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樹脂パーツの強度、耐久性の向上に!インサート成形の活用メソッド

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射出成形した樹脂パーツは、使用する樹脂により、強く丈夫で、大きな負荷や高温の環境、酸やアルカリ腐食に耐えることができます。金属に引けを取らない樹脂もあり、軽いうえに安価です。しかし、少し手を加えるとより強度や耐久性を上げることができます。樹脂製プーリーの内径部は、すぐに摩耗してしまいます。また、樹脂製のハンドルやノブのネジ山はつぶれやすくなっています。そこで、このような箇所にステンレスや真鍮製のベアリング軸受けやナットなど、金属を使って補強すれば、樹脂と金属の両方の良いところを生かすことができます。

 インサート成形部品の作成方法

インサート成形の出番

プロトラブズでは、短納期でインサート成形に対応しています。インサート成形は成形後に樹脂部品に組み込むのではなく、金型の中に金属部品(インサート部品)を事前に組み込んでから、樹脂を充填するため、二次加工が不要になり、金属と樹脂が一体化した耐久性のあるパーツを手に入れることができます。といっても、インサート成形向けに慌てて設計し直すことのないよう、押さえておきたいことがいくつかありますので、以下のポイントを中心に今回のDesign Tipで紹介します。

  • インサート成形とは何か。二色成形との違いは何か。
  • 製作するパーツはインサート成形に向いているのか。
  • どの樹脂が使えるか。
  • どんなインサート部品が利用できるか。
  • パーツ設計のポイントは何か。



インサート成形では、ナットのような既製品を使用して強度を高めることができます。

インサート成形の基本

インサート成形と二色成形は似ている部分があります。どちらも異なる材料を組み合わせて1つの部品を製作することで、性能の強化を図ります。どちらの工法で成形してもパーツのコストは多少上がりますが、手作業による二次加工がなくなるため、コスト差は無くなる可能性もあります。また、プロトラブズの二色成形とインサート成形のリードタイムは通常の射出成形よりも多少長めですが、それでも一般的なインサート成形よりも短納期で対応が可能です。

二色成形は2つの工程で行われ、一次側の金型と二次側の金型が必要です。一方、インサート成形は、1つの金型、1回の工程で製造されます。ナット、カラー、スリーブまたはその他の金属部品を手作業で金型に挿入したうえで、金型を閉じて樹脂を充填させ、金型を開いて、パーツを取り出します。強度と信頼性が増したパーツの出来上がりです。

その他にも、インサート成形には、多くの場合、部品の軽量化が図れるというメリットがあります。金属のインサート部品を組み込んで成形した樹脂パーツは、全て金属で出来ている部品に比べて軽くなります。また、既に説明したとおり、インサート成形したパーツの全体的なコストは、成形後に組み込み作業を行うパーツに比べて低くなる可能性があります。

インサート成形に向いているパーツ

端的に言うと、ネジ穴付きのパーツであれば、インサート成形の利用を検討するとよいでしょう。筐体やボルト締め可能な蓋付きケースなどに向いています。気密性確保のため、締結の強度を高める必要がある樹脂製エアーマニホールドや油圧マニホールドのほか、ノブ、ハンドルなど、雄ネジを使用する部品も適しています。

ファンの羽根や駆動ギアなどの回転するパーツもインサート成形に適しています。例えば鉄または真鍮のインサート部品を使用することで、軸受面の耐久性を向上させることができます。樹脂製のハンドルが必要な金属製の手術用のこぎりは、サイズが合えば、インサート成形で対応できる場合があります。ホイール、スプロケット、プーリー、T字らせん錐など、部分的に強度や耐久性を強化する必要がある樹脂パーツはインサート成形に向いているでしょう。


ナットが金型にセットされ、樹脂がインサート部品を包むようにして、パーツが成形されます。

適切な材料、使用できる材料

インサート成形では、ほとんどの熱可塑性樹脂を使用できます。POMやナイロンなど、エンジニアリンググレードで剛性が高い樹脂は、ポリエチレンやABSと同様、適した材料です。PPSやPEI(Ultem)などの成形温度が非常に高い樹脂では注意が必要です。プロトラブズでは、インサート部品の金型へのセットは手作業で行いますが、高温の金型にインサート部品をセットするのは、さながら熱いオーブンに指を突っ込むようなものです。気を付けないと、やけどしてしまいます。

インサート部品の選択

プロトラブズでは、2018年2月初旬からM2、M3、M4のいくつかのインサートナットを在庫することを予定しています。これにより、お客様はインサート部品を自ら調達する必要がなくなり、お気軽にインサート成形をご利用いただけます。在庫しているサイズの中からお探しのインサートナットが見つからない場合は、従来通りご支給いただくことで対応いたします。いずれの場合でも、プロトラブズでは、現在、金属製のインサート部品のみ承っています。見積り依頼にはメーカーからインサート部品の3D CADデータを入手していただき、3種類の3D CADデータ(樹脂部分のみ、インサートのみ、樹脂部分+インサートのアッセンブリデータ)をアップロードしていただく必要があります。

設計時のポイントについて

インサート成形のルールは、適切な抜き勾配を設ける、肉厚を均一にする、アンダーカットは作らない、可能であればパーツに不要なフィーチャや鏡面仕上げを施さない等、一般的な射出成形のルールと変わりません。

注意する点では、既にご説明しましたように、プロトラブズでは、どのインサート部品も手作業で装填します。そのため、M2より小さいインサート部品は、大きすぎて片手に収まらないインサート部品同様、扱いが難しくなってしまいます。その他、インサート部品を金型にセットする位置が深すぎたり、狭すぎる場合も同様です。

また、インサート部品は、精度の高いものを選定する必要があります。精度が悪い場合、成形中にインサート部品が動いてしまう、或いは金型にセットできない可能性があります。インサート部品と樹脂部分の境界にバリが発生したり、金型が破損しないように、インサート部品の位置決め面や押切り面の推奨精度は±0.05mm以下です。

最後に、溶融した樹脂が障害物で分流して再合流したときに形成されるウェルドラインについてです。これは、インサート部品があると発生しやすくなります。ウェルドラインは主に外観に関わる不良ですが、強度上の欠陥を引き起こす可能性もあります。このような場合の対策として、ガラス繊維を含有した材料を使用したり、ウエルド発生箇所を増肉(無理のない範囲で)したりする方法があります。インサート部品の周りを多少、厚肉にしたり、リブを厚くしたりするのは、インサート部品を頑強に固定する効果的な方法です。本件に限らず、お見積もりごとに、製造性の解析(DFM)で、解決策を提案しています。 

 

ご参考:
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本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、気軽にお問い合わせください。
 電 話: 0120-2610-25 
 Email: customerservice@protolabs.co.jp

技術資料(ホワイトペーパー):
plastic injection-molded part

図解 樹脂部品設計 Vol 1

樹脂射出成形を考慮した樹脂設計について図解しました。射出成形の仕組みから推奨肉厚、肉厚、表面仕上げ、公差、キャビ・コア、樹脂の選定など樹脂製品の設計にお役立てください。

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図解 樹脂部品設計 Vol 2

凹凸形状や穴形状、直線や曲線などさまざまなフィーチャを備えた樹脂パーツの設計に関するアドバイスをまとめました。 スライド、テーパ合わせ、置き駒、無理抜きなどに関する解説もお役立てください。