樹脂(プラスチック)成形に用いられる金型の作り方について解説

樹脂(プラスチック)成形に用いられる金型の作り方について解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.金型の大枠を作る

2.金型の細部を作る

3.金型の仕上げ


樹脂(プラスチック)を材料として製品を製造する際には、金型を用いることが多くあります。例えば樹脂(プラスチック)加工のもっとも一般的な製造法である射出成形では、材料を成形する際に用いる金型が重要な役割を担っています。

さまざまな製品の製造工程で必要とされる金型ですが、金型本体は一度の加工で最終的な形状を実現できるわけではありません。金型を加工していくプロセスは、大きく分けて大枠の加工、細部の加工、仕上げの3つのステップに分類でき、それぞれ順番に加工を進めていきます。

そこで、今回の記事では3つのステップについてそれぞれのステップの目的や加工内容について解説します。

 

1.金型の大枠を作る

金型を作る際には、大きく分けて3つの流れで加工を進めていきますが、まずは金型を製作していく元となる母材から、大まかな形状を作りだしていきます。具体的には荒加工やマシニング加工を行うので、それぞれの理由を確認します。

荒加工は金型の材料となるブロックの塊などに、大きめの穴を開けたり、切込みを入れたりすることです。大きなブロックを製造する際に内部応力が残ってしまい、それが残ったまま金型を製作してしまうと、不具合に繋がる可能性があります。荒加工を行うことで、母材となるブロックが持っている内部応力や歪みを取り除くことが可能です。

荒加工の次に、荒取りが行われます。これは、最終的な寸法に対して少し余裕を残した部分までを一気に削ってしまう工程です。荒取りの段階では、精度がそれほど必要とされないため、短時間で一気に加工を行います。その後、マシニング加工で金型の形状を削り出します。

 

 

一般的な金属加工でも同様の工程で加工を行うことがありますが、金型の場合には熱処理のタイミングが一般的な金属加工と異なる場合が多いです。一般的には、熱処理を加えると硬化して加工しにくくなるため、マシニング加工を実施後に熱処理を行います。

しかし、金型製作の場合には熱処理による微妙な変形が、金型の精度や最終的な製品の精度、性能に大きな影響を与える場合があるため、マシンニング加工前に熱処理を行います。ここでマシニング加工における加工量が多くなり、負荷が高くなりすぎないように、荒取りなどが行われています。

 

 

2.金型の細部を作る

荒加工やマシニングを行うことで金型の大まかな形状を実現した後は、金型の細部の形状を作りこんでいきます。マシニングセンタは汎用性の高い機械ですが、金型の中にはマシニングセンタでは加工が難しい形状が必要になる場合があります。

そのような場合には、放電加工やワイヤカットを用途に合わせて行うことで、狙い通りの形状を実現していきます。例えば放電加工では、エッジ形状や細く深い溝のような形状を加工できます。また、ワイヤカットでは、エジェクターピンなどを通す穴の加工が可能です。

これらの加工法ではマシニングセンタでは実現できない形状の加工が可能です。しかし、マシニングセンタに比べて加工時間が長くかかってしまいます。そのため、ある程度の形状まではマシニングセンタを用いた切削加工により短時間で加工し、マシニングセンタでは実現が難しい、必要最低限の形状だけを放電加工やワイヤカットで作りこんでいくのが効率的です。

複雑な形状を一つの部品で実現することが難しい場合には、入れ子を用いることで加工の内容をよりシンプルなものにするなどの工夫が行われることもあります。

 

 

3.金型の仕上げ

放電加工などを用いて金型の形状ができあがったら、最後は製品としての金型の仕上げを行います。まずは滑らかな表面の部品を製造できるように金型の表面を磨き上げていきます。一方で、特殊な状態の表面が必要になる場合には、単に表面を磨き上げるだけでなく金型に特殊な加工を行う可能性があります。

表面処理や金型の磨きが完了したら、金型を構成する部品をすべて集めて組み立てを行います。部品点数が少なくシンプルな形状の場合には、部品の組み上げにそれほど時間はかかりません。しかし、冷却経路が入り組んでいて複雑な形状だったり、入れ子が複数個設定されていたりするような部品点数が多い金型の場合には、部品を組み上げ金型を完成させること自体の難易度が高く、難しい作業となります。

最後に、製造した金型で狙い通りの部品が製造できるように、実際に金型を使用してみて問題ないことを確認します。このテストを無事に通過すれば、金型の完成です。このように、金型はその形状を実現した後にも実際に使い始める際に困らないように、入念な仕上げやテストを行っています。

 

 

まとめ

樹脂(プラスチック)製品を製造する際に必要不可欠な金型にはさまざまな形状のものがあり、その加工工程は主に3つのステップに分けて行われています。それぞれの工程で行われている作業の目的が何かを理解することが重要です。

3つのステップに分け、目的別に行われるそれぞれの工程を分散することで、高精度が求められる金型を効率よく製造することができます。射出成形などの樹脂(プラスチック)加工で高い精度の部品を製造するためには、金型に関する高い製造技術が必要とされています。