射出成形で用いられる添加剤とは?その種類や特徴を解説!

射出成形で用いられる添加剤とは?その種類や特徴を解説!

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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. 射出成形の添加剤とは

2. 添加剤の種類と使用目的

3. 添加剤を使用する際の注意点

(1)添加剤と樹脂の反応性・親和性

(2)添加剤同士の相互作用


樹脂の用途は広がっており、従来は金属製品が使われていた場合でも樹脂に代替していく動きが進んでいます。しかし、樹脂材料単体では製品に要求される機能や特性を満たせない場合があります。そこで、添加剤をベースとなる樹脂に混ぜることで、製品の性質や機能、色彩を調整することが可能です。この記事では、射出成形で用いられる添加剤の種類や使用目的について解説します。

 

1.射出成形の添加剤とは

近年、樹脂製品はさまざまな分野で使用されており、その用途は多岐にわたっています。例えば自動車では、軽量化を目的としてステンレスやアルミで作られていた部品を樹脂に置き換える動きが進んでいます。

樹脂の用途が広がるにつれて、射出成形で製造される製品に求められる機能や特性も多様化しています。しかし樹脂の中には熱や光に弱かったり、機械的特性が弱かったりするものが多く、多様化した要求を満たすのは困難です。

 

また、自動車部品のように過酷な環境(高温・直射日光など)で使用される場合には、短期間で変色や劣化が進み、必要な機能を実現できなくなる可能性があります。そのため、部品に要求される特性の中で樹脂単体では実現できないものに対応する目的で、さまざまな添加剤が用いられます。

ベースとなる樹脂に添加剤を加えることで、材料の力学特性や伝導性、加工性、色などを調整することが可能です。添加剤は一度に複数の種類を組み合わせることができ、組み合わせる添加剤の種類や量を調整することで、さまざまな特徴を持った製品が完成します。

 

2.添加剤の種類と使用目的

添加剤にはさまざまな種類があり、ベースとなる樹脂と変化させたい特性に応じて使い分けられています。ここでは調整したい特性をいくつか挙げ、どのような添加剤が用いられているかをご紹介します。

 

分類 目的(調整したい特性) 主な添加剤
充填剤 材料強度を補強する。また、充填剤は樹脂に多く加えられ、かさ増しできるので材料単価を抑えられる。 ガラス繊維、木粉、炭酸カルシウムなど
光安定剤 紫外線を受けた際に発生する劣化要因と反応し、無害化することで樹脂の光による酸化、劣化を防止する。紫外線を吸収し劣化を防ぐ紫外線吸収剤がある。 紫外線吸収剤など
難燃剤 樹脂の燃焼を抑制する。分解して水を生成するものや燃焼の反応を化学的に抑制するものなど、さまざまなものが開発されている。 塩素系、リン系、無機系
可塑剤 分子間に浸透することで、樹脂に流動性と柔軟性を与える。他の添加剤に比べて多量に配合される。 エポキシ化植物油、ポリエステル系
着色剤 樹脂を着色する。 染料系、顔料系
発泡剤 軽量化などを目的に発泡させる。 窒素ガス系、炭酸ガス系

 

これ以外にも、酸化防止剤や熱安定剤、帯電防止剤、結晶化促進剤などがあります。添加剤の中には、可塑剤兼安定剤として働くエポキシ化樹脂のように、複数の機能を持つ材料もあります。

ご紹介したような添加剤を樹脂に加えることで、樹脂本来の特性では採用できなかった製品へ樹脂材料が適用できるようになります。

 

 

3.添加剤を使用する際の注意点

 

 

添加剤は樹脂の機能や特徴を変化させる便利なものですが、使用する際には注意すべき点があります。それぞれの添加剤は樹脂にプラスの効果を与えるとともに、マイナスの効果も与える可能性があります。意図しない影響が生じないように、樹脂や添加剤の特性を十分把握した上で添加剤を使用しましょう。

 

(1)添加剤と樹脂の反応性・親和性

添加剤の中には、樹脂と化学反応を起こすものがあります。常温では影響がない場合でも、高温時や強い光が当てられるなど、特定の使用条件では反応が起こりやすくなります。

製品を作るタイミングでは、特定環境化での影響が分からない可能性もあるため、後から悪影響が生じないように事前に樹脂と添加剤の関係を正しく把握しておくことが重要です。

また、樹脂と親和性の小さい添加剤は表面や外観に悪影響があるため、添加剤を選ぶ際には樹脂と添加剤の反応性や親和性に十分な注意が必要です。

 

(2)添加剤同士の相互作用

樹脂に複数の添加剤を同時に使用する場合は、樹脂と添加剤との関係だけでなく添加剤同士の相互作用を確認する必要があります。

添加剤の中には、添加剤同士の相乗効果で単体では得られない効果が得られる場合があります。一方で、相互作用によって各添加剤が持っている効果を打ち消してしまう可能性があるため、添加剤同士の相互作用を考慮して選択することが重要です。

 

まとめ

樹脂材料の可能性を広げる添加剤についてご紹介しました。添加剤を使用することで、樹脂単体では満たせなかった機能を実現することができ、過酷な環境などさまざまな用途で樹脂を使用できるようになります。

添加剤は便利ですが、一方で適切な添加剤を選定しないと悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。狙い通りの効果が得られなくなってしまうだけでなく、添加剤が樹脂の機能を悪化させてしまう可能性もあるため注意が必要です。

樹脂と添加剤、添加剤同士それぞれの関係を把握して、適切な材料を選択しましょう。