判別が困難なアルミ材料の種類の見分け方について解説

判別が困難なアルミ材料の種類の見分け方について解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. アルミ材料の判別が必要な理由

2. アルミの種類を見分けるのは基本的に困難

3. アルミの種類の見分け方

(1)アルカリエッチング

(2)結晶組織の検出

(3)導電率測定

(3)判別試薬による反応


アルミは添加される元素の種類や量により1000系から7000系に分類され、その特徴はさまざまです。やむを得ず複数種類のアルミ合金が混ざってしまった場合には、その種類の見分け方を知りたい場合もあるでしょう。この記事では、アルミ合金の種類をどのように見分けるかについて解説します。

 

 

1.アルミ材料の判別が必要な理由

アルミ材料は純アルミとアルミ合金に分類され、その種類はさまざまです。1000系から7000系に分類されるのが一般的で、それぞれ純アルミに添加される元素の種類や量、組み合わせが異なります。アルミ合金は、類似の特徴を持つものもありますが、中には種類によって大きく違う特徴を持つものもあります。しかし、外観はあまり差がない場合も多く、どのアルミ合金かわからなくなってしまったものを見分けるのは簡単ではありません。

また、種類によって大きく違う特徴により、間違ったアルミ合金で加工をしてしまうと、狙い通りの製品ができなくなってしまいます。特に表面処理を行う際には違いが大きく出やすく、アルマイト時にはどのアルミ合金を使用したかによって、色や表面性状、発色具合などが変わるため、注意が必要です。

整理すると、多くの種類があるアルミ合金が混ざってしまった場合など、外観では見分けがつかず、誤った材料では加工時の性能に大きな差が出る場合があるため、アルミ材料の判別が必要になります。

 

 

2.アルミの種類を見分けるのは基本的に困難

さまざまな種類があるアルミ合金を見分けるのは、基本的に困難です。アルミ合金の中にも、質感や見た目に違いがあるもの、密度に違いがあるものなどはあり、それらは分類できますが、簡単に測定できる項目を元に特定することは容易ではありません。

自社で扱っているすべてのアルミ合金を把握していて、それらに長い年月携わっている場合には、職人の勘やコツで見分けられる可能性はあります。しかし、誰にでもできるわけではありません。

また、非鉄金属のスクラップの分類など、どのような種類のアルミ合金が混ざっているかわからない場合には、見分けるのはさらに難しくなります。

 

 

3.アルミの種類の見分け方

見分けるのが困難なアルミ合金ですが、いくつかの方法で見分けられる可能性があります。ここでは、アルミ合金を見分ける方法を4つ紹介します。これらの方法は、アルミ合金を見分ける必要性が高い、表面処理の現場で行うことができるようなチェック方法です。

 

(1)アルカリエッチング

アルカリエッチングは、アルマイトをする際の前処理の一つで、もっとも一般的な工程です。エッチングは、アルミ表面の汚れや傷の除去、光沢の調整をすることが目的で、表面を溶解する処理です。

水酸化ナトリウム水溶液で、見分けたいアルミ合金をアルカリエッチングすることで、アルミ合金の中に含まれる不純物や添加元素が析出するため、分析に活用できます。また、エッチング時の状況がアルミ材質の差異に繋がります。

表面処理の現場ではアルカリエッチングを一般的に行うため、簡単に確認することが可能です。

 

(2)結晶組織の検出

アルカリエッチングではなく、酸によるエッチングで見分ける手段もあります。エッチング液を準備し、見分けたいアルミ合金の表面を脱脂綿につけたエッチング液で繰り返し洗うことで、結晶組織の検出が可能です。エッチング液は、例えば濃硝酸や濃塩酸、フッ酸などを混合することで作ることができます。

アルカリエッチングと同様に、材料の表面を溶解することで分析する方法ですが、エッチング液の材料となる濃硝酸、濃塩酸、フッ酸を常備していない場合も多く、アルカリエッチングよりも取り組みにくい可能性があります。

 

(3)導電率測定

アルミ合金は、その種類や熱処理がどの程度されたか、またどのような加工がされたかによって導電率が異なります。複合的な影響を受けるため、簡単に判別できるわけではありませんが、見分けたいアルミ合金の導電率を調べることで、分類できる可能性があります。

 

(4)判別試薬による反応

最後に、判別試薬による反応からアルミ合金を見分ける方法があります。判別試薬としてはさまざまなものがありますが、それらを用いることで特定のアルミ合金だけ色が変化するため、見分けることが可能です。

1種類の判別試薬による結果だけでは判別できなくても、複数の判別試薬で反応させた結果を集約することで、1000系から7000系のどの種類に分類されるかは、ほぼ判断できるようになります。

 

 

まとめ

アルミ合金は種類が多く見分けるのが難しいため、まずは、複数のアルミ合金を管理する状況において、それぞれの種類が混ざってしまわないように管理することが重要です。しかし、やむを得ず混在してしまった際には、今回紹介したような4種類の判別法を試すことで、アルミ合金の種類を見分けられる可能性があります。

特に、判別試薬による反応を見る方法では、試薬の準備や反応に手間がかかるものの、細かく分類できる可能性があるため、万が一の手段として、取り組めるように把握しておくといいでしょう。