治具の位置決めにおいて注意すべきポイントと位置決め方法を解説

治具の位置決めにおいて注意すべきポイントと位置決め方法を解説

ホーム > 技術情報一覧 > 月刊Design Tips >治具の位置決めにおいて注意すべきポイントと位置決め方法を解説

 

※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. 治具の位置決めとは?

2. 治具の位置決めで注意すべきポイント

(1)繰り返しばらつきが小さいこと

(2)加工工具と干渉しないこと

(3)歪み・たわみが起きないこと

3. 治具の位置決めをする方法

(1)面当たりで位置決め

(2)点当たりで位置決め

(3)ピンと穴を使った位置決め

(3)V溝を使った位置決め


製造業で治具を組み立てや加工に用いる場合、治具の位置決めには十分に気を付けることが重要です。治具の位置決めが適切にできていない場合、狙い通りの製品を作ることができない可能性があります。この記事では、治具の位置決めにおいて注意すべきポイントや位置決めをする方法について解説します。

 

1.治具の位置決めとは?

治具は製造工程において製造の補助をするために利用する器具で、工具の位置決めやガイドなど、さまざまな役割を担っています。治具を利用することで、量産工程で繰り返し行う作業の精度や作業効率を向上させることが可能です。

治具の位置決めとは、治具をあらかじめ決められた場所に適切にセットすることです。製造工程において重要な役割を担う治具ですが、位置決めが適切に行えていない場合、悪影響を及ぼす可能性があります。治具の位置決めを適切に行うことで、生産効率の向上や品質の安定に繋がるため、重要な要素です。

 

 

2.治具の位置決めで注意すべきポイント

前述したように、治具の位置決めは製品の精度や生産効率を向上させるために必要不可欠です。そこで、治具の位置決めで注意すべきポイントについて解説します。

 

(1)繰り返しばらつきが小さいこと

治具は多くの場合、量産が必要な完成品や部品の生産時に用います。繰り返し使用する中で製品の精度を維持するために、繰り返しばらつきを小さくすることが重要です。具体的には、短時間で効率よく、常に同じ位置に位置決めができるような工夫をする必要があります。

 

(2)加工工具と干渉しないこと

治具の用途としては、検査や組み立てなどがありますが、特に加工で使う場合には切削工具などの加工工具と干渉しないように気を付ける必要があります。位置決めをする位置が悪く加工工具と干渉してしまう場合、適切な加工ができないだけでなく、工具の破損や製品の破損、治具の破壊に繋がる可能性があるため注意しましょう。位置決めをする際には、細かい調整ができるように高さや横方向の調整ができる必要があります。

 

(3)歪み・たわみが起きないこと

治具の位置決めをする方法には、さまざまなものがありますが、中にはクランプなどにより治具本体に大きな力をかけるものがあります。治具にかけた力によって、歪みやたわみが起きることで、治具本来の精度を実現できない場合があり、その状態では精度や生産効率の悪化に繋がります。治具を位置決め、固定する際には歪みやたわみが発生しないように注意が必要です。

 

 

3.治具の位置決めをする方法

実際に治具の位置決めをする方法はいくつかありますが、ここでは4種類の位置決め方法について解説します。いずれの方法でも、ここまで紹介した注意点に配慮しながら位置決めを行う必要があります。

 

(1)面当たりで位置決め

もっとも基本的な位置決め方法は、面当たりで位置決めをする方法です。特に、平面となる面が3面以上ある場合に有効で、底面を基準として、2方向の側面を当てることで位置決めを行います。底面が基準となるため、異物の噛みこみによる位置ずれなどを防ぐために、安定する範囲でできるだけ小さい面積の方が望ましいでしょう。また、でっぱりがあると位置決めがうまくいかない場合があるため、でっぱりを柔軟に吸収できるように、ある程度スペースを確保しておくと、汎用性が高くなります。

 

 

(2)点当たりで位置決め

点当たりは、面当たりと比較的近い位置決め方法です。底面を基準面として採用する点は面当たりと同様で、異物の噛みこみに注意する必要があるというポイントも同様です。側面を面ではなく点で固定するという点で、点当たりと面当たりは異なります。ワークがきれいな平面形状ではない場合や、面に近いが表面に凹凸がありうまく面当たりで固定できない場合には、点当たりにすることで位置決めを行うことが可能です。位置決めに用いる点当たり用のピンは、可動式にしておくのがおすすめで、例えばボルトとナットを組み合わせることで位置決めをすることも可能です。

 

(3)ピンと穴を使った位置決め

底面のみで位置決めをする必要がある場合、ピンと穴を使った位置決めが用いられる機会が多くあります。ワーク本体にあらかじめ位置決め用の穴をあけておき、基準となる面に、ワークの穴に入るようなピンを設置しておきます。ピンと穴の数は最低限2個あれば位置決めができ、多ければ多いほど精度よく固定することが可能です。一方で、穴の位置が遠かったり、数が多かったりすると、設置する際にうまくはまらずに時間がかかってしまうことがあるため、作業性と精度の適切なバランスを見極める必要があります。

 

(4)V溝を使った位置決め

これまで紹介した位置決め方を使用できない、円形のワークなどを使用する場合には、V溝を使ってワークを固定、位置決めする方法が使われます。V溝をうまく組み合わせるなど、固定方法の工夫をする必要があります。

 

 

まとめ

治具の位置決めは、生産効率の向上や品質の安定化を実現するために必要不可欠です。位置決めをする方法にはさまざまなものがあり、ワークに合わせて適切な方法を選択し、注意点に配慮した位置決めを行うことで、大きなメリットを得られます。