プラスチック(樹脂)部品製作の基礎知識

プラスチック(樹脂)部品製作の基礎知識

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1.プラスチック(樹脂)とは

2.プラスチック(樹脂)部品製作の流れと用途

(1)プラスチック(樹脂)原料の調達

(2)石油化学基礎製品の製造

(3)プラスチック(樹脂)材料の加工

(4)切削加工に向いているプラスチック(樹脂)の特徴

(5)プラスチック(樹脂)製品の利用


プラスチック(樹脂)によって製作された製品は、私たちの生活にとって欠かせないものになっています。また、従来は木材や金属で作られていたものでもプラスチック(樹脂)で作られるようになるものが増え、プラスチック(樹脂)が活用される範囲は年々広がっています。

しかし、プラスチック(樹脂)部品の製作がどのように進められているのか、知っている人は多くないでしょう。そこで、今回はプラスチック(樹脂)部品製作の基礎知識として、どのような流れで出来上がっていくかを紹介します。

 

1.プラスチック(樹脂)とは

私たちの身の回りには、プラスチック(樹脂)部品があふれています。子供が使っているおもちゃや自動車、生活を便利にする小物にもプラスチック(樹脂)で作られているものは非常に多いでしょう。また、自動車のボディの一部など金属に見えるものの中にも、実はプラスチック(樹脂)で作られているものがあります。

プラスチック(樹脂)はギリシャ語の形容詞である「plastikos」が語源になっていると言われています。「plastikos」は、可塑性のあるという意味で、物体に力を加えて変形させ、それを取り除いても元に戻らない性質を持っていることを表しています。

現在のプラスチック(樹脂)は「plastikos」とは意味合いが変わってきており、主に石油に由来する高分子物質を主な原料とした可塑性を持った物質とされています。似たような物質で石油に由来しない高分子物質を天然樹脂とよびます。

可塑性という観点でいうと、プラスチック(樹脂)は大きく2種類に分類できます。1つ目は熱を加えると硬化する熱硬化性樹脂、もう1つは熱を加えると軟らかくなり、冷やすと固まる熱可塑性樹脂です。

このように、一言でプラスチック(樹脂)といってもさまざまな種類に分かれており、その性質は大きく異なります。実際に製品に適用する際には、プラスチック(樹脂)の性質や対応している加工法などから、適切だと判断できるものが使用されます。

 

 

2.プラスチック(樹脂)部品製作の流れと用途

ここからは、私たちの身の回りにあるプラスチック(樹脂)部品がどのように作られているのか把握するために、部品製作の流れを確認しましょう。

 

(1)プラスチック(樹脂)原料の調達

まずは、プラスチック(樹脂)の原料を調達します。プラスチック(樹脂)は主に石油から作りますが、石油を精製所で蒸留し分離したうちのナフサが主な原料となります。国内で使われているナフサには、原油を輸入し国内で精製する場合とナフサ自体を海外から輸入する場合があり、現在は60%以上が輸入されたナフサです。

また近年は、使用済みのプラスチック(樹脂)製品をオイルにし、それを熱処理してナフサを製造する方法や、植物由来のナフサも生み出されています。現状は石油由来のものよりもコストがかかりますが、環境を意識した製品作りが求められているため、コスト削減を図りながら普及していくでしょう。

 

(2)プラスチック(樹脂)材料の製造

ナフサは、専用のナフサ分解工場にて化学反応を行わせることで、石油化学基礎製品に分解されます。具体的な種類としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが有名です。

これらの基礎製品を重合させてポリマーにしたり、複数組み合わせることでプラスチック(樹脂)部品の用途に適した特性を持つ材料を作っていきます。

 

(3)プラスチック(樹脂)材料の加工

プラスチック(樹脂)部品の材料ができたら、狙いの形状になるように成形加工をしていきます。加工方法は材料の特徴(熱可塑性樹脂か熱硬化性樹脂かなど)と、成形したい部品の形状、さらに量産品なのか特注品なのかによって変わってきます。

代表的な成形加工法としては、熱可塑性樹脂の大量生産に向いている射出成形などの成形加工や、多少時間はかかりますが複雑な形状に加工できる旋盤加工などの切削加工があります。

 

(4)切削加工に向いているプラスチック(樹脂)の特徴

ここでは、切削加工に向いているプラスチック(樹脂)材料の特徴について紹介します。

切削加工では、加工する際の摩擦によって熱が発生します。熱可塑性樹脂は、摩擦熱によって軟らかくなり変形してしまうため、切削加工には向いていません。また、熱によって膨張・収縮の度合が大きいものも、精度を高くするのが困難です。

切削加工に向いているプラスチック(樹脂)の特徴としては、熱によって軟らかくならずに、温度による寸法変化が少ないものといえます。いずれにせよ、どのようなプラスチック(樹脂)であったとしても切削加工をするのは簡単ではないため、材料や狙いの形状を実現するために、条件の調整や加工時の工夫が必要不可欠です。

 

(5)プラスチック(樹脂)部品の利用

最後に、プラスチック(樹脂)部品が利用されている場面をいくつか紹介します。

家庭の水回りでは、電子レンジの容器や洗面台、子供用の食卓用品などがイメージしやすいでしょう。また、食品の包装容器や調味料の容器なども多くがプラスチック(樹脂)で作られています。

また、文房具や子供が使うおもちゃにもプラスチック(樹脂)が多く使われています。日常生活で頻繁に使うものとしては、電化製品のボディ部分もプラスチック(樹脂)製の部品が多いです。

その他、スポーツ用品や眼鏡、コンタクトレンズ、医療機器などもプラスチック(樹脂)が材料となっています。

 

まとめ

私たちの身の回りでは、多くのプラスチック(樹脂)製品が使われています。

プラスチック(樹脂)は石油を原料としており、そこから用途に合わせてさまざまな種類の材料に分解され使い分けられています。

一言でプラスチック(樹脂)といってもその特性はさまざまであり、それぞれの部品にどのような材料が使われているのか、またそれはなぜなのか考えてみるのも面白いでしょう。