切削加工とは? その特徴やメリット・デメリットについて解説!

切削加工とは? その特徴やメリット・デメリットについて解説!

ホーム > 技術情報一覧 > 月刊Design Tips > 切削加工とは? その特徴やメリット・デメリットについて解説!

 

※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

 


≪目次≫

1. 切削加工の定義と特徴

(1)切削加工の定義

(2)切削加工の特徴

2. 切削加工のメリット

(1)基本的にどんな材料も加工できる

(2)精度や表面粗さが自在に調整できる

(3)初期投資が少なく、製作個数の制限が少ない

(4)工作物を加熱する必要がない

(5)除去加工の中で最も安価に加工ができる

3. 切削加工のデメリット

(1)切りくずが発生するため、歩留まりが悪い

(2)製品によっては大量生産に向かない

(3)形状によっては作れないものがある

(4)材料によってはきれいに仕上がらない

4. 切削加工の種類

(1)旋削加工

(2)転削加工

5. 切削加工を依頼する際の注意点


切削加工とは、金属やプラスチック、樹脂などを削って加工する方法で、部品の製造に広く用いられています。旋盤やマシニングセンタ、ボール盤による切削加工が代表的です。
今回はそれらに共通する特徴やメリット、デメリットについて解説します。

 

1.切削加工の定義と特徴

 

(1)切削加工の定義

切削加工の定義は比較的あいまいです。JISにおいても切削加工の厳密な定義は定められていません。しかし多くの場合、刃物状の工具を使って工作物の不要部分を切りくずとして除去することで、欲しい形状を作る加工法を指します。旋盤やフライス盤、マシニングセンタ、ボール盤などによる加工がその代表で、加工法としては最も一般的なものです。機械加工や除去加工の一種でもあります。

 

2)切削加工の特徴

物の形状を作る方法は、切削加工以外にも鋳造や鍛造、プラスチック(樹脂)であれば射出成形など様々です。切削加工はこれらの中でも比較的高い精度を得ることができます。また金型などの準備がいらないため、多品種少量生産にも対応できる特徴を持っています。機械加工といった場合は、切削加工に加えて研削加工も指します。こちらは刃物ではなく、砥石によって不要部分を除去する加工法です。切削加工よりもさらに高い精度が得られますが、一回に削りとる量が少ないため、同じ加工を行う場合、時間がかなりかかります。このため、切削加工で全体を作り、その中でも高い精度が求められる箇所にだけ研削加工を追加で行う、という手順が一般的です。

加工のできる材料の代表は鋼やアルミニウム合金、黄銅、ステンレスなどの金属です。またプラスチック(樹脂)もよく加工に使われる材料で、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)、ABS、アクリルなどがその代表です。射出成形では難しい形状や高い精度、小ロットに対応できることから、試作品や加工治具などに使われます。

 

 

2.切削加工のメリット

 

(1)基本的にどんな材料も加工できる

切削工具の材質には低価格な高速度鋼(ハイス鋼)からダイヤモンドまで、幅広く用意されています。このため、向き不向きはあっても、基本的にはどんな材料も加工が可能です。

 

(2)精度や表面粗さが自在に調整できる

要求に応じて、精度や表面粗さの調整が比較的自由にできることは大きな特徴です。このため、特定の必要な箇所は精度を高め、そうではない箇所は荒く削るといった、メリハリのある加工が可能です。

 

(3)初期投資が少なく、製作個数の制限が少ない

鋳造や鍛造、射出成形と違い金型が不要なため、初期投資が少ない場合が多いです。また製作個数が1個でも大量でも、その費用はおおよそ個数に比例します。

 

(4)工作物を加熱する必要がない

鋳造や鍛造などのように、製作の前に材料を加熱する必要がある加工法は、それだけでも大きな設備やエネルギーが必要です。切削加工の場合、こうした投資は必要ありません。

 

(5)除去加工の中で最も安価に加工ができる

除去加工には切削加工のほかに、研削加工や放電加工などがあります。しかし、同じ体積を除去するのに研削加工の場合はおおよそ10倍、放電加工の場合は100倍のエネルギーが必要とも言われます。このため、切削加工は除去加工の中では最も経済的で、精度とのバランスが取れた加工法と言えます。

 

 

3.切削加工のデメリット

 

(1)切りくずが発生するため、歩留まりが悪い

切削加工の性質上、切りくずが出ることは避けられません。これは不必要なものですので、歩留まり悪化に直結します。また切りくずは元の体積に対してかなりかさばることが多く、その処理は手間です。さらに粘りが強い材料などでは、切削中に切りくずが連続して発生し、工具にまとわり付いて加工が止まってしまうといったトラブルが起きることがあります。歩留まりを上げるためには、例えば鋳造や鍛造などでおおよその形を作っておき、必要な部分にのみ切削加工を施すといった方法もあります。

 

(2)製品によっては大量生産に向かない

複雑形状ながら精度や強度の要求が高くない大量生産品の場合、ダイキャストや射出成形などのほうが切削加工よりもコスト、生産性で有利なことがあります。こちらも歩留まり同様、切削加工と他の方法のいい点を両方取り入れながら、工程を作ることが大切です。

 

(3)形状によっては作れないものがある

切削加工は工具が物理的に入らなければ加工ができません。また工具の剛性などにより加工できる限界もあります。このため、深さがある内面の加工や細くて長い穴あけなどはできない場合があります。

 

(4)材料によってはきれいに仕上がらない

切削加工はミクロで見ると、工具の刃先が材料をめくり上げ分離させることで加工が進みます。このため、極端にもろかったり軟らかい材料の場合、めくり上げる過程でむしれてしまい、表面が荒れてしまいます。切削条件という、加工の仕方を調整することで改善はできますが、限界はあります。また刃先には強い摩擦や変形が発生するため、局所的に熱が発生します。耐熱性の低いプラスチックなどは、この熱によって溶けてしまい、仕上がりが悪くなったり、刃先にまとわり付いてしまうことがあります。

 

 

4.切削加工の種類

 

切削加工は、加工の目的によっていくつかに分類されています。

今回は代表的な加工法である、旋削加工、転削加工について、それぞれの加工法の特徴や使用される設備、工具などについて紹介します。

 

(1)旋削加工

旋削加工は、設備に固定した材料を回転させながら、固定した工具に当てることで加工していく方法で、代表的なものに旋盤加工があります。設備の種類としては、汎用旋盤、NC旋盤、卓上旋盤、立旋盤などが用いられています。

旋盤加工では材料を回転させながら加工するため、主に丸形状に加工していく際に用いられており、外径加工、内径加工、ねじ切り加工、突切り加工が代表的です。

外径加工は、回転している材料の外側に工具を当てる加工法で、表面の仕上げ加工や加工初期に大まかに形状を調整する際によく用いられます。発生した切りくずが工具に絡まってしまう可能性があるため、切削工具を材料に当てる際の角度調整が重要です。

内径加工は、穴あけ加工などで開けた穴を大きく広げるように材料の内側から削っていく加工法です。穴の大きさの調整や内側の表面仕上げに用いられます。穴の深さに合わせて工具を長くする必要がありますが、長い工具はたわみが生じやすいため精度が悪化しないか確認しながら加工することが重要です。

ねじ切り加工は、ねじのピッチを製作する加工法で、専用の工具を使用することで雄ねじと雌ねじの両方を加工できます。後で紹介するフライス加工の場合には雌ねじしか製造できない場合が多いので、雄ねじの加工は旋盤加工のメリットとなります。

突切り加工は、材料に工具を押し当て不要な部分を切り落とす加工法です。細い刃の工具を使用する必要があり、振動や音に注意が必要なため高い技術が必要となります。また、高精度が求められる場合には、油を使うなどの工夫が必要です。

 

(2)転削加工

旋削加工が材料を回転させていたのに対して、転削加工では固定した材料に回転させた工具を当てることで加工する方法です。代表的なものにフライス加工があります。フライス加工には、汎用フライス、NCフライスなどの設備が用いられますが、特にマシニングセンタを使用する場合が多いです。

フライス加工の代表的な加工法として、平面加工、側面加工、段差加工、溝加工、穴加工が挙げられます。

平面加工は、材料を固定するテーブルと並行の面を削る方法です。また、側面フライス加工は、加工物の側面を削る加工法です。これらの加工法は、切削効率や精度に優れた正面フライス加工や小さい面積を削るエンドミル加工、平面度は劣るものの切削効率に優れた平フライス加工などに分類されます。

段差加工は、平面に段差をつける加工法で、広い面積の浅い段を加工したり、狭い面積の深い段の加工をしたりします。また、溝加工は溝の下にボルトを通すようなT溝加工や底部が広がったあり溝を作るあり溝加工などがあります。これらは縦型フライス盤を用いるのか、横型フライス盤を用いるのかによって適した工具が変わってくるため、状況に合わせた柔軟な選択が必要です。

穴加工は、主にドリル工具を使って材料に穴を開ける穴あけ加工と、その穴を広げる中ぐり加工に分類できます。

このように、転削加工ではさまざまな種類の設備と加工法に適した工具を用いることで、複雑な形状の加工を高精度に行うことができます。どの設備でどの加工法を選択するかによって、精度が変わってきますので、豊富な経験が必要です。

 

 

5.切削加工を依頼する際の注意点

 

切削加工を依頼する際には、要求性能を満たす製品をいかに低コストで実現するかが重要になる場合が多いです。切削加工のコストに大きな影響を与える項目としては、母材の価格、加工費用、表面処理や熱処理等費用などがあり、これらの合計によって見積価格が決まります。

同じ形状であっても加工工程を減らしたり、母材から削る部分を減らしたりと工夫を積み重ねることで、コストを削減することが可能です。また、使用する材料の種類によってコストが大きく変わることもあるので、必要な特性を持つ材料とその形状のバランスに注意しながら仕様を決定する必要があります。

コスト面以外では、精度の高い加工が可能な設備を保有しているかどうかや経験の長い技術を持った職人がいるかどうかも重要なポイントとなるでしょう。

 

 

まとめ

切削加工の特徴やメリット・デメリットに加えて、さまざまな切削加工の種類や切削加工を外部に依頼する際の注意点について紹介しました。製品を設計する際に今回紹介したような内容を理解しておくことで、品質の高い製品を低コストで用意することができるようになるでしょう。

まずは、切削加工の基礎的な部分を十分に理解し、目的にあった加工法の選択ができるようにしましょう。