な張力によって生じる剪断応力により結合部で分離を引き起こします。
  • 通常は結合部の端から材料間の結合界面に沿って分離していきます。

材料の結合には主に2つの方法があります。
1つは、2つの樹脂層の結合界面における化学的な結合と、もう1つは機械的な結合があります。後者は結合界面で物理的に結合させる形状が必要になります。結合の可否判断は、パーツの設計、材料の選択、金型設計、成形工程の組み合わせによって決まります。

化学結合は分子レベルで行われ、いくつかの要因によって影響を受けます。その一つとして一次側部品の濡れ性があります。濡れ性がよければ、2つの材料間の密着性が向上し、結合の可能性が高まります。これは、材料の温度、二次側成形材料の粘性、および一次側部品表面の状態や多孔性などによっても影響されます。化学結合による接着は、結合界面において、次のような3つの現象によって起こり得ます。

  • ポリマー分子上の機械的な絡み合い
  • 共結晶化
  • ポリマー鎖間の化学反応

化学結合による接着はこの3つの組み合わせを必要とする可能性がありますが、添加剤・フィラー、特定の表面処理があることで、一次側成形材料と二次側成形材料の化学的相互作用の効果が出ない場合もあります。
完成パーツが設計者の性能要件を満たすよう十分な樹脂の接着力を得るには、製造工程も大きく影響するため、金型製造者と材料サプライヤとの相談が重要です。

化学結合の代わりに、あるいは化学結合とともに、機械的結合を取り入れることも有効な方法です。二次側成形材料が一次側部品内の穴に流れ込むときなど、穴の奥で形状が広がっていれば、冷却された二次側成形材料は一次側部品と機械的な結合が可能となります。機械的結合を強めるその他の方法として、一次側部品のまわりを二次側成形材料で包むという方法や、溝・杭・柱・ボス形状などで界面における接触面積を増やすという方法があります。一次側部品が多孔質の場合には微小な穴にエラストマーなどの流動性の良い樹脂が流れ込むことで機械的結合が生まれる場合があります。また、剥離を防止するためには、二次側部品の端が露出しないようにしてください。例として、一次側部品の端を隆起させると、二次側成形材料のエラストマー端部(初期剥離部分)を保護できます。

材料の密着性

ニ次側成形材料 一次側成形材料
ABS
テクノABS 330
PC/ABS
ノバロイS S1100
PC
パンライト L1250Y
PBT GF
ジュラネックス 3300
PP
サンアロマー PM600A
PA66
アミラン CM3007
PA66 GF
アミラン CM3001G30
TPS-AR760 X X X X X X
TPS-AR-BOIN-65 X X X
TPC-ES-A60NX X X X X

密着性 高 ○  低 X

three types of mechanical bonding
二色成形においては結合が重要な役割を果たします。上図に3種類の機械的な結合方法を示していますのでご覧ください。
二色成形材料

上記の表に、より一般的な可能性としていくつか例を挙げましたが、一次側成形材料と二次側成形材料の組み合わせには、数千種類もの可能性があり、その他の組み合わせも考えられます。特別な特性が必要な場合は、材料サプライヤへお問い合わせ頂くことをお勧めいたします。

適合性および接着性の他に、二色成形の樹脂選択に影響する幾つかの要因があります。クッション性が必要であれば、二次側部品の材料自体の弾力性とともに肉厚も重要になる可能性があります。通常、1mm未満の薄い層は、どんな材料でも、硬く感じられます。このため、多くの消費者製品は、材料の厚みを増し、更に格子状のリブ形状になるよう肉抜きすることで、成形材料を削減しつつ、必要な弾力性や柔軟性が確保されています。実際の材料の弾力性は、デュロメーター(硬さ)には直接関係しません。より優れた尺度は曲げ弾性率です。これは材料の曲げ耐性を測定するもので、曲げ弾性率が低い材料の方が、柔らかく感じます。様々な樹脂が二色成形に適していますが、その中でもVersaflex(プロトラブズ米国工場のみ標準材)などのエラストマーは弾力性を必要とした二色成形に最適な樹脂と言えます。

グリップ性が必要な場合は、材料の摩擦係数が感触の程度を表します。例えばTPEは一般的に摩擦係数が高い傾向にありますが、クッション性が必要な場合と同様、デュロメーターは材料のグリップ性の明確な尺度ではありません。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂など、多くの樹脂は様々な特性を備えていますので、特定の用途に適した樹脂グレードを選択する際には、専門家に相談されることをお勧めします。


ねじ付きインサート部品が金型にセットされ、樹脂がインサート部品を包むようにして、パーツが成形されます。

インサート成形は、二色成形と同様、インサート部品周りを包み込むように樹脂が充填されますが、このインサート部品は通常、金属であり、流し込む樹脂は硬質樹脂がほとんどです。多くの場合、金属の端子部品や工作機械で加工されたカスタムの金属部品もインサート部品として使用されます。同様に、ねじ付きインサート部品も対応可能なため、樹脂製の保護ケースなどに採用した場合、締結時における強度や耐久性を高めることができます。インサート成形は、熱かしめや超音波溶着によって金属部品を後挿入する方法(樹脂パーツの被挿入部位を溶融して金属部品を挿入できるようにする方法)の代わりとなるものです。また、後挿入の方法に比べて簡単かつ頑強に封止が可能です。インサート成形により、部品の後付け作業が不要となることで、時間と費用を節約できます。

インサート部品の金型へのセットは、大量生産の場合、ロボットを用いて行うことができますが、小~中ロット生産の場合、手作業で行なう事が多い場合があります。金属のインサート部品と樹脂の間には化学結合はないため、インサート部品と樹脂のパーツは機械的に結合するよう、設計しなければなりません。

二色成形とインサート成形を使用する理由

二色成形は、一般の射出成形よりも複雑な設計、加工、材料選択を必要としますが、以下に示す大きな利点があります。

  • 材料を組み合わせることで、単一樹脂では実現できない特性が得られます。
  • 組み立ての手間を省き、時間と費用を節約できます。
  • 組み立て工程では採用できない方法で材料を接着させることができます。 また、接着剤を使用しないことで環境面において優位性があります。
  • インサート部品により、パーツの強度と耐久性が強化されます。

コスト削減

二色成形金型の製造は複雑ですが、継続的に発生する、何千ものパーツの組み立てや接着の工程を省くことができるため、コスト削減に繋がります。二色成形パーツの製造には様々な方法がありますが、ニーズ(製品化までの時間、全生産量、製品・形状変更の可能性)に合わせて選択することで、最も効率的な方法を決定できるようになります。

orange overmold part

インサート成形なら、このドローンのプロペラのような樹脂部品に金属性のインサートナットなどを簡単に組み込むことができます。

利用の範囲

二色成形は、消費者向けの製品から自動車部品や電気部品に至るまで、産業界で広く使用されていますが、特に医療とヘルスケア分野での利用に適しています。体内外で使用されるデバイスは、難度の高い機能を備えつつ、厳しい要件を満たすため、消毒用スチームなどの熱に耐え、化学物質にさらされても影響を受けず、さらにFDA(アメリカ食品医薬品局)、USP Class VI(アメリカ薬局方クラス6)、ISO 10993、生体適合性などの各規格に適合する必要があります。通常、パーツを組み合わると継ぎ目や隙間が発生してします。医療関連部品では安全衛生上、この継ぎ目の無いことが望まれますが、二色成形は最もマッチした製法と言えます。
その他にも、以下に示すように、二色成形を使用する多くの理由があります。

  • 最も一般的な理由は、装着性とグリップ性です。ほとんどの場合、柔らかいエラストマーを硬い一次側部品に成形することで、ハンドツールや器具に至るまで、様々な手で扱う製品に、安全で滑らないグリップ性が得られます。
  • 二次側成形樹脂にエラストマーを採用することが出来るため、シーリング、衝撃吸収、および振動減衰などの機能的な目的にも利用できます。 ・意匠的な用途では、一次側樹脂と二次側樹脂を対照的な色にすることで、 文字、ロゴ、またはその他のデザイン特性を施すことができます。
  • 二色成形により、パーツの表面の特性を変えることで、電気的、熱的、またはその他の異なる環境的性質の付与が可能となります。
  • また、二色成形を使用して、一次側部品を二次側成形樹脂で包み込んだり、封止など気密目的にも利用できます。

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