Design Tip

スライドを使わず横穴やフックの形成が可能に! 射出成形の設計に<押し切り合わせ>を取り入れる方法

押し切り合わせ(またはテーパ合わせ)は、金型や設計上の問題を解決できる一般的な設計手法です。図1Aと図1Bに示したボックス型の射出成形パーツを例に、この手法を詳しく見みてみましょう。家のような形をしているこのボックスには、4枚の垂直の壁と1つの屋根があります。垂直の壁の1つに、窓のような切り抜きがあり、屋根にも窓がついています。

金型へ置き換えると、金型固定側でボックスの外壁、可動側で内壁を形成することとなります。窓を形成するには、固定側と可動側の金型を閉じたときに、パーツに穴が形成されるように、金型の面を擦り合せて密着させる必要があります。これを「押し切り合わせ」といいます。

パーツ形状の形成に役立つ「押し切り合わせ」

2方向抜きの金型で押し切り合わせを使用することで、スライドを使うことなく、横穴、フック、長い貫通穴などの様々な形状の作成が可能になります。

この射出成形パーツの図は、左はパーツの外観(図1A)、右はドア形状に変更して押し切り合わせにした状態(図1B)を示しています。

この射出成形パーツの図は、左はパーツの外観(図1A)、右はドア形状に変更して押し切り合わせにした状態(図1B)を示しています。

ご覧いただいている各図は、押し切り合わせの設計例を示しています。1つ目のボックス型のパーツの例に戻りましょう。図1Aを見ると、ボックスの壁に窓(横穴)が付いています。この窓は通常スライドを使って形成する必要がありますが、図1Bのように敷居をなくしてドア形状にすれば、2方向抜きの押し切り合わせで形成することができます。このドア部分は金型の可動側で形成されて、外壁を形成する金型固定側の面と擦り合って密着します。オレンジ色で表示されている面は金型同士が密着する面(押し切り面)です。この押し切り面が大きく傷んだり摩耗したりすると、樹脂が漏れ出てバリが発生します。屋根窓も同様です。

押し切り面で問題が発生しないようにするには、抜き勾配を設けましょう

押し切り合わせを使用する場合、摩擦による傷みからの保護と合わせ面同士の密着度を強くするため、抜き勾配を大きめにする必要があります。最低でも3°の抜き勾配(最適な勾配量は押し切り面の高さによります)を設けると、金型の押し切り合わせ面同士のクリアランスが確保されますので金型開閉時に擦れなくなり、バリに繋がる金型かじりや摩耗のリスクを避けることができます。

次の図を見てください。図2Aは、貫通する横穴が付いた樹脂パーツを示しています。スライドのストローク制限を超える貫通穴や、スライドをなくすことで型費のコストダウンをしたい場合は、多少工夫が必要です。この例では貫通穴に対して表面と裏面から交互に連続して肉を抜くことで、押し切り合わせ構造となり、パーツ全体を貫通する横穴が形成されます。このテクニックは、ヒンジなどの設計にも役立ちます。

図2A(左)は貫通する横穴、図2B(右)は押し切り合わせで形成するフックを示しています。

図2A(左)は貫通する横穴、図2B(右)は押し切り合わせで形成するフックを示しています。

フックやクリップの形状

内側アンダーカットになるフックやクリップ形状は、短納期での金型製作がなかなか難しい場合があります。それは一般的に内側アンダーカットを形成するには置き駒または製品の突き出しと連動した傾斜コア(プロトラブズでは対応していません)などが必要になり、コストも時間もかかってしまうためです。この場合、図2Bのように根元部分に穴を設けることでテーパ合わせ面によるフック形状の形成が可能です。穴を開ける際には押し切りのための勾配(3°以上)を考慮してフックの顎よりも大きい穴を設ける必要があります。これにより青色面を形成する金型と緑色面を形成する金型でテーパ合わせ構造となり、嵌合パーツにスナップフィットするフックができあがります。

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