
試作とは?ものづくりにおける試作の意味や材料・費用相場を紹介
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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

≪目次≫
企業が新しい製品を開発する際、試作は必要不可欠な工程です。近年はシミュレーション技術の発展などにより試作を簡略化する流れもありますが、完全になくすのはリスクが高く、現在も多くの試作が行われています。
この記事では、改めて試作の位置づけを確認し、実際に試作に用いられている材料や加工法、費用相場について紹介します。
1.試作とは
試作とは、その名の通り「試しに作ってみる」ことです。試作では、製品を量産する前に試しに作ることで、製品自体もしくは製品を作る工程における問題点を確認することが目的です。
試作で確認する項目は、主に以下の5点に集約されます。
①製品の安全性です。これは販売後に使うときだけでなく、製品を作る工程の安全性も確認する必要があります。
②製品の品質です。製品にはさまざまな機能が求められます。加えて、見た目や使いやすさなどの品質面で問題ないかを確認します。
③製品を作る際のコストです。試作時には材料費などコストが大きくなりますが、作り方や必要な材料の量を確認することで、量産時のコストを予測します。
④製品の納期です。量産をする際に、製品を作るために必要な材料を仕入れる所から、実際に製品を作り上げ納品するまでに、どの程度の期間がかかるか確認します。
⑤製造時に環境に与える負荷です。企業は社会的責任を負っているため、優れた製品であったとしても環境に配慮されたものでなければいけません。
1度の試作で今回ご紹介したすべての観点を確認することは多くありません。試作をする際には、ご紹介した観点の中からどの観点を重視するのか、明確にして取り組む必要があります。
2.試作業者とは
試作を行う場合には、試作をしたい企業が社内で完結させる場合もありますが、社内では完結できない場合、試作業者に依頼をします。
量産品を作れる企業であれば、試作品は問題なく作れるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、基本的に量産用の設備、量産計画に基づいて生産をしているので、イレギュラーな試作には対応できない場合もあります。
試作業者は、企業からの試作依頼を専門的に請け負っている企業で、幅広い加工技術や知識を持っています。依頼側が初めて取り組むような製品の試作であっても、試作業者は対応できる可能性が高いです。
また、納期が早いのも特徴の一つです。製品によりますが長くても数週間程度、短い場合には1日程度で試作品を納品してくれる場合もあります。
一方で、試作の個数については基本的に1個~数十個程度までの対応が一般的です。量産設備はなく1つ1つ作り上げていくため、数百個、数千個以上の試作を対応するのは困難でしょう。
試作をしたい場合には、依頼したい案件を得意分野としている試作業者に依頼することをおすすめします。

試作にかかる費用は、その多くが量産する場合に比べて数倍~数十倍になることがほとんどです。具体的な費用相場は、使用する材料や要求される性能、部品の形状などによって異なるため、一般的な値を示すことはできません。
特に形状が複雑だったり、複数の部品を組み合わせるモジュールのような場合には、1個当たり数百万円を超える場合があるので、必ず事前に試作にかかる費用を確認しましょう。
7.試作を依頼する際の注意点
試作を行う際には、きちんと要求が伝わっているかどうかを確認しておく必要があります。
また、特に短納期で難しい依頼をする場合には、依頼した業者が必ずしも対応できるとは限りません。こうしたリスクに対する備えとして、緊急で対応してくれる試作業者を確保しておくことが重要です。
まとめ
試作は、量産品を世の中に出す前に実施することがほとんどです。目的に応じて材料の選択や加工方法、完成品とどの部分を合わせるのかなどが決まってくるため、事前に用途を明確にしておきましょう。
また、量産品とは違いがあることを十分理解しておく必要があります。特注品の扱いとなるため、費用相場や技術的に困難な場合のために備えをしておくことは重要です。