
さまざまな条件で変化/切削加工が影響を受ける条件とは
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※本シリーズは設計者の皆さまの学習にお役立ていただくために、一般的な製造手法のノウハウについてご紹介します。記事内でご紹介する内容はプロトラブズにて未展開のものも含まれます。

≪目次≫
(1)切削速度による影響
(2)送り量による影響
(3)切り込み量による影響
(1)温度が上昇すると熱変形する場合も
(2)工具や原材料の剛性にも注意が必要
ミクロ単位の加工も行う切削加工では、温度や工具などの微妙な条件の違いによって、製品状態に大きな影響が出る場合があります。そのため、切削加工を行う業者は、細心の注意を払って工具や作業環境のメンテナンスに努める必要があります。
そこで今回は、切削加工がどのような条件に影響を受けるのか解説します。

切削速度や送り量の条件によっても、工具の寿命や加工能率、精度に影響が出ます。
(1)切削速度による影響
切削速度の違いによって、工具の寿命が大きく変化します。切削速度の上昇に伴い、切削時の温度が上昇することがその原因です。
切削速度の違いは原材料の種類や質などによっても大きな影響を受けますが、最適な工具を選ぶことも工具の寿命に大きな影響を与えます。
具体的には、切削速度を2割アップすると、工具の寿命は半分になることを覚えておきましょう。さらに、切削速度を5割アップした場合には、工具の寿命が1/5にまで下がってしまいます。
一方、逆に20~40m/秒程度といった低速の切削速度の場合は、びびりが発生する原因になるため、こちらも工具の寿命に悪影響を与える可能性が高いでしょう。
(2)送り量による影響
送り量の大きさも、工具の寿命や製品の仕上げに影響を与えます。なお、「送り量(送り速度)」とは、旋盤における主軸1回転ごとの刃(バイト)の移動距離です。送り量の単位は「mm/rev」で表現されます。
送り量はどのような仕上げにするかに応じて、最適な値の設定が必要です。送り量の違いによる仕上げへの影響は以下のようになっています。
・送り量が大きい場合:加工能率や精度が上昇。ただし、切削温度が上昇することで逃げ面摩耗も大きくなるため、工具の寿命への影響は軽微
・送り量が小さい場合:逃げ面摩耗が大きくなることから、工具の寿命が激減する
(3)切り込み量による影響
旋盤で切削加工を行う場合に、刃が当たる素材の面積のことを「切り込み量」と呼びます。切り込み量は被削材の取り代や形状、機械や工具の動力や剛性といった、さまざまな条件の違いによって違いが出るため注意が必要です。
切り込み量が大きくなれば加工効率がアップします。ただし、刃の温度が上昇するため加工面が荒くなりがちな点や、工具の切れ刃がダメージを受けるため寿命に悪影響を与える点がデメリットです。原材料や工具の素材などの影響も大きいので、切り込み量を調整しながら最適な値を見つけていくとよいでしょう。
3.熱や剛性による影響
切削加工では熱や剛性による影響にも留意しておく必要があります。
(1)温度が上昇すると熱変形する場合も
切削加工では機械の稼働による温度の上昇と、加工時の発熱による影響で製品が熱変形する場合があります。
物体には温度が上昇すると膨張するという性質があるため、切削加工を行う現場においては、熱変形が発生しない程度の温度をキープすることが必須です。また、加工時間が長くなると、機械の発熱に伴って原材料の温度も上がるため熱変形する可能性が高くなります。
したがって、測定室で常に加工中の温度をウォッチすることが、切削加工を行う業者には求められるのです。
(2)工具や原材料の剛性にも注意が必要
切削加工を行う際には、工具や原材料の剛性が加工精度に影響を与える場合があります。「剛性」とは、物体に力が加わった際に、変形に反発しようとする力が発生する現象です。
もちろん、現在は切削加工用の機械に対しても、剛性への対応が施されてはいます。しかし、ミクロレベルの設計を行う際には、剛性によって仕上げの精度に大きな影響が出る可能性があるのです。
剛性は動剛性と静剛性の2種類に分けられます。
まず「動剛性」とは力が作用する方向が変化する状態です。たとえば、機械動作時の振動がびびり発生の原因となることで、仕上げに悪影響を及ぼすようなケースが該当します。一方、「静剛性」とは力の作用する力と方向が一定状態の際に発生する剛性です。つまり、加工用の機械が静止している状態で発生する、作業盤のわずかな変形などが挙げられます。
わずかな変形であっても、ミクロ単位の加工を行う場合には大きな影響が出るため注意しましょう。
4.最適な環境で加工が行える業者を選ぶべき
切削加工で高い精度の製品を加工するためには、さまざまな条件をクリアした最適な環境で作業を行う必要があります。そのため、業者ごとに加工精度のばらつきが多いのも現状です。
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