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幅広い耐性のニーズに対応!柔軟性、耐久性に優れた <エラストマー製パーツ>の活用メリット

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※本記事は米プロトラブズにて編集・作成されたものです。文中の一部サービスには日本では未展開のものも含まれています。

材料研究者は、自分が開発したものに複雑で長い名前を付けたがる傾向があります。ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂、ポリエステルの一種)やアクリロニトリル ブタジエン スチレン(一般的にはABSと呼ばれる熱可塑性樹脂)など挙げられますが、これらはほんの一例です。そして、私たちの生活を大きく変えてきた多くのポリマーの中には、それら複雑な名前を持つ仲間よりも、はるかに長い間利用されているものがあります。名前は素朴ですが、耐久性、柔軟性、耐熱性に優れ、射出成形や3Dプリンティングなど、さまざまな製造方法に適している、一般的には「ゴム」として知られている材料です。

エラストマーの種類

ゴムは、タイヤやエンジンホースをはじめ様々なパーツの材料として使われています。シリコーンゴムについて取り上げると、シリコーンゴムは、技術用語で言えば粘弾性ポリマー(viscoelastic polymer)ですが、別の呼び方をすると、エラストマー(elastomer)になります。エラストマーは丈夫で(通常は)柔軟性があり、高い物性(機械・化学・光学的特性など)を持ち、様々な用途に適したグレードがあります。

この記事では、柔軟性が必要なパーツの設計にエラストマーを使用する方法と、それぞれのエラストマーに適している製造方法について詳しく説明します。

射出成形用エラストマー

住宅などのコーキング修理に2液タイプのエポキシ樹脂を混ぜて使用した経験のある方ならば、液状シリコーンゴム(以下LSR)パーツの作り方はよくご存知のことと思います。LSRの成形で使う射出成形機では、一般的な熱可塑性樹脂の射出成形と製法が似通っていますが、顕著な違いもいくつか見られます。例えばLSR成形では、主剤と硬化剤を同比率で混ぜ合わせて冷却し、加熱した金型に流し込むことで、硬化したパーツが形成されます。

 

この透明なパーツは、液状シリコーンゴム(LSR)成形で自動車のOEM向けに製造された高性能なLEDフォグライト用の光学パーツです。

この透明なパーツは、液状シリコーンゴム(LSR)成形で自動車のOEM向けに製造された高性能なLEDフォグライト用の光学パーツです。

LSRパーツの設計ガイドラインはかなり緩やかです。肉厚、抜き勾配、アンダーカット、フィレットなど、形状に関して心配する必要はほとんどありません。LSRに含まれる水分は均一であり、成形時に、薄肉部でのショートショットやウェルドライン、深いリブ周辺や厚肉部でのヒケ、ボイドなどが発生しにくいことが特徴です(もちろん、これは金型のゲートとガス抜きが適切に設定されていることが前提です)。また、パーツの取り出しもほとんどの場合は問題なく行えます。LSR製パーツは柔軟性があるため、金型の抜き勾配が少なくても取り出すことができます。また、ほとんどの場合はエジェクタピンを使用する必要がありません。注意すべき点があるとすれば、バリの問題です。LSRは粘度が低いため、金型のパーティング面に少しでも隙間があるとバリになってしまいますので、パーティングラインをできる限り簡易的にしていただく事を推奨いたします。

プロトラブズでは、以下4種類のLSRを用意しています。各種それぞれ明確な特徵がありますが、基本的な設計ガイドラインは同じです。

1. LSR(一般用途)— Elastosil LR 3003シリーズには、30~80(ショアA)まで、6つのデュロメーター(硬さ)があります。ほとんどのLSRと同様に、問題なく着色できます。用途としては、自動車の電気部品や食品業界向けのシール、ガスケット類のほか、柔軟性と耐久性、温度特性が必要な場合に適しています。

2. LSR(フロロシリコーン)—Silastic FLは厳しい環境に非常に強い特性を持っています。溶剤や化学薬品の近くで使用するシール、ガスケット、メンブレン(膜状の部品)や低温(約-65°Cまで)環境に適しています。

3. LSR(医療用)—Dow Corningが開発したQP1-250は、医療業界に特化したLSR製品です。外科や歯科手術用部品、ヘルスケア製品など、人体に直接触れる用途でよく利用されます。また、QP1-250は、引裂強度が最大で52.4 kN/mと非常に高く、プロトラブズが扱う材料の中でも高い特性を持っています。

4. LSR(光学用)—クリアで耐久性に優れたレンズや、その他の透明なパーツを製造する必要がある場合、一般的にポリカーボネートやPMMAが使われることが多いですが、光学グレードのLSRは、それらよりもはるかに高い成形性と、ガラスに次ぐ光学品質を有しています。生体適合性のほか、高い硬度(ショアA 72)を持っています。

TPETPVは、通常、熱可塑性エラストマー成形品を検討している場合に使用します。この材料が本領を発揮するのは、二色成形など2種類の材料を使用するケースです。たとえば、PolyJet3Dプリンティング)を使用した試作を終えて、次の開発段階に進む際に、プロトラブズでは、TPE/TPV(熱可塑性エラストマー/熱可塑性加硫エラストマー)に属するさまざまなグレードのエラストマー材料を用意しています。たとえば、Santoprene 111-45 (TPV)は耐疲労性に優れ、スマートフォンのカバーなどに適しています。同様に、Santoprene 101-73は自動車などのステアリングコラムブーツやスピーカーなどの周辺用途に適しています。

また、Versaflex OM 1040X-1(TPE)は手触りが柔らかく、外観性(着色可能)に優れ、ポリカーボネートやABSとよく結合するため、医療機器などのグリップに適しています。Versaflex OM 6240-1も着色可能なTPEで、ナイロンとの親和性が高い材料です。Hytrel 3078は、通常のゴム材料よりもはるかに柔軟性、曲げ性、伸縮性に優れており、エラストマーを代表する材料と言えるでしょう。

PolyJet(ポリジェット)方式の工業用3Dプリンティングを導入することで、柔軟な機能により、複数の材料を使用した試作品を製作できます。また、複数の材料特性を併せ持つパーツを製作することもできます。

PolyJet(ポリジェット)方式の工業用3Dプリンティングを導入することで、柔軟な機能により、複数の材料を使用した試作品を製作できます。また、複数の材料特性を併せ持つパーツを製作することもできます。

この聴診器は、3Dプリンティング(PolyJet)用の2種類のエラストマー材料で試作した例です。

この聴診器は、3Dプリンティング(PolyJet)用の2種類のエラストマー材料で試作した例です。

エラストマーパーツは医療業界でよく使用されます。血液サンプルの密閉に使用するこのパーツには、LSR(液状シリコーンゴム)が使用されています。

エラストマーパーツは医療業界でよく使用されます。血液サンプルの密閉に使用するこのパーツには、LSR(液状シリコーンゴム)が使用されています。

これらの材料の設計ガイドラインは、LSRの設計条件と、従来の熱可塑性樹脂の設計条件のほぼ中間に位置します。パーツの製造性を確認するためには、3D CADファイルを弊社の自動見積もりシステムにアップロードしてください。短時間で製造性の解析結果(DFM)付きのお見積りをお送りさせていただきます。

3Dプリンティング用エラストマー

PolyJet 3Dプリンティングでは、吹き付け可能な特殊液体フォトポリマーを使用します。この材料は、造形の硬度を調整することができるので、電動工具の持ち手部分や、屋外での使用を想定したパッキン付きケースなど、二色成形品の試作に最適です。カラーは、白色、黒色、透明から選択でき、ショアA硬度は30から最も硬いものでショアD硬度86まで調整が可能です。ただし、ご自分の3Dプリントするパーツが射出成形に適しているかどうかの確認も必要です。設計したパーツがコスト効率の良い量産には不向きであることが後になって判明することは避けるのが望ましいでしょう。

また、もう1つの3Dプリンティング工法であるSLSSelective Laser Sintering、粉末焼結積層造形)では、最近までナイロンライクの、白色、黒色のガラス繊維強化ポリマーしか利用できませんでした。もしその他の材料を希望する場合は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)をお勧めします。樹脂射出成形の世界では、ポリウレタンは、優れた機械特性を持ち、幅広い硬度のものを利用できます。また、樹脂のベースがポリエステルかポリエーテルかによっても異なりますが、TPUは耐薬品性、耐微生物性、耐加水分解性、耐摩耗性など、さまざまな特性を有しています。

ご参考:
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技術資料(ホワイトペーパー):
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図解 樹脂部品設計 Vol 1

樹脂射出成形を考慮した樹脂設計について図解しました。射出成形の仕組みから推奨肉厚、肉厚、表面仕上げ、公差、キャビ・コア、樹脂の選定など樹脂製品の設計にお役立てください。

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図解 樹脂部品設計 Vol 2

凹凸形状や穴形状、直線や曲線などさまざまなフィーチャを備えた樹脂パーツの設計に関するアドバイスをまとめました。 スライド、テーパ合わせ、置き駒、無理抜きなどに関する解説もお役立てください。