試作加工って何?製品の機能や生産性を確認するために重要な試作加工

試作加工って何?製品の機能や生産性を確認するために重要な試作加工

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. 試作加工とは?

2. 試作加工の工程別役割

(1)機能を確認するための試作

(2)量産できるかを確認するための試作

3. 試作加工時の注意点

(1)確認すべきポイントの明確化

(2)試作によるコストの増加


試作加工とは、製品開発をする際に試しに材料を加工して製品を作ることです。開発の初期段階から量産に近い段階まで、複数回の試作加工を繰り返すことで、製品の機能や生産性を確認していきます。試作加工は、必要な機能を持ち、品質の高い製品を量産するために必要不可欠な工程です。

この記事では、試作加工の概要や重要性についてご紹介します。

 

1.試作加工とは?

試作加工は、製品を開発する過程で試作品を作ることです。製品を量産する前に、その製品の機能や作り方に問題がないか、試しに加工をしてみることを試作加工とよびます。

一言で試作加工といっても開発段階ごとに目的が異なり、具体的なやり方を変えながら何度か繰り返し行われるのが一般的です。

 

机上での設計では、設定されたコストで目標とする機能の製品が生産できる予定だったとしても、実際に作ってみるまでは実現できているか分かりません。また、試作をすることで初めて不具合や机上設計とのずれに気付くことも少なくないため、製品加工において試作加工の工程は重要視されています。

近年は、机上検討で用いられるさまざまなシミュレーション技術が向上することにより、実物を試作加工で作らなくても分かることが多くなってきました。しかし、シミュレーションも完璧に実物を再現できるわけではないため、今後も試作加工がなくなることはないでしょう。

 

 

 

2.試作加工の工程別役割

試作加工は大きく分けて、開発の初期、中期段階で製品の機能を確認するために行う試作と、量産工程で機能や生産性を確認するための試作があります。それぞれどのような考え方で行われているのかを確認します。これらの試作を行うことで、量産品の開発において発生する課題を早く見つけることが可能です。

 

(1)機能を確認するための試作

技術が進歩し競争が激しくなるにつれて、製品にはさまざまな機能や性能が求められるようになり、年々複雑になっています。狙い通りの機能を実現できているかどうかを机上検討で確認しますが、複雑になればなるほど机上では確認しきれない要素が出てきます。

このような場合、機能や性能が実現できているかを確認するために試作品を作る必要があります。作った試作品を評価することで、シミュレーションなどの机上検討では確認できなかった部分を明確にし、製品開発にフィードバックします。

開発サイクルを短縮するために、機能を確認するための試作加工ではできるだけ短時間で図面通りの製品を加工する技術が求められています。

(2)量産できるかを確認するための試作

開発が進んでいき量産に近づいてくると、実際に量産をする工程で期待通りの機能や生産性を実現できるか確認する必要があります。特に量産工程の設計では時間当たりの生産数が実現できるかどうかでコストが異なり、業績に与えるインパクトが大きくなります。

量産での試作加工を通して目標を達成できていないのであれば、量産試作を繰り返し行うことで得られた結果から、工程や作り方の改善を続けることが重要です。

また、量産試作を行うことで、製造工程の改善だけでなく、生産者のスキルアップや分かりやすいマニュアルの構築もできます。事前に準備ができるため、不要なコストを発生させずにスムーズな量産が可能になるでしょう。

 

 

3.試作加工時の注意点

試作加工は課題を前出しし、スムーズに製品開発を進めていくために不可欠なものです。しかし、注意すべきポイントがあります。具体的にどのような点に注意すべきなのか解説します。

 

(1)確認すべきポイントの明確化

試作加工では、製造工程や材料などが量産品とは異なる場合があります。事前に今回の試作で確認すべきポイントを明確にできていない場合、試作品と量産品との違いによって適切な評価ができない場合があります。

どこの部分を確認したいのかを事前に明確にし、その部分に影響を与える要素はできるだけ量産加工の条件に合わせることが重要です。このように、確認すべきポイントによって試作加工で行うことが変わってくるため、試作加工の依頼をする前に明確にしておきましょう。

 

(2)試作によるコストの増加

量産品が一つあたり数千円だったとしても、試作品は一つ当たり数十万円、数百万円してしまう場合があります。本来は大量に材料を入手し、工場のラインで加工しますが、試作品の場合には特注の材料を入手し、そこから手作業で一つ一つ作り上げていくため、その分コストが高くなります。

試作品で確認したいことが多く、そのたびに試作を繰り返していると開発コストが大きく増加してしまいます。机上検討で確認すべきポイントと試作加工が必要なポイントをしっかりと見極め、必要最低限の回数で完了させることが重要です。

 

まとめ

量産品を開発するにあたって、事前に機能や性能、生産性を確認するための試作加工は必要不可欠です。近年はシミュレーション技術の活用により机上検討の精度も向上していますが、どうしても実物で評価をしなければ確認できないことも多くあり、試作加工が重要な役割を担っています。

試作加工は、その目的によって条件設定が変わることがあるため、試作加工業者や社内の試作加工部門に依頼をする前には、きちんと確認すべきポイントを明確にしましょう。