Design Tip

パーティングラインの決め方

図1:パーティングライン例

射出成形するパーツを3D CADで設計しているときにパーティングラインをどこに配置するか、時間をかけて検討することは少ないかもしれません。しかし、パーティングラインの位置がパーツの仕上がり、性能、コストに影響を与えることをぜひ考慮していただきたく、今回の記事をまとめました。パーティングラインを形状の中央に配置することが明らかに最適な場合もありますが、複雑な形状になると明快ではないこともあります。例えば、ごくシンプルなコップ形状を考えてみましょう。コップの外側は、金型の固定側で形成され、内側と縁の部分は可動側で形成されます。この場合には、パーティングラインは、図1に示すとおり、縁の部分の外側のエッジに沿った配置になります。

しかし、パーティングラインの位置が簡単に決まらない形状もあります。特にエッジの位置がはっきりしない「自由曲面」で構成される形状の場合には、難しいことが多いのです。例えば、図2のプラスチック製のフィギュアを例に見てみましょう。このようなフィギュアは通常、2方向抜き金型で成形されますが、つなぎ目が見えています。これは金型が合わさったところにできたつなぎ目です。

図2: つなぎ目は、パーティングライン(固定側、可動側の二つの金型が合わさったところ)にできています。金型の微小なずれやすき間が、この目立つつなぎ目、つまりバリの原因となります。

複雑な形状になると、パーティングラインの位置決めも難しくなりますが、最適な配置を設計できれば、外観にも機能にも満足できるパーツを入手できます。

パーティングラインの位置は、大きくは三つのことに影響します。まず第一に、型開き方向を決定づける要素であるため、離型をスムーズにさせるための抜き勾配を、どのフィーチャに対して、どの方向に設けるかに影響します。第二は、金型が合わさった時にできるつなぎ目の場所と見え方に影響します。第三は、金型の製造コストと、成形されたパーツを完成品に仕上げるための二次加工のコストへの影響です。

写真のフィギュアは、パーティングラインを考慮した設計が難しかった例ですが、同様の問題はもっとシンプルなパーツでも起こりえます。例えば、シンプルであっても、丸み(フィレット)を付けたエッジがあるような形状でも問題が生じやすいものです。パーティングラインは、型開き方向と平行な面の接線に沿って配置される必要があります。図3の形状では、パーティングラインが、本来であればなめらかであるべき面に配置されています。その結果として、金型のエッジに少しでもずれが生じれば、目立つつなぎ目ができてしまいます。この現象を避けるためには、より厳密な公差が必要になり、金型の加工費が上がることにつながる可能性があります。バリができれば、パーツの見た目や機能にも影響が出る可能性があり、場合によっては、完成したパーツのアセンブリがうまくいかないということにもつながります。このような問題の回避策として、図4のようにパーティングラインを、外側の尖ったエッジに沿って配置すれば、つなぎ目はカモフラージュされることになります。

成形を円滑に進めるには、パーティングラインを考慮した設計が重要なポイントになります。複雑なパーツのパーティング ラインの配置に困った時の対処として、二つの方法を提案します。一つ目はCADソフトの機能を利用することです。分割ライン(split line)を検討するための機能を備えているCADを活用するという方法です。二つ目は弊社の双方向対話式無料見積りを利用するという方法です。抜き勾配を付加していない3D CADデータをアップロードしてProtoQuote見積りを請求していただければ、図解付きでパーティング ラインの位置とその配置に応じた抜き勾配を提案させていただきます。(ProtoQuote見積りでの回答では、二方向抜き金型で成形できるようにするための設計変更、スライドや置き駒による対応などについて提案させていただくこともあります。)

CADシステムから得られる回答、弊社からの提案だけが有効なオプションではないこともあるかもしれません。パーティングラインの外観への影響、機能性への影響などをじっくり検証して最適解を得るための試行を繰り返すこともあるでしょう。弊社のカスタマー サービス エンジニアがご相談にのることができることもあるかもしれません。お気軽にご一報ください。
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図3: 固定側、可動側の合わせ目にパーティングラインが形成されます。したがって、金型同士が少しでもずれれば、パーツにつなぎ目の痕跡ができ、形状に影響が出ます。これを避けるために、パーティングラインをシャープなエッジに沿って配置することを推奨します。

図4: 金型の合わせ目で、シャープなエッジが形成されます。
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