樹脂(プラスチック)が劣化する主な原因と影響について解説

樹脂(プラスチック)が劣化する主な原因と影響について解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. 樹脂(プラスチック)の劣化とは

2. 樹脂(プラスチック)が劣化する原因

(1)単一の外的要因による劣化

(2)複合的な外的要因による劣化

(3)材料自身の経時変化


樹脂(プラスチック)は、劣化しやすい材料です。劣化がどのような原因で発生するか、また、その影響はどのようなものかを知っておくことで、対策を取ることが可能です。この記事では、樹脂(プラスチック)の劣化や劣化の主な原因について解説します。

 

 

1.樹脂(プラスチック)の劣化とは

樹脂(プラスチック)は、さまざまな要因によって劣化します。樹脂(プラスチック)の劣化により生じる現象は、製品の性能に大きな影響を与える可能性があるため、設計段階から使用する段階まで、注意する必要があります。

樹脂(プラスチック)の劣化によって引き起こされる現象はさまざまです。例えば、樹脂(プラスチック)は劣化することにより変色する可能性があります。また、材料の表面が溶け、触るとべたべたすることもあります。他には、材料強度の低下も樹脂(プラスチック)の劣化により生じる現象の一つです。

樹脂(プラスチック)の劣化の程度が大きくなると、クラックが目立ち、変形が生じることもあります。このような劣化の影響は、樹脂(プラスチック)の種類によって異なるため、あらかじめ使用する樹脂(プラスチック)が劣化した際にはどのような影響が生じるのか、把握しておくことが重要です。

 

また、樹脂(プラスチック)製品が劣化する際の影響を低減する方法として、寿命予測をしておくことも効果的です。後述するように、樹脂(プラスチック)が劣化する原因はさまざまなものがあるため、寿命を予測することは困難ですが、促進劣化試験などさまざまな取り組みにより、ある程度の精度で寿命を予測することは可能です。

樹脂(プラスチック)の促進劣化試験方法の中で代表的なのは、「アレニウス法」「時間-温度換算則法」「S-N線図法」「マイナー則法」の4つが挙げられます。いずれの方法で寿命予測をする場合でも、理論だけでは難しいため、専門家による多角的なアプローチが必要です。専門家・技術者が協力し、チームを組んで進めるといいでしょう。

 

 

2.樹脂(プラスチック)が劣化する原因

ここからは、樹脂(プラスチック)が劣化する原因について確認します。樹脂(プラスチック)が劣化する原因はさまざまですが、大きく分類すると単一の外的要因、複合的な外的要因、材料自身の経時的要因に分類できます。それぞれについて確認しましょう。また、劣化する原因を把握し、その影響を受けないように対策を取ることが重要です。

 

(1)単一の外的要因による劣化

樹脂(プラスチック)が劣化する単一の外的要因にはさまざまなものがあります。

代表的な劣化要因としては、熱・光・有機溶剤・酸・アルカリ・応力や歪みが挙げられます。これらは、樹脂(プラスチック)に影響を与える代表的な要素です。上記以外に単一の外的要因としては、電気や水、ガス、界面活性剤、微生物などによる影響も生じます。

例えば、樹脂(プラスチック)は加熱されることで分子構造が変化するため、収縮や性能の変化を生じます。また、紫外線(太陽光)など光の影響としては、化学結合の切断が挙げられ、強度の低下に加えて、外観の変化として光沢の低下や変色などを生じます。

製品として使用する際の環境、製品を製造する際に使用する材料の種類によって、考慮すべき劣化要因は変わってきます。あらかじめ、どのような環境で使用するか、どの材料を使用するかを整理し製品設計を行うことで、検討漏れによる劣化の影響を最低限に抑えられます。

実際には、単一の外的要因だけが影響することはほとんどないため、次に紹介する複合的な外的要因や経時変化の影響の考慮は欠かせません。

 

(2)複合的な外的要因による劣化

一般的な使用環境では、単一の外的要因で紹介した項目が複合的に影響を与えることで劣化します。

例えば、屋外で使用する際には太陽光の影響に加えて、雨天時には雨、晴天時には直射日光による熱の影響を受けます。また、製造業などで使用する場合には、応力がかかると共に薬剤などの環境物質の影響を受ける可能性があります。

単一の外的要因を積み重ねた場合よりも、熱×応力、光×水など複合的な要因の方が材料に対して大きな影響を及ぼす可能性があります。特殊な環境で使用する場合には、必ず事前に使用環境か、それを想定した環境で評価することが重要です。

 

(3)材料自身の経時変化

もし、外的要因の影響を受けるような環境で使用されていなかったとしても、樹脂(プラスチック)自体が経時変化を起こすことで劣化は進みます。樹脂(プラスチック)は常に化学的な変化を緩やかに続けている状態なので、長い時間使用し続けることで劣化し、その影響の出方は、樹脂(プラスチック)の種類によっても異なります。

 

 

まとめ

樹脂(プラスチック)を材料とした製品を使用する際には、どのような要因で劣化するか、劣化によりどのような影響が生じるかをあらかじめ確認しておくことが重要です。

また、劣化の原因となる要素が複合的に存在することで、樹脂(プラスチック)はそれぞれが単一で生じている場合よりも大きな影響を受けることがあります。事前に劣化の影響を予測し、対策を講じておくことが重要です。