溶接に治具を用いるメリット・デメリット、治具の種類を解説

溶接に治具を用いるメリット・デメリット、治具の種類を解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.溶接で治具を用いるメリット

2.溶接で治具を用いるデメリット

3.溶接治具の種類

4.溶接治具を製造する際の注意点


溶接作業は作業者への負荷が高い作業であり、作業効率の向上や負荷軽減を目的として、治具が用いられることがあります。今回は、溶接に治具を用いる場合のメリットとデメリットについて解説します。また、さまざまな種類がある溶接治具の種類、溶接治具を製造する際の注意点も合わせて紹介します。

 

1.溶接で治具を用いるメリット

 

 

2.溶接で治具を用いるデメリット

一方で、溶接で治具を用いる際にはデメリットも生じます。

溶接を行う際には、治具を用いることでさまざまなメリットがあります。治具を用いるメリットとしては、作業者の技術だけでは実現が難しい作業の効率化や、品質の向上を実現できる点が挙げられます。

治具を用いることで、作業の難易度が低下するため、技術者の技術や経験の差によらず、安定した品質の生産が可能です。また、溶接作業を自動化、半自動化することが可能なため、効率化や生産性の向上につながります。さらに、歩留りが向上することでコストの低減を実現します。

これらの効果により、溶接工程そのものに対するメリットだけでなく、前後の工程や顧客に対しても大きなメリットがあるため、溶接治具は広く使われるようになっています。

まずは、治具を製作するためのコストが必要な点です。治具製作に必要なコストは治具の複雑さや材料などにもよります。ただし、治具は量産品のように多くの数を作ることはないため、治具一つ当たりのコストは高くなりがちです。

また、治具を採用することで従来の工程から変更する必要があるため、新しい作業標準の構築や安全作業の実施が必要になります。さらに、治具を設置するスペースや使用しない場合に保管しておくためのスペースが必要です。

さらに、治具の状態によって製品の効率化や精度に影響を与えるため、常にメンテナンスを行い適切な状態にしておくことが重要です。

治具を採用する際には、これらのデメリットを認識し、それよりも治具を活用することによるメリットが大きいことを確認する必要があります。いずれのデメリットも、設計時の工夫、配慮などにより解消することが可能です。

 

 

3.溶接治具の種類

溶接の治具は、その用途によりコンピュータでの自動溶接が可能な自動溶接治具、溶接中にワークが動かないように固定できる母材固定用治具、溶接作業に必要なさまざまな機能がついている溶接定盤・溶接テーブルに分類できます。

自動溶接治具は現在、研究開発が進められている分野であり、職人不足による生産性の低下を防ぐことが主な目的とされています。他にも、人材不足の解消やコストの低減、品質の向上・安定化、作業員の安全確保につながります。また、今後はDXやIoT化、ライン全体の自動化が進められていくことが想定されるため、自動溶接治具を事前に採用しておくことで、準備を進めることが可能です。

母材固定用の治具は、ワーク本体を決められた位置、高さ、角度に固定するために用いられます。具体的には、マグネットやブロック、クランプなどが一般的で、これらは扱う材料の特徴やワークの形状などによって使い分けています。溶接作業で重要となる母材同士の距離や位置を適切に設定できるため、効率化の実現には効果的です。

溶接定盤や溶接テーブルは、特定の機能を使用するために用いられる作業台です。母材を固定するために用いるクランプや、アングルを固定するための穴が開いたもの、テーブル下に引き出しなどがついているものも治具に分類できます。

また異なる切り口としては、汎用の溶接治具、専用の溶接治具という見方でも分類することが可能です。専用の溶接治具は、特定のワークに対して効果を最大限発揮できますが、段取り工数の増加や治具製造コストの増加が課題となります。

このように、溶接治具にはさまざまなものがあり、用途に応じて使い分けられています。

 

 

4.溶接治具を製造する際の注意点

溶接治具を製造する場合には、設計時点でいくつか注意すべきポイントがあります。

まずは治具製作を行う担当と、実際に治具を使用する現場作業員とのコミュニケーションを確実に行うことが重要です。治具を使用することにより実現したい内容などを確実に共有することで、効果的な治具を設計できます。

また、溶接は治具や母材が高温状態になる加工法のため、扱う母材の種類や溶接方法に合わせて、適切な材料で治具を製造することが必要です。治具に負荷がかかることで、繰り返し使用できない状態の場合、定期的に治具を交換しなければいけません。

このように、治具製造における注意点を考慮することで、効果的な治具を製造することが可能です。

 

 

まとめ

溶接は作業者への負荷が高い加工方法の一つで、治具を用いた効率化や自動化などが求められています。さまざまな治具が開発されており、用途に合わせた治具を設計、製造することで多くのメリットを得られます。

一方で、治具製造にコストが必要な点や治具使用時の作業手順変更など、デメリットもあります。設計する際に使用時の状況を十分把握し、配慮した設計を行うことで、治具の効果を最大化させることが可能です。