ホーム > 技術情報一覧 > 月刊Design Tips > 意味を理解して適切な使い分けを/切削加工の種類
※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

≪目次≫
(1)転削
(2)旋削
(1)フライス
(2)NCフライス
(3)マシニングセンタ
(1)旋盤
(2)NC旋盤
(1)ソリッドドリリング加工
(2)トレパニング加工
(3)カウンターボーリング加工
金属や樹脂製品の成形に多く使われる加工方法である切削加工。さまざまな形状の材料を加工できる切削加工ですが、実は大きく3種類の加工法があり、用途に応じて最適なものを選ぶ必要があるのです。
また、3種類の加工法はさらに細かく分けられますので、どのような用途で使うべきなのかそれぞれ理解しておくと安心でしょう。
今回は、切削加工の種類とそれぞれの用途などについてご紹介します。適切な切削加工を行うヒントにしていただければ幸いです。
1.転削と旋削の意味について
まず切削加工は、転削と旋削の大きく2種類に分けられます。それぞれの加工法の説明に入る前に、両者の違いについて理解しておきましょう。
(1)転削
転削とは、対象製品を固定し、回転させた工具で削り取る加工法です。工具には複数の刃物が取り付けられているのが一般的で、断続的に切削を行う点が特徴となっています。
(2)旋削
旋削とは転削と逆で、加工対象の製品を回転させて削る加工法です。おもに旋盤と呼ばれる工具を用いて、回転する材料に刃物を当てて成形を行うため連続的な切削になる点が特徴になります。
2.切削加工の種類①:フライス加工
「フライス加工」とは、フライス盤という機械を用いる切削加工です。製品を固定し、フライス盤を回転させることで断続的な切削を行います。
(1)フライス
「フライス」とは、手動による汎用的なフライス盤を使って行う切削加工です。工具の速度や位置、切り込み量、送りなどを微妙にコントロールできるため、クオリティの高い製品を加工できる点がメリットになります。
(2)NCフライス
「NCフライス」とは、コンピューターがフライス盤を制御して切削加工を行う機械です。「NC」とは「Numerical Control」の略語で、日本語では数値制御という意味になります。またNCフライスは、CNC(Computerized Numerical Control【コンピューター数値制御】)フライスと呼ばれることもあるので覚えておきましょう。
NCフライスは3D CADなどとの連携や作業が自動化できる点がメリットです。また、ヒトの手では再現が難しい複雑なデザインの加工も可能になります。
(3)マシニングセンタ
「マシニングセンタ」とは、複数の工具を取り付け可能なNCフライスを用いた切削加工用の機械です。複数の軸を使って直線や回転といった切削を連続して行えるため、曲面の加工や穴あけなども含めた、非常に複雑なデザインの加工が可能になります。
3.切削加工の種類②:旋盤加工

「旋盤加工」とは、旋盤と呼ばれる機械に固定した材料を回転させながら、そこに刃物を当てて切削する加工方法です。おもに円筒状の材料を先細形や円形に成形する際などに利用され、フライス盤と同じように手動とコンピューター制御の2種類があります。
(1)旋盤
一般的な旋盤加工で、チャックという把持具(はじぐ)に固定された材料を回転させ、そこにヒトが旋盤を使って切削する加工方法です。手動による微妙な送りや速度、角度の制御が可能になるため、小さな部品の加工に適しています。
「穴あけ加工」とは、文字通り工具を使って材料に穴をあける加工法です。高速回転するドリルで直線送り運動を行いながら成形します。
(1)ソリッドドリリング加工
「ソリッドドリリング加工」とは、無垢穴をあけるもっともメジャーな浅穴加工です。ソリッドドリルという工具を用いて、小径の穴をあける作業を行います。

(2)トレパニング加工
「トレパニング加工」とは、トレパニングドリルを使って大径の穴あけを行う加工方法です。穴の中心にコアを残して、周囲の材料のみ削り取っていく貫通穴に適した穴あけ加工になります。
(3)カウンターボーリング加工
「カウンターボーリング加工」とは、すでにあいている穴の大きさを広げ、適切な公差を得るための穴あけ加工です。前述したマシニングセンタと組み合わせて使用されるケースもあります。
5.用途に応じて適切に使い分けることが重要
切削加工は平たく言えば、工具を使って材料を削り取っていく加工法ですが、今回ご紹介したようにさまざまな種類があります。フライス加工、旋盤加工、穴あけ加工の3つだけでなく、さらに目的や用途に応じて細分化されますので、この機会に切削加工の知識を深めてみてはいかがでしょうか。