
クリップ、ラッチ、ヒンジの設計
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樹脂のパーツをつないで固定する方法には、目的に応じてさまざまな方法があります。たとえば、恒久的に固定したい場合は、接着が代表的な方法で、滅多に外さないまでも半永久的につなぐ方法としてはネジ留めが一般的でしょう。着脱を簡単にすること、あるいは頻繁にできるようにすることが求められる場合には、クリップやラッチ形状が用いられます。
一口にクリップやラッチといっても以下に示すようにさまざまなものがあります。
≪目次≫
1.携帯電話の裏蓋
2.テレビのリモコンの裏蓋
3.プラスチック製の道具箱
4.クリップ
5.リビングヒンジ



3. プラスチック製の道具箱(図 3 ) は二つの四角形のラッチが、箱の本体の突起に引っかかって蓋が固定されます。これらのラッチの着脱は、ラッチの曲げによって可能になります。どの程度曲がるかは、使用する樹脂の材料特性と形状の設計に依存します。道具箱の本体は、リビングヒンジで接続されており、ヒンジを形成するフィルム状の樹脂は、蓋の開け閉めに伴う繰り返しの曲げに耐えることができます。
使用する開閉機構の種類によって、考慮すべき柔軟性や応力の課題があります。Design Tipsのバックナンバーで「スナップフィット」と「リビングヒンジ」の設計についてご紹介しています。文末にリンク先を記載していますので、参考にしてください。
クリップ

クリップには着脱の際に適度にたわむよう、柔軟性が求められます。適切な樹脂を選択することが重要ですが、形状自体についても特にアームの長さと厚みは重要です。(図4参照) アームの長さが長く、厚みが薄ければより大きくたわませることができますが、相手側と嵌合した時の保持力が低下する可能性があります。対して、長さが短く、厚みが厚ければ保持力は上がるかもしれませんが、柔軟性が下がるため嵌合時のたわみ量によっては破損してしまう可能性が増すのです。

リビングヒンジ (図 5 )
リビングヒンジを用いる場合は、樹脂の種類と設計の両方を考慮する必要があります。リビングヒンジで折り曲げて、ラッチで留めるパーツの樹脂としてはPE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)が適しています。設計にあたってはヒンジの肉厚が重要ポイントです。厚肉過ぎるとヒンジを曲げる際にかかる応力で亀裂が入ることがあります。その一方で、薄肉過ぎると繰り返される曲げ伸ばしに耐えられない可能性がある他、射出成形する際に樹脂が十分に充填されない可能性があります。図5に示す形状は、上に示した二つの材料のどちらを使用する場合でも、うまく機能します。
しかし、リビングヒンジは肉厚が薄い部分なので、成形時の樹脂の充填が困難な場合があります。樹脂を単一のゲートから充填することで、ヒンジの強度を確保しやすくなりますが、ヒンジが充填された後の下流部分でボイドやヒケが発生する可能性があります。ゲートを複数設けることで、ヒケを回避することはできますが、その代わりにヒンジにウェルドが発生して、強度の低下につながることがあります。これらの問題を避けるためにプロトラブズのカスタマー サービスがゲートの位置を決めるお手伝いをさせていただきます。上手く設計されたリビングヒンジであれば、何回でも曲げたり伸ばしたりを繰り返すことができます。
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