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解決策をご提案!設計者の頭を悩ます  <ウェルドライン>とその回避方法

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射出成形は、カスタムの試作品やパーツを量産する際に用いられる、効率的な生産方法です。製品設計者は、製品開発や成形品の設計にあたり、製品強度、反り、ウェルドラインなど、さまざまな問題に直面します。ここでは、ウェルドラインの発生する仕組みや原因を解説したうえで、発生を防ぐための解決策を提案します。 

樹脂の冷却プロセス

射出成形とは、成形機のシリンダー内で樹脂を溶融状態まで熱してから金型に射出し、樹脂パーツを作る製造プロセスです。樹脂は金型に射出されると温度が低下します。そのため、金型内を流れる樹脂の先端部分は温度が最も低く、最初に固化します。問題が生じるのは、樹脂の流れが障害物によって分かれ、その障害物の反対側で樹脂が合流するときです。たとえば、パーツに貫通穴がある場合、穴を形成するための金型のコアが樹脂の流れに対して障害物になり、2つに分かれた樹脂が、下流で合流することになります。2つの流れが融合して固く結合するのが理想的ですが、温度が低くなりすぎた場合、ウェルドラインが発生します。

このアニメーションでは、金型内で樹脂の2つの流れが合流するときに、
どのようにウェルドラインが発生するかを示しています。

ウェルドラインとは?

<ウェルドライン>とは、目に見えるか見えないかにかかわらず、2つの樹脂の流れが合流してできる線のことを指します。パーツの用途によっては、ウェルドラインが発生しても、まったく問題ない場合もありますが、外観上の問題や製品強度上の問題につながる場合もあります。ウェルドラインが問題になる要因には、使用する樹脂もあります。成形に使用する樹脂によって、ウェルドラインが発生する傾向が異なるためです。ABSはウェルドラインができやすい樹脂の1つです。多くの場合、ABSならばウェルドラインができても十分な硬さがあり、パーツの強度が大きく損なわれることはありません。ただし、完成したパーツに亀裂が入っているように見える場合もあります。

問題の発生

ボス形状内にウェルドラインができると、強度上の問題が発生することがあります。ボスとは、ねじ留めなどのために柱に穴の開いた形状です(ねじでパーツを締結する場合はタッピングネジを使用するか、ナットをインサートするなどしてご対応ください)。

 

ボスは、金型内部の突起したコアピンの周囲に樹脂を流し込むことにより形成します。ピンの下流側で樹脂が合流すると、ウェルドラインが発生します。

ボスのウェルドラインは、2つの要因によって問題に発展することがあります。ボスが樹脂を注入するゲートから遠い位置にあると、樹脂が冷えて融合しづらくなるため、ウェルドラインが大きくなります。使用するねじにもよりますが「くさび」のような効果が加わると、ウェルドラインから亀裂が発生することがあります。

ウェルドラインはパーツに複数のゲートがある場合、ゲートとゲートの間で発生することもあります。ゲートとエジェクタのレイアウトを確認する際に、ゲートの位置や数を注視してください。複数のゲートを使用する場合は、2つのゲートの中間付近に、ウェルドラインが発生します。その付近に外観上重要な部分、強度上重要な部分がないか確認してください。

 

多数の形状があると、ウェルドラインが発生しやすい環境が生まれますが、リモコンはそれを示す好例です。この問題の対策は、ガラス繊維や鉱物が含有されている樹脂の使用を避けることなど、ごく限られています。

多数の形状があると、ウェルドラインが発生しやすい環境が生まれますが、リモコンはそれを示す好例です。この問題の対策は、ガラス繊維や鉱物が含有されている樹脂の使用を避けることなど、ごく限られています。

ウェルドラインの問題に影響を及ぼすものがもう1つあります。それは、ガラス繊維などのフィラー含有樹脂の使用です。ガラス繊維を含有する液状の樹脂が流れる様子を思い浮かべてください。樹脂が金型内部を移動していくとき、ガラス繊維はその流動先端よりも常に後ろに位置しているはずです。そのため、2つの流れが接触して固化するときに、接触面の向こう側まで繊維が綺麗に伸びません(繊維がぶつかり合うことによりパーツ表面が盛り上がることもあります)。このような場合でも、ウェルドラインが必ずしも脆弱になるとは限りませんが、ガラス繊維強化のメリットが得られないことになります。 

解決策

問題になるウェルドラインの発生を防ぐにはどうすればよいでしょうか。おそらく、ボスのようなフィーチャを排除することは不可能でしょう。しかし、樹脂の選択を考慮することはできます。具体的に言えば、貫通穴などのフィーチャがあるパーツでは、フィラー含有樹脂の使用を避けるとよいでしょう。樹脂が冷え固まる速度を遅くするために、パーツの肉厚を増やしてもよいでしょう。ただし、ヒケが発生するほどには厚くしないよう、注意しなければなりません。また、樹脂を注入するゲートの位置を良く考慮することで、ウェルドラインが発生する方向をコントロールすることもできます。

 言うまでもないことですが、ウェルドラインは量産部品で確認するよりも試作品で確認したほうがよいでしょう。それこそが試作を行う目的の一つです。

 

ご参考:
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