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複雑な切削加工パーツを迅速かつ効率的に製作するための5つの視点

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CNC工作機械の機能は年々と向上しています。CNC旋盤加工では、さまざまな形状を加工したり、回転工具を使用して、軸外穴(回転軸に対し平行方向)やラジアルホール(回転軸に対し垂直方向)を開けたりすることができます。

従来、このような加工を行うためには、別工程での加工が必要でした。また、3軸マシニングセンターにプラス2軸加工に対応した割出台を搭載することで、パーツの複数の側面の加工を一度の段取りで完了できます。設計者やエンジニアにとって、これはありがたいことです。きわめて複雑なパーツを製作できるだけでなく、品質を高め、コストとリードタイムを削減できるからです。

とはいえ、何でもできるという訳ではありません。機械加工には一定のルールがあります。ルールを守らないと、再加工で多大なコストが発生したり、プロジェクトが遅れたりすることがあります。この記事では、パーツ設計者が知っておくべき5つのポイントをご紹介します。 

  1. 穴の配置
  2. 深い形状のマシニング加工
  3. ねじ山とインサート部品
  4. 文字加工
  5. パーツの角R

5軸加工ご利用時の注意点

プロトラブズでは3軸のマシニング加工の他に割出5軸加工が可能です(注)。この加工では、加工品の底部をつかみ、一度の段取りで上部と側面を切削加工することができます。この機能で、側面にアンダーカットのあるブラケットや穴あきチーズのような形のエア用マニホールドなど、複雑なパーツを製作することができます。

ボートのプロペラ、整形外科用インプラント、タービンの羽などのパーツは、「スイープサーフェス」を備えている場合が多く、このようなサーフェスを滑らかに加工するためには最大5軸の同時移動が必要です。

注:日本国内での5軸加工に向けた準備を進めておりますが、当面は米国本社で製造します。

プロトラブズのマシニング加工と同様に、高速旋盤を用いたCNC旋盤加工では、多くの複雑なパーツの加工を一度の段取りで完了することができます。回転工具機能やY軸機能では、ボルトのねじ切り、レンチ平面のマシニング加工、ワイヤリング用の横穴の加工を行うことができます。さらに複雑な例としては、端面に調整スロットを備えた油圧ピストン、表面にレンチ穴付きの継手、外面にキー溝を付けたシャフトなどがあります。

このような加工方法を考慮して、複雑なパーツの設計時に考慮するべき5つのポイントをご紹介します 

1. 穴の配置

プロトラブズのCNC旋盤で開けられる穴(回転軸に対して平行方向)の最小サイズは、φ1.0mmです。加工可能深さは直径のおよそ5倍程度です。ラジアルホール(回転軸に対し垂直方向)は直径φ1.8mm以上が必要です。加工品を貫通する穴も通常は対応できますが、パーツサイズ、穴径、材料によっては、貫通させることができない場合もあります。加工の制約により、削り残りが発生する可能性があるため、製造性の解析(DFM)を必ずご確認ください。

2. 深い形状

旋盤加工パーツ外面の溝は、深さは最大で23mm(幅3mm以上必要)、幅は最少で1.2mm(その場合の深さは2.2mm)になります。その他のキー溝のような形状を回転工具で加工する場合、通常は、前述の丸穴と同程度のサイズになります。また、周辺のパーツ肉厚は少なくとも0.5mm以上残すことをご検討ください。広い面やその他の切削加工面(マシニング加工または旋盤加工)は、使用可能な切削工具のサイズとパーツの形状に完全に左右されますが、深いリブや溝は、どこに設ける場合でも、加工が困難な可能性があります。パーツの表面にヒートシンクのフィンのような形状を加工することも可能ですが、実際のパーツの形状と使用可能な工具に依存します。この場合もやはり、製造性の解析(DFM)でよくご確認ください。またはカスタマーサービスエンジニアまでご遠慮なくお問い合わせください。

3. より良いねじ加工のために

プロトラブズのCNC旋盤加工とマシニング加工のねじ加工機能には、多くの共通点があります。工作機の種類と形状の配置にもよりますが、旋盤の内ねじに関しては、M3 x 0.5から最大M10 x 1.25までのねじ山を加工できます。ただし、一部例外もありますので、正確な寸法と詳細については、ねじ加工のガイドラインをご確認ください。ねじ山の適切なモデリング方法に関するセクションと、内ねじ/外ねじおよびマシニング加工/旋盤加工パーツの特長との関係について必ずお読みください。インサート部品の使用を検討する場合もあるでしょう。コイルインサートを使用すると、特にアルミニウムやプラスチックなどの柔らかい材料を使用する場合、直接ねじ切りするよりも長い寿命が得られます。また、取り付けも容易です。※弊社ではコイルインサートの手配や取り付けは承っておりません。

4. コストがかさみがちな文字加工

複雑な航空宇宙用途のパーツや医療用パーツには、多くの場合、パーツ番号と会社名を消えないように記す必要があります。文字の彫り込みは見栄えが良いものの、さまざまな機械加工の中でも時間を要するものの1つです。生産量が増えれば、そのコストは手に負えない額になります。通常は、電気化学的なエッチングかレーザーマーキングを行うほうが良いでしょう。ただし、文字の彫り込みが必要な場合は、シンプルで装飾の少ないフォントを使い、短く簡潔な文字列にするようにします。

5. 角R:コーナーに注意する

パーツの切削加工でよく見られる誤りは、内側コーナーの指定です。たとえば、プロトラブズのCNC旋盤では、回転工具の最小径はφ0.8mmになります。嵌合パーツがある場合は、このことを考慮して設計いただく必要があります。マシニング加工の切削工具は最少φ0.4mmになります。そのため、ポケットの内側コーナーの角Rは、その半径よりも少し大きい仕上りになります。ただし、これほど小径の工具を使用すると、マシニング加工には長い時間がかかることにご注意ください。最も確実な方法は、嵌合パーツのポケット内側の角Rをできる限り大きくすることです。

 

製造性を良く考慮したパーツ設計をしないと、もともと困難な機械加工がさらに困難になり、パーツ製作に多大なコストがかかります。少量の試作品では影響が少ないかもしれませんが、需要が急増してパーツを大量に製作することになった場合、大きな影響が出る可能性があります。

本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、カスタマーサービスエンジニアまでお気軽にお問い合わせください。
電話:0120-2610-25
Email:[email protected] 

パーツにねじ形状が必要な場合は頻繁にあります。ねじ加工のオプションは、マシニング加工と旋盤加工によって異なります。こちらをご確認のうえ、適切な加工方法を選択してください。

切削加工パーツにねじ加工を施す際には、インサート部品の使用を検討する場合もあるでしょう。コイルインサート(図参照)を使用すると、特にアルミニウムやプラスチックなどの柔らかい材料に、直接ねじ切りするよりも長い寿命が得られます。

関連項目: CNC 切削加工月刊Design Tips