金型の寿命と耐用年数の違いについて解説

金型の寿命と耐用年数の違いについて解説

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.金型の耐用年数とは

2.金型の寿命とは

3.金型の寿命を左右する要素

(1)ショット数

(2)金型の種類・材質・コーティング

(3)生産物の種類・材質

(4)使用される薬品


製造業で用いられることの多い金型には、「耐用年数」と「寿命」という要素があります。似たような言葉ですが、それぞれ異なる意味で使われているため、混同しないように注意が必要です。この記事では、耐用年数と寿命のそれぞれの意味合いについて確認し、金型の寿命を左右する要素について解説します。

 

1.金型の耐用年数とは

 

 

2.金型の寿命とは

金型の耐用年数とは、実際に金型を使用する中で「何年程度使用可能か?」という意味ではなく、帳簿上の減価償却を計算するために用いられる言葉です。

金型の耐用年数は、金型の種類によって2種類に分けられています。製造業で使われることの多い、プレスを含む金属加工用のものや樹脂(プラスチック)用、ゴム・ガラス成形用、鋳造用の金型は2年と定義されています。これら以外は3年です。

金型の耐用年数について、「実際に何年使用できるか?」という意味と混同してしまっていると、この2年や3年という数字にはかなり違和感があります。あくまで、「帳簿上で減価償却できるようになっているか?」を示す年数であることを理解しておくことが重要です。

また、金型の耐用年数が2年及び3年ということと、金型の取得金額、金型を用いて生産する製品の数などから、1個当たりのコストに含める金型費を決めていきます。これは一律に設定する必要はないため、状況に応じた調整が可能です。

 

金型の寿命とは、その金型が「どの程度使い続けられるか」ということを示す用語です。一般的には、「ショット数」といって何回金型を使ったか?という単位で表現されています。耐用年数とは異なり、年数で表現されることは少ないため、混同しないように注意が必要です。

金型が寿命を迎えた状態を定義するのは簡単ではありませんが、求められる製品寸法が実現できなくなった状態を、その金型の寿命と定義することが多いです。例えば、金型がプレスされることにより、徐々に歪みが生じて寸法が実現できなくなったり、製造時にバリが発生して不具合に繋がったりする状態を指します。

金型はメンテナンスを行うことで、寿命を延ばすことが可能です。ただし、永遠に使い続けられるわけではありませんので、さまざまな要素から金型の寿命を判断し、新しい金型に交換したり、修理や改造をしたりする必要があります。

準備をしていない状態で金型が寿命を迎えると、交換や修理を行うために生産が長期間停止してしまいます。それを避けるために、ショット数の管理やこの後紹介する要素に応じた寿命予測などを行い、事前に準備をすることが重要です。

 

3.金型の寿命を左右する要素

金型の寿命を左右する要素にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものについて簡単に紹介します。

 

(1)ショット数

金型の寿命を予測、管理する上でもっとも重要なのはショット数です。金型を使用する回数と言い換えられ、その金型で製造可能な製品数やコストに直結するため、金型の寿命はショット数で表現されることが多くあります。

ショット数が多ければ多いほど、金型が摩耗し金型自体にかかる負荷によりひずみが大きくなるため、寿命に大きな影響を与える要素です。

 

(2)金型の種類・材質・コーティング

金型の材質や種類、コーティングも寿命に大きな影響を与えます。

金型の種類としては、材料の送り込み方やプレスの仕方により、金型にかかる負荷が変わります。負荷が大きく、厳しい摩擦がかかる場合には、そうでない場合に比べて寿命が短くなるでしょう。また、耐摩耗性に優れた材料の方が寿命は長くなります。

コーティングについては、主にメンテナンス時などに重要になってきます。部品が型から外れやすいかどうかを示す離型性を高めたり、耐摩耗性を向上させたりするような塗料をコーティングすることで、寿命を長くすることが可能です。

 

(3)生産物の種類・材質

製造時に使われる材料としては、材料自体の融点や含まれている強化素材が金型の寿命に影響を与えます。

例えば、金属部品の場合には融点が高いほど金型へのダメージは大きいですし、樹脂(プラスチック)部品の場合には強化素材であるガラス繊維などを用いることで、金型の寿命が短くなってしまいます。

また、完成品に求められる寸法精度も寿命に影響を与える要素です。単純に要求精度が厳しければ、少しの摩耗で要求を満たせなくなるため、寿命は短くなるでしょう。

 

(4)使用される薬品

最後に薬品です。製造時に用いられる薬品の中には、金型の摩耗を早めるものがあるため、使用する際には十分な配慮が必要です。

 

まとめ

金型に関する用語の中で、混同されることがある「耐用年数」と「寿命」について解説しました。また、実際に製造する上で重要な項目となる寿命について、影響を与える代表的な要素を紹介しました。

金型の寿命には、今回紹介したものだけでなくさまざまな要素が関わってきます。それぞれの影響を想定し、寿命を迎えてしまう前に交換や修理の準備を整えておくことが重要です。