Design Tip

抜き勾配とシボについて

樹脂パーツのシボ加工には様々な目的があります。見栄えの目的もあれば、実用目的の場合もあります。目的が何であれ、忘れてはならないことは、望み通りのシボ加工が得られることと、プロトラブズの Protomold (短納期射出成形)プロセスは、お客様の仕様通りに加工するという2点です。金型の開閉方向に対して面が直角方向にある場合、シボ加工は比較的簡単です。サイドアクションの開閉方向に対して面が直角方向にある場合も同様です。

しかし、シボ加工を施す面が金型の開閉方向に対して平行にある場合は、色々と難しい問題が出てきます。握りこぶしをレンガの表面に沿って上から下へ動かす場合を想像してください。それはまさにプラスチック・パーツの表面が開閉する金型のシボ面に沿って引っ張られる状況に類似しています。解決策としては、当然ですが、表面に抜き勾配を設けることで、金型が開くに従って、金型の表面がパーツの表面から離れて行きます。金型の開閉方向に対して表面が直角方向にある場合はそれで良い訳ですが、しかし、シボ加工の度合いが上がるに従って問題は大きくなります。

図1

シボ加工の表面に抜き勾配を設ける際のガイドラインのひとつとして、以下のものがあります。

  • スムーズな表面仕上げで、高さ2.54cmのリブに必要な抜き勾配は1°です。
  • PM-T1仕上げの同じリブに必要な抜き勾配は3°です。
  • PM-T2仕上げの同じリブに必要な抜き勾配は5°です。

この抜き勾配は、お客様の設計されたパーツに対して、他の点で影響を与えます。例えば、図1と2にある“スコップ”ですが、“スコップ”の両サイドは、金型の可動側(ミニチュア模型ではブルーのパーツ)に切られた溝に形成されるリブです。溝の両サイドの壁は、パーツを金型から抜けやすくするため、それぞれ反対の方向に抜き勾配を設けなければなりません。その結果、“スコップ”の後方の壁へ近づくに従って、両サイドの壁が厚みを増していきます。

図2

図2は、同じ“スコップ”の両側面が金型の固定側のキャビティーと可動側のコアの間に形成されています。この場合、“スコップ”の両サイドの壁を形成する2つの金型の表面は、同じ方向に抜き勾配が設けられており、両側面のリブは、長さ全体に渡って均一の厚さになります。

どちらのやり方も、両側面のリブは同じ抜き勾配になりますが、図2の方が、側面のリブの厚さが均一に保たれるので、良い設計と言えるでしょう。

その他、シボ加工のある表面を設計する時に、覚えておかなければならないいくつかのポイントが以下に挙げられています。

  • 一般的に、シボは、金型の表面にサンド・ブラストを施して作られるので、金型の深くて狭い溝に作られたリブにシボ加工を施すのはほぼ不可能でしょう。これは、このような壁を形成するのに、深い溝ではなく、コア/キャビティーの方法を用いる1つの理由です。
  • 非常に厚い壁は、壁の面が金型の表面から離れて、冷える際に、十分に冷える前に、大きく収縮する可能性があります。その結果、表面にうまくシボが形成されない可能性があります。もしパーツに厚い部分と薄い部分が混在していれば、恐らくひどく見にくいシボになると予想されます。これらはパーツの設計に関わることで、製造プロセスでは解決できません。
  • 非常に薄い壁にシボを設ける場合は、金型の表面にくっつきすぎるため、パーツの取りだし(エジェクション)の過程でシボを壊してしまう可能性があります。

結論として、パーツの表面にシボ加工を施す場合は、適切な抜き勾配を設け、壁の厚さに十分配慮するという2点に注意を払う必要があります。

ご参考:
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