Case Study

信頼性を成形する

ーオンデマンド射出成形の活用で品質と信頼性を高めた東京製綱

索道用ワイヤロープ劣化防止パーツ

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User’s Profile

東京製綱株式会社

http://www.tokyorope.co.jp/

本社   :東京都中央区日本橋3-6-2(日本橋フロント)
設立   :1887年 4月 1日
資本金  :10億円
代表者  :代表取締役 浅野 正也
ジャンル :産業用ワイヤロープ
目的   :小ロット生産

課題

東京製綱株式会社様 導入事例

  • ロープウェイなどで使われる索道用ワイヤロープの継ぎ目部分の劣化防止のため、軸棒の変形を矯正する部材が必要だった
  • 該当部分に使用する樹脂は加工が難しいうえ、鉄製金型での射出成形はコスト面、ロット数において費用対効果が合わなかった

解決

  • プロトラブズに軸棒と同じグレードの樹脂を支給し、必要個数の成形パーツをタイムリーに小ロット生産
  • オンデマンド射出成形サービスの活用でコストメリットに優れ、安定的な部材調達が可能となり、業界に向けたパーツの販売も展開

 

製品・製作パーツ概要索道用ワイヤロープ劣化防止パーツ

  • ロープウェイやスキーリフトなど吊り下げ式輸送機に 使われる索道用ワイヤロープ(中心にプラスチック軸棒)
  • 軸棒の変形を矯正する部材をプロトラブズのオンデマ ンド射出成形サービスで小ロット生産(サイズ違いで7タイプ/各50個)

一見、恐竜の爪のようにも見える象牙色の塊。これは東京製綱がオンデマンド射出成形で生み出した索道用ワイヤロープのパーツです。索道とはロープウェイやスキーリフトなど空中吊り下げ式輸送機を用いた交通機関のこと。ゴンドラやリフトを吊るす強靭なワイヤロープには継ぎ目があり、ロープの寿命やコストパフォーマンスはその継ぎ目の品質が鍵となります。この“爪”は、まさにその品質を生み出す重要パーツ。これを低コストでスピーディに仕上げたのは、プロトラブズのオンデマンド射出成形でした。

東京製綱株式会社 技術開発本部 研究所部長 技術士(化学) 山本幸仁 氏

「とにかくレスポンスが早い。通常2週間かかる仕事が1日で完了するので、ストレスがありません」

東京製綱株式会社
技術開発本部 研究所部長
技術士(化学)

山本幸仁 氏

次世代ワイヤロープ、「継ぎ目」の課題

プリンターヘッド用の極細ワイヤから明石海峡大橋を支える超強度ワイヤまで、高性能なロープ製品を製造販売し、国内市場シェアNo.1を誇る東京製綱株式会社。なかでも特に好調なのは、ロープウェイやスキーリフトなど吊り下げ式輸送機のワイヤロープで、この市場では6割を超えるシェアを持ちます。

2016年、同社の技術開発部門は課題を抱えていました。「変形して欠けてしまった」と話すのは、技術開発本部研究所の山本幸仁部長。茶色く変色しひび割れた試作品を見せながら、当時の課題について語りはじめました。

つり下げ式輸送機用のワイヤロープは、素線を撚ったストランドという小縄を何本も束ねて作られており、通常その中心にはプラスチック繊維の芯が詰められています。しかしこの芯は潰れやすく、とくに継ぎ目部分は複雑な構造をしており、ここが劣化するとロープ自体が細く伸びてしまいます。

「伸びを吸収する装置が作動しますが、対応には限度があります。」と山本氏は話します。「そこでメンテナンスでロープの切りつめを行うのですが、それが度重なるとコストがかかってしまう」。

この問題を解消するため、最近ではプラスチックの軸棒を使ったソリッドコアが使われるようになってきたと氏は説明します。しかし、それでもロープの継ぎ目部分では、芯に不均一な圧力がかかるためどうしても歪みが発生。それは劣化につながり、進行すれば断線にもつながりかねません。技術開発部門の課題とは、まさにこれをいかに抑えるかということでした。

戦力としての射出成形、複数金型を安定製作

繊維芯は劣化した部分を詰め直すことができますが、プラスチック軸棒ではそれが不可能。そこで山本氏らは継ぎ目部分の歪みを3D CADデータに落とし込み、それに合った矯正パーツを作ることにしました。

山本氏が見せたひび割れた塊は、初期に手がけたその試作品。小さいパーツながら、その製作は簡単ではなかったと氏は語ります。「削り出しや鋳込みでなどいろいろ試しましたが、どれも疲労試験中に劣化し、欠けてしまいました」。

最終的に山本氏らがたどり着いた解決策は射出成形。しかし、一本の索道用ワイヤロープにつき必要とされる矯正パーツは、たった6 個。また、ロープの直径によってサイズも変わり、コストやロット数を考えると、鉄製金型での射出成形はとても割に合いません。

「それでプロトラブズに助けを求めたのです」と山本氏は話します。2年ほど前、別件で切削加工による小ロット生産を依頼したことがあり、そのときの仕上がり、料金、スピードに好印象を抱いていました。

「見積もりやデータ修正のレスポンスが早いだけでなく、とにかく戦力になる」と山本氏は話します。「今回もサイズの違う7タイプの金型を同時に製作したのですが、何の支障もありませんでした。こうした安定した製造キャパシティは、スケジュールの見通しが確実になるのでエンジニアにとってありがたい」。

また、このほかにも氏は多様な樹脂への対応力をメリットとして挙げています。「今回のパーツは軸棒と同じグレードの樹脂を使用することが必須だったので、支給材にも対応してもらえるプロトラブズのフレキシビリティは非常に心強かったです。」

「人の命」に関わる事業の信頼性を支える、
パーツの精度

2018年、東京製綱はサイズ違いで小7タイプ、各50個のパーツを作り、新型ワイヤロープ「Super Solid Mountain®」のメンテナンス部材として市場投入します。

営業部隊と商談にあたりマーケット動向に目を光らせる市場技術部の草皆弘毅部長は客先の感触について「非常に好評」と話しています。「ロープの変形が出ないので、市場から高評価をいただいており、需要に応え、販売用として追加発注しました」。

こうした成功は、今回成形したパーツの精度の良さによるところが大きいと山本氏は指摘します。ロープウェイやリフトに限らず索道用のワイヤロープは人の命がかかる最重要部材。その品質の向上は運行の安心安全につながり、さらには事業の信頼性に関わっていきます。

国内の事業基盤を固め、海外市場に成長機会をうかがう東京製綱。今、特に伸びているエレベーター用ワイヤロープの需要に狙いを定め、ベトナムを生産拠点として、中国やインドなどに販売攻勢をかけています。

草皆氏は、最後に今後の展望をこう語りました。「今後、更に顧客と共に、市場拡大を目指して活動中です。プロトラブズが必要な部材を必要な個数ですばやく供給してくれるので、安心して営業展開できます。今回のパーツもこれからバリエーションを増やしていく予定です」

「プロトラブズは必要な材料を使用し、必要な個数ですばやく供給してくれるので、安心して営業展開できます」と語る草皆氏(右)と山本氏(左)

「プロトラブズは必要な材料を使用し、必要な個数ですばやく供給してくれるので、安心して営業展開できます」と語る草皆氏(右)と山本氏(左)