ガス焼けの悩みを解消する射出成形/低圧成形のメリットとは

ガス焼けの悩みを解消する射出成形/低圧成形のメリットとは

ホーム > 技術情報一覧 > 月刊Design Tips > ガス焼けの悩みを解消する射出成形/低圧成形のメリットとは

※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。


≪目次≫

1.低圧成形とはどんな射出成形なのか

(1)一般的な射出成形との違い

(2)低圧成形が適した製品とは

2.低圧成形のメリット   

(1)コストカットおよび品質改善

(2)環境にも優しい

3.低圧成形の注意点  

(1)型締め速度の微妙な調整が必要

(2)金型内部の圧力が上がるとガス焼けが発生

4.ガス焼けとバリ防止には低圧成形


 

射出成形で加工を行う設計者の悩みの1つとして、ガス焼けが挙げられるでしょう。ガス焼けとは、樹脂圧で圧縮された金型内のエアーによって、樹脂の温度が上昇することで発火し製品の表面が燃える現象です。

 

しかし、低圧成形を活用することで、ガス焼けの悩みを解消できます。今回は、そんな低圧成形の概要やメリット、注意点について解説するので参考にしてみてください。

 

1.低圧成形とはどんな射出成形なのか  

低圧成形がどのような成形方法なのか、通常の射出成形と比較しながら確認してみましょう。

 

(1)一般的な射出成形との違い

一般的な射出成形では、金型の転写性向上のために圧力が高くなりがちです。射出の圧力が高くなると、キャビティ中の圧力のムラが大きくなり、ガス焼けなどの原因になります。

 

射出成形機を使って加工を行う場合には、シリンダの中で加熱融解させた樹脂に圧力をかけて、金型の中で押し込むのが一般的です。このとき型締め力を高めることで、樹脂が反発する圧力を抑えています。また、一般的に大きな製品になるほど大きな型締め力が必要になるため、射出成形機もそれに比例して大型になる点が課題です。

 

「低圧成形」とは、一般的な射出成形に比べ低い圧力で成形できる成形方法です。金型内の圧力が上昇しないように、低い圧力を維持して材料を成形します。そのため、ガス焼けが発生しないうえ、大きな型締め力も必要ありません。

 

なお、低圧成形は射出圧縮以外にも、ガス注入射出成形や射出プレス成形など、さまざまな方法で実施されています。

 

(2)低圧成形が適した製品とは

低圧成形は、おもに電子機器をオーバーモールディングするときに活躍します。また、ガスアシスト成形やソリッド成形、ウェブ成形や発泡成形などさまざまな成形方法と組み合わせることが可能です。

 

それにより、建築製品やパレット、フェンス、梯子、保管・運搬箱、遊具、屋内用家具、清掃用品、業務用厨房、犬小屋といった、大型プラスチック製品の加工も実現できます。

 

2.低圧成形のメリット   

低圧成形には生産上のメリットに加え、環境に優しいというメリットもあります。

 

(1)コストカットおよび品質改善

前述したように、低圧成形では大きな型締め力が不要です。そのため、大型の射出成形機が必要ないので、小型の成形機となり場所もコストも削減できます。また、金型も高価なものを使う必要がないため、この点においてもコストカットにつながるのです。

そして、低圧成形では充填圧が下がりストレスが少なくなるため、ひずみやそりといった製品の変形や、ガス焼けやパーティング面のバリの発生が抑えられます。製品の変形が減少することで修正に必要な冷却の手間が省け、成形にかかる工数も削減できることでしょう。

このような一般的な射出成形ではなかなか回避できない課題がある場合でも、低圧成形を用いることによって製品の品質を上げることが可能です。

(2)環境にも優しい

低圧成形機は振動が少なく、断熱性や耐熱性も高い点が特徴です。また、騒音や化学反応、熱硬化の影響も少なく、環境に優しい点もメリットといえるでしょう。

一方、従来の射出成形機は高い圧力が必要なためエネルギーの消費も多く、大きな騒音も発生します。そのため、エコな製品加工が実現できる低圧成形が、世界中の企業から注目を集めている状態です。

 

3.低圧成形の注意点       

メリットが多い低圧成形ですが、金型内の微妙な圧力調整が必要になります。

 

(1)型締め速度の微妙な調整が必要

金型内部を加熱して大きな圧力をかけると、材料が成形可能な状態になります。ただし、加熱し続けることで、架橋反応という化学反応が発生する場合があるため注意が必要です。

これにより材料の流動性が下がると、低圧では微妙な成形の調整ができなくなります。したがって、型締め速度を微妙に調整することで、金型全域に材料がいきわたるように調整しなくてはなりません。

 

(2)金型内部の圧力が上がるとガス焼けが発生

エアベントが少ない成形機では、ガス焼けが発生しやすくなります。その理由は低い内圧を維持できなくなるからです。そのため、最適な圧力で成形できるレベルまで、エアベントの数を増やして回避しましょう。

一方、製品部にエアーを送り込む際には、ランナーエンドにベントを設置するか、スプルー直下からガス抜きを行う必要があります。また、エアーが詰まると排気能力も落ちますので、ガス焼けの発生する確率が高くなるため注意しなくてはなりません。

 

4.ガス焼けとバリ防止には低圧成形

低圧成形は一般的な射出成形で悩みの種といえるガス焼けを防止できます。さらに、低圧成形であればエアベントが深めでも、バリの発生が抑えられる点がメリットです。

ガス焼けやバリ防止に悩む企業の設計者の方は、低圧成形の導入を検討してみてはいかがでしょうか。