ABS樹脂|黒色の特徴や用途

ABS樹脂|黒色の特徴や用途

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.ABS樹脂とは

2.ABS黒色の特徴

3.ABS黒色の用途

4.ABS黒色の短所

5.ABS黒色の注意点


ABS樹脂は幅広い分野で使用されています。その特徴の一つとして着色性に優れている点が挙げられます。この記事では、一般的なABS樹脂の特徴に加えて、ABS樹脂を黒色にしたものの特徴や用途、使用する場合の注意点を解説します。ABS樹脂の中でも、特に黒色のものについて興味を持っていただけた方は、ぜひご一読ください。

 

1.ABS樹脂とは

ABS樹脂は、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)を材料とした樹脂(プラスチック)で、それぞれの頭文字に基づいて名前が決められています。

ABS樹脂は、1960年ごろにアメリカの企業によって製品化されました。その後、さまざまな製造方法や製造時の配合比率の変更、一部材料の置き換えなど検討が進んでいます。

ABS樹脂は材料となるアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンが持つ特徴を兼ね備えた、バランスの良い材料です。耐衝撃性や曲げ疲労性などの機械的強度に加えて、耐熱性、耐寒性、加工性なども優れています。

また、着色しやすく添加剤を配合することで特性の調整が可能なため、幅広い用途で用いられています。さらに、軽量で機械的強度が高く、成形性に加えて印刷特性が優れている点も重要です。

一方で、ABS樹脂は光に弱く紫外線によって強度が劣化してしまいます。また、可燃性であることや加工中の臭気が課題になる場合があります。実際に加工、製品へ適用する際には、十分な注意が必要です。

特に、外観部品に使われることが多いABS樹脂にとって耐候性の弱さは大きな弱点です。使用環境を十分に確認した上で、適切な対策をとりながらABS樹脂を採用するのか、他の材料に切り替えるのか、慎重な判断が必要です。

ABS樹脂は汎用性の高い樹脂(プラスチック)ですが、材料の比率や一部の材料を他のものに置き換えることで、さらに特徴を変化させた材料を実現できます。例えば、ブタジエンの代わりに塩素化ポリエチレンを加えたACSや、アクリルゴムを加えたASA樹脂などが挙げられます。これらの材料に期待されているのは、耐候性や耐衝撃性の向上です。

汎用性が高いABS樹脂は、さまざまな加工法に対応している点も大きな特徴の一つです。樹脂(プラスチック)成形の中でもっとも一般的な射出成形はもちろんですが、押し出し成形、ブロー成形など、金型を用いる大量生産に適しています。

生産数量がそれほど多くない場合には、金型を用いる加工法だけでなく、切削加工にも対応可能です。他にも、近年は樹脂(プラスチック)が3Dプリンターに用いられる材料としても期待が集まっています。特に、FDM方式の3Dプリンターで用いる材料の一つとしてABS樹脂に期待が集まっています。3Dプリンターの需要は今後も拡大し続けると考えられるため、その材料の一つであるABS樹脂の拡大も広がっていくでしょう。

このようにABS樹脂は加工性が高いため、さまざまな加工方法に対応しています。ABS樹脂の特性と製品の用途に合わせて、加工法を選択すると良いでしょう。

 

 

2.ABS黒色の特徴

一般的なABS樹脂は、特に表面加工を施していない状態でも、材料自体に光沢があり外観がきれいです。中でも黒色のABS樹脂は、その光沢が映えるため、シックで高級感を持たせたい電気製品などの外装や自動車部品の内装など、利用者の目に触れ、実際に手で触れる部分に多く使われています。

 

 

3.ABS黒色の用途

黒色に着色されたABS樹脂は、その色味や表面の光沢を活かして、人の目に触れる外観部品などに使用されています。具体的には、自動車の内装や外装部品、ゲーム機の本体や家電製品、室内用の建築資材などです。

光沢があるため、材料のコストに対して高級さを感じることができます。そのメリットを活かすことで、比較的安価でありながら、軽量で高級感のある製品を開発することが可能です。

 

 

4.ABS黒色の短所

黒色のABS樹脂が持つ短所としては、耐光性が低く、表面の変色や光沢の劣化が生じる点です。これは、ABS樹脂に含まれるブタジエンの成分が影響しています。

ABSの黒色樹脂は、人の目に触れる電気製品や自動車の内装などに使われていますが、極力直射日光が当たり続け、劣化しやすいような環境では使用しない方が望ましいです。長時間の使用により、性能劣化などにつながる可能性があります。

 

 

5.ABS黒色の注意点

黒色のABS樹脂は、光沢が映えるためきれいです。一方で、黒色は表面についてしまったキズや加工した際に残る痕が目立ちやすいため、注意して扱う必要があります。ABS樹脂はメッキが可能なため、表面にメッキ処理を施すことでこれらの注意点を解消できる可能性があります。

 

 

まとめ

ABS樹脂の特徴、その中でもABS黒色の特徴や用途、使用する際の注意点を解説しました。幅広い用途で使われるABS樹脂の中でも、外観に特徴を持った黒色ABS樹脂は、金属の代替品などとして、今後もその用途は拡大していくでしょう。

黒色であるがゆえに表面のキズや加工痕が目立ってしまう点には注意が必要で、用途に合わせて必要な表面処理などの対応が必要になります。デメリットをうまく打ち消しながら活用できないか、検討すると良いでしょう。