エンジニアプラスチック(エンプラ)とは?特徴から種類、成形方法まで解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.エンジニアプラスチック(エンプラ)とは

2.エンジニアプラスチック(エンプラ)の種類と特徴

3.エンジニアプラスチック(エンプラ)の成形方法


エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、プラスチック(樹脂)に対して、任意の添加剤を加えることで特性を強化した材料です。1960年以降、厳しくなる材料への要求に応えるために、様々な種類が開発されてきました。

この記事では、工業的に有用であるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)とさらに特性が強化されたスーパーエンプラ(特殊エンプラ)について、その種類や特徴、成形方法を解説します。

 

1.エンジニアプラスチック(エンプラ)とは

熱可塑性樹脂は加工性が高く大量生産が可能ですが、工業的な用途に使うには、耐熱性や機械的強度の不足が課題となっていました。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)とは、熱可塑性樹脂を工業的な用途にも使用できるように、耐熱性や機械的強度を向上させた材料です。

炭素が主体の汎用プラスチックに対して、耐熱性や機械的特性を向上させるために、炭素以外の元素を添加しています。異なる種類の元素を添加することで、耐熱性のある分子状態にすることが可能です。

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の定義としては、100℃以上の長期耐熱性、40MPa以上の引張強さを持つ材料とされています。しかし、共通した明確な定義はないため、情報共有をする際などは、注意が必要です。

 

 

2.エンジニアプラスチック(エンプラ)の種類と特徴

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、汎用エンプラとスーパーエンプラ(特殊エンプラ)に分類されます。スーパーエンプラは、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)よりもさらに高い耐熱性や難燃性などの特徴が求められ、開発された材料です。

スーパーエンプラは150℃以上の耐熱性を持つことが求められていますが、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)同様に明確な定義はありません。

 

代表的なエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の種類と特徴は以下です。

 ポリイミド(ナイロン)

 PA

・耐衝撃性、耐薬品性、耐摩耗性、ガスバリア性に優れる

・吸水性が高いため、寸法が安定しない

 ポリカーボネート

 PC

・透明性、寸法安定性、耐衝撃性に優れ、使用可能温度範囲が広い

・耐薬品性が他のエンプラに比べ劣る

 ポリアセタール

 POM

・機械的特性のバランスが優れている

・乳白色で透明性がない

 変性ポリフェニレンエーテル

 m-PPE

・耐加水分解性と電気特性に優れ、低比重

・有機溶媒に弱い

 ポリブチレンテレフタラート

 PBT

・耐衝撃性、電気絶縁性に優れる

・加水分解しやすく耐熱性が不十分

 

代表的なスーパーエンプラの種類と特徴は以下です。

 ポリフェニレンスルフィド

 PPS

・機械的強度、難燃性、電気特性、寸法安定性に優れる

・高価で耐衝撃性や耐摩耗性が劣る

 ポリスルホン

 PSU

・耐酸化性、熱安定性に優れており、耐スチーム性や耐加水分解性も高い

・高価で有機溶剤に弱い

 ポリアミドイミド

 PAI

・使用可能範囲が-200℃~260℃と幅広く、高圧蒸気やガンマ線への耐性を持つ

・高価、耐アルカリ性に劣る

 ポリエーテルエーテルケトン

 PEEK

・熱劣化に強く、耐放射線性、耐薬品性、難燃性に優れる。

・高価

 液晶ポリマー

 LCP

・耐熱性、流動性、寸法安定性、耐薬品性に優れる

・高価で、耐加水分解性や耐アルカリ性が劣る

 

スーパーエンプラはいずれも高価であり、他の材料では代替できない場合に限定して用いられることが多いです。

また、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)やスーパーエンプラに分類されていないエンプラも存在します。例えば、超高分子量ポリエチレンや熱可塑性ポリエステルエラストマーなどが挙げられます。

 

 

3.エンジニアプラスチック(エンプラ)の成形方法

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は熱可塑性樹脂に分類されます。射出成形やブロー成形、押出成形など、熱可塑性樹脂に適用される成形方法には、ほとんどの材料が対応しています。

しかし、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は共通して耐熱性が高いため、汎用プラスチックと比べて加工する際の温度が高くなる傾向にあります。また、材料ごとに注意すべきポイントも存在します。

例えば、ポリアミドは吸水性があるため、成形をする際には事前に乾燥させておく必要があります。またポリカーボネートは、成形時に残った残留応力がクラックの原因となるため、成形時に対策が必要です。

他にも、ポリフェニレンスルフィドは成形時に発生するガスの対策が必要であり、ポリエーテルエーテルケトンは、高温の加工温度で厳密な制御が要求されます。

多くの材料に共通しているのは予備乾燥が必要な点で、それ以外の注意点は材料ごとに異なるため、使用する材料に合わせた金型設計や加工条件の調整が必要です。

 

 

まとめ

エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、工業用途など過酷な条件で使用されるために開発された材料で、その特徴から汎用エンプラとスーパーエンプラに分類されます。ただし、明確な定義は存在しないため、認識合わせをする際にはズレがないように注意が必要です。

材料ごとに特徴が異なり、その影響で成形加工時に注意すべきポイントも異なります。いずれの材料も高価なため、用途に合わせた材料を選定し、適切な加工条件を設定することが重要です。