Case Study

短納期射出成形サービスの活用により小ロットと高コストパフォーマンスを両立


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株式会社SPIエンジニアリング
2006年創立の若いベンチャー企業で、インスタント内視鏡、管内カメラ、ハイビジョン内視鏡などの工業用内視鏡の企画、設計、開発、製造から販売までを一貫して手がけているメーカーである。展示会等で集めた現場の声を迅速に開発に反映し、新たな内視鏡の開発につなげるなど小規模である良さを活かして大手との差別化を実現し、日本を 代表する大手自動車会社や、電気通信業界、社会 インフラ系の会社への大規模導入を実現している。

平成18年の創業以来一貫して工業用内視鏡の開発・販売をしている株式会社SPIエンジニアリングは、当初からタイムリーな製品開発に切削加工サービスFirstcutを活用してきた。業績拡大とともに、販売数の拡大を意識した、従来よりも価格を下げた製品を開発するにあたって課題となったのが品質を落とすことなく、比較的小ロットの生産とコストパフォーマンスを両立させることであった。そして活用することにしたのが 10個から製品パーツを製造できるProtomold射出成形であった。

さらなる拡販に向けて より安価な製品を展開

SPIエンジニアリングが開発から販売まで一貫して展開している工業用内視鏡は、自動車の生産工程を中心にそのリーズナブルな価格と品質が評価されて大手企業も含めてさまざまな業種で導入が進んでいる。創業以来の重要な営業チャネルである展示会への出展による引き合いに加えて、最近は国外にも販売網を拡大。2012年12月現在、米国、アジア、欧州などに10社の販売代理店を獲得し順調に業績を伸ばしている。同社の工業用内視鏡は、ビデオ型の内視鏡カメラでファイバースコープ型のものよりも鮮明で安定した画質を提供する。さらに同社のUSB内視鏡を使う場合には専用のモニターを必要とせず一般的に使用されるWindows XPやWindows7を搭載したPCで使える。積極的に製品開発を進める同社では、現在の製品の中では最も細い直径2.9mmよりもさらに細い先端経1.8mmの製品の開発も進めている。 SPIエンジニアリングの代表取締役社長、日高剛生氏によれば、数量ベースを増やすために従来よりも10万円安い製品の開発を進めた。これまで同社の製品はABS樹脂の切削、または板金で製造されてきた。しかし、単価を抑えた製品の開発を進めていく必要性が出てきたことによって、切削加工以外の方法を模索することを迫られた。そこで、SPIエンジニアリングが注目したのが、プロトラブズの短納期射出成形サービス「Protomold」である。
Protomold では、10個程度でも本物の樹脂で製品のパーツを製造する。数万から数十万という大量生産を前提とした一般的な射出成形 サービスよりも利用しやすい。必要な時に、必要な数を少量であってもオンデマンド製造できるので、在庫レスの実現にも有効である。同社の内視鏡のように比較的少量でも、射出成形したパーツを製作コストの低減の効果を得ることが可能なのだ。

試作から量産までを一箇所でできることのメリット

実は、日高氏がProtomoldのメリットとして挙げたのはそれだけではない。それは、プロトラブズが切削加工サービスである Firstcutを展開していることに関係がある。同社では、ABS製の筐体の製造には当初よりFirstcutを活用して効果をあげている。Firstcutは切削加工という特徴から、試作から少量の製品の製 造に活用することができる。しかし、量産を考えた場合には金型を使って射出成形をすることが必要になってくる。普通に射出成形を専門に行う業者に依頼する場合には、あらためて同社の製品について業者に理解してもらうための手間がかかるし、また一度も取引をしたことがなければどのように仕上げてもらえるのか、ということに不安が残る。日高氏は、「プロトラブズに射出成形を依頼することに安心感がありました。すでにFirstcutを通じて同社の仕事ぶり、どのように仕上げてもらえるのかということがわかっていましたし、何よりもすでに弊社の製品の製造を受けてもらっていたので、あらためて製品の説明を行う必要もありませんでした」と述べている。つまり同氏にとって、品質がわかった上での一貫性というところに安心 感と魅力であったのだ。また、最初からの細かい打ち合わせが必要ないという点においても、特に開発のスピードというものを意識しているSPIエンジニアリングにとって、開発サイクルの短縮にも大きく貢献していると言えそうだ。もちろんスピードだけではない。
「品質という観点から評価しても、Protomoldによる製品の仕上がりにはほぼ満足しています」と日高氏は続ける。過剰ではなく、しかしきちんとした仕上がりの製品を、コストとスピードのバランスを満たしながら実現できるのもProtomoldの魅力と言える。

3Dデータをダイレクトに製造につなげる

同社の特長として、これまでになかった内視鏡製品をごく少数の精鋭で開発していることが挙げられる。本格的に製品を展開している現在も日高氏を含めて4名体制である。日高氏も自ら開発を行う一方で、トップセールスを行なっている。展示会に出展している間にもひっきりなしに、同社の内視鏡に興味をもったプロスペクトから問い合わせの電話が日高氏に入る。やはり、手間なく無駄なく設計から開発まで進められることの重要性は非常に高い。 ProtomoldでもFirstcutと同様に3DのCADデータさえあれば、製造に進むことができる。2D図面は必要ない。プロトラブズがある神奈川県とSPIエンジニアリング社がある長野県という 距離は関係なく、データをアップロードすればインタラクティブな見積りシステムProtoQuoteで製造性から、材料や数量に応じた見積りをリアルタイムで確認できる。
「幸い、製造性についても致命的な問題は見つからず、製造も一発目から上手くいきました。とにかく3Dのデータがそのまま使えたことで業務はとても楽で効率的になりました」と日高氏は語る。 製造プロセスを確立した同社は新分野への進出も積極的に進める。新型内視鏡の開発をきっかけに医療分野への参入を目指しており、胃ろう患者向けの内視鏡の開発・実用化を、数年後を目処に目指している。

USB内視鏡「HKT-USB」。専用のモニターを必要とせずWindows XPやWindows 7 を搭載したPCをモニターとして使用可能。電源もUSBのバスパワーで提供される。 直径2.9mmのカメラに対応したtype2と4.6mmに対応したtype4がある。
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