切削加工に用いられるアルミニウムの特徴

切削加工に用いられるアルミニウムの特徴

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.アルミの特徴

2.切削加工に用いるアルミ合金の特徴

3.ジュラルミンとは

4.アルミ加工の注意点


切削加工に用いられることが多いアルミニウムは、軽量で加工性がよく、添加剤を加えてアルミ合金にすることで強度を高めることが可能です。アルミ合金の特徴やその中でも切削加工に向いたジュラルミンの特徴、加工をする際の注意点を解説します。

 

1.アルミの特徴

アルミは軽量で加工性が高いため、さまざまな用途に用いられる金属です。私たちの生活に身近なところでは、一円玉やアルミ缶などが挙げられます。アルミは、添加される材料によって、1000番台~7000番台に分類されます。それぞれの番手で特徴が異なるため、どのような特徴があるか、確認しておくことが重要です。

番手

特徴

1000

何も添加されていない純アルミが1000番台です。純度は99%以上で、アルミが本来持っている熱伝導性や導電性が優れているという特徴があります。一方で、強度が低く、加工時には傷つきやすいため注意が必要です。強度が必要でない部品や家庭用品などに使われます。

2000

アルミに銅を添加したものが2000番台で、代表的な材料としてはジュラルミンが挙げられます。銅を含有することにより強度を高めていますが、溶接などが難しいという課題もあります。アルミよりも強度が必要な場合に多く用いられる材料です。

3000

アルミにマンガンを添加することで、強度の向上に加え、2000番台の弱点だった耐食性も向上しています。アルミ缶の材料が主な用途で、他にも屋根材や建築材など、幅広い用途で採用されています。

4000

アルミにシリコンを添加した材料が4000番台です。シリコンの特性である耐熱耐性と耐摩耗性が強化されており、熱膨張が少ないため鍛造のピストンなどに用いられます。また、融点が低いことから溶接溶加材としての利用も可能です。

5000

アルミにマグネシウムを添加したものが5000番台です。3000番台と共に耐食性や強度を高めています。また、5000番台は切削性が高いことでも知られており、特に切削加工に用いられる材料として代表的なアルミ材料です。

6000

アルミにシリコンとマグネシウムを添加したものが6000番台です。5000番台よりも耐食性や強度が強化されており、さらに熱硬化性の特性を持っています。ボルトやナットに加えて、表面処理を施して建築用の構造材に用いられることがあります。

7000

亜鉛とマグネシウムを加えたものが7000番台で、全てのアルミの中で硬度がもっとも高い材料です。また、アルマイト処理により、さまざまな性質を与えることができます。その強度を活かして、自動車や航空機、スマートフォンなどさまざまなものに用いられています。

 

このように、アルミは添加される材料によってさまざまな特徴を持たせることが可能であり、用途に応じて使い分けられています。

 

2.切削加工に用いるアルミ合金の特徴

アルミ合金の中で、切削加工に用いられることが多い材料としては、ジュラルミンなどの2000番台や5000番台が一般的です。一方で、3000番台や4000番台が切削加工に用いられることはほとんどありません。このように、材料の特性により適用される加工方法も異なります。

切削加工におけるアルミ合金の特徴としては、やわらかく切削性が高い点が挙げられます。一方で、粘りがありやわらかいことから、切削加工時に生じる切粉などによって、傷つきやすいという特徴も持ちます。

また、切削加工時には耐熱性も影響を受けます。アルミの多くは耐熱性がそれほど高くないため、切削加工時に生じる摩擦熱によって、材料が歪んでしまう可能性があります。

 

 

3.ジュラルミンとは

切削加工に用いられるアルミ合金として、A2017のジュラルミンが挙げられます。また、A2024は超ジュラルミン、A7075は超々ジュラルミンとよばれます。強度に優れ、熱処理をすることによってさらに強度を高めることが可能です。

これらは、銅やマグネシウムを含んだアルミ合金で、高い強度を持つことが特徴的です。一方で、溶融溶接性や耐食性は劣るため、もし腐食が生じるような環境で使用する場合には、防食処理を十分に施す必要があります。

その強度の高さから工業用途で多く用いられており、航空宇宙、ギヤ、リベット、油圧、船舶などその範囲はさまざまです。

 

 

4.アルミ加工の注意点

アルミを切削加工する際には、そのやわらかさによる切粉でのキズつきに加えて、摩擦熱による変形に注意が必要です。これらの課題を解消するためには、切削時の送り速度や工具の選定に加えて、切粉の除去や冷却が重要です。

例えば、クーラントを使用することで、切粉がその場にとどまり傷つけることを防ぎながら、切削点の冷却を行うことが可能です。これらの工夫を施すことで、切削性の高いアルミ合金の特長を活かした、高効率で高精度な切削加工を実現します。

 

 

まとめ

アルミは、添加剤を加えることで特性を強化することができ、さまざまな用途に用いられています。その中でも切削加工に向いている材料としては、ジュラルミンなどの2000番台や5000番台が挙げられます。

アルミの切削加工を行う際には、アルミのやわらかさや耐熱性の低さによる変形などに注意が必要です。効率よく高精度の加工を実現するためには、クーラントの使用や適切な切削条件の設定を行うことが重要です。