Case Study

製品価値を試作する

Web ベースの試作サービスで 次世代旗艦モデルの市場投入を早めた ローランド ディー. ジー.
ローランド ディー.ジー.株式会社
R&D 本部
研究部先行開発1G 係長
上田尚樹氏
ローランド ディー.ジー.株式会社
R&D 本部 副本部長
倉島憲彦氏

User’s Profile

ローランド ディー. ジー. 株式会社

https://www.rolanddg.com/

本 社 : 静岡県浜松市北区新都田一丁目6番4号
創 立 : 1981年5月1日
資本金 : 3,668,700,000円
売上高 : 45,121百万円 (2015年度 第35期連結実績)
従業員数 : 1,233名 (2015年12月31日 連結)
事業内容 : コンピュータ周辺機器の製造および販売

XYZ軸制御技術をコアにしたものづくりで成長を続ける ローランド ディー.ジー.株式会社。カッティングマシン、3次元 切削加工機、3Dプリンター、メタルプリンターなど多彩な製 品を手がけるなか、主力製品であるサイン・グラフィックス(屋 内外に掲示される広告看板等)市場向けの業務用大型インクジェットプリンターは、グローバルトップブランドとして市場をリードしています。

今年、同社は、次世代ソリューションを提供することを企図した旗艦ブランド、「TrueVIS」シリーズを新たに立ち上げました。新開発のプリントヘッドと低溶剤インクに加え、最新のカッティング機構と出力用ソフトウェアを採用した「TrueVIS VG- 640/540」は、高精細な画質や圧倒的な表現力はもちろん、 これからのプリントビジネスに求められる生産性やユーザビリティを兼ね備えた「業界新標準機」として、市場に新たな価値を提供することを目指したとのこと。そんなVG-640/540の開発にあたり、強力な戦力となったのがプロトラブズの試作サービスでした。

 

広告看板やポスターをはじめ、車両ラッピング、ステッカー・ラベルなどの制作に活用される大型インクジェットプリンター。 耐候性や耐水性に優れた低溶剤インクを使って、塩化ビニールシートやターポリンなどのメディア(印刷媒体)に印刷する低溶剤インクジェットプリンターや、プリント機能とカッティング機能を一台のマシンに融合させた「Print&Cut」機の市場セグメントでは、浜松に本社を置くローランド ディー. ジー. が、 世界トップブランドの座を占めています。

次世代ブランド開発、時間とコストとの戦い

一方で中国などの後発メーカーを含む競合他社の追い上げも厳しく、市場ポジションを守るためには付加価値の高い製品作りが欠かせません。そんななか、ローランド ディー. ジー. は、これまでの常識や制約にとらわれることなく、今後のサイン・グラフィックスビジネスを支えるプリンターのあるべき姿を描き、お客様が求める画質とビジネスの競争力向上という現実的課題に対して最適解を追求しました。

最新機能を満載したTrueVIS VG-640/540 のインクシステムの機構設計にあたった上田尚樹係長(R&D 本部)は、今回の開発を「革新的な刷新」と位置づけます。「クルマでいえばエンジンにあたるプリントヘッドを新しい低溶剤インクに合わせて新規開発し、インクカートリッジから圧力調節弁、ヘッドダンパーに至るまで、すべてゼロベースで見直しました」と語っています。

パーツやシステムを一から考え、試行錯誤を通じて最適化していくことは、設計本来の仕事ともいえますが、旗艦機種の世代交代となるとその難しさはひとしおです。いくら時間があっても足りません。そこでひとつの鍵を握るのが試作プロセス。試作の際には、きっちりと金型を作りこむのが主流ですが、それでは時間もコストもかかります。上田氏は、以前利用したことのあるプロトラブズの試作サービスに目をつけました。

付加価値の高いオンライン試作サービス

プロトラブズのサービスの特長について、上田氏はまず「見積もりの早さ」を挙げます。「複数の業者に仕様や設計意図を説明し、相見積もりを取って、社内の稟議に載せるというプロセスを考えれば、非常に画期的」と上田氏は話します。「Web 上のページにパーツ数や樹脂の種類、希望納期などを入力し、設計データをアップロードするだけで、依頼は完了(ProtoQuote®)。早ければ数時間で金額が算出され、しかも一般的な試作より割安なことが多いです」。

「心配なのは製造性や仕上がりですが、プロトラブズの試作サービスには、オンラインの手軽さに加え、しっかりしたエンジニアサポートが備わっています。抜き勾配、肉厚、アンダーカットなどのアドバイスはもちろん、設計者が忘れがちなゲートポジションやエジェクタピンの位置などを指摘してもらえます。また、肉薄部のヘジテーションや合流箇所のウェルドラインなどについても、解析結果(ProtoFlow®)を見ながら確認できるところがいい」と上田氏は信頼性を評価します。

「今回の開発ではとくに新型プリントヘッドのダンパー設計が一つの山でした。このパーツにはヘッドに適正量のインクを供給する複雑な機構が組み込まれており、多くの試行錯誤を要する難所です。スケジュールは待ってくれないので、数点同時に発注して、あがってきた試作を見ながら候補を絞り、最良の案をさらに作り込んでいきました」と上田氏は時間短縮の秘訣を明かします。さらに上田氏は、インクと樹脂の相性の問題に触れ、「独自開発の低溶剤インクは、人と環境に優しく、高色域で高発色というメリットを持つものの、一般的な樹脂だと表面の荒れや接着部の剥離を起こしやすいのです。通常の簡易金型では支給材に対応してもらえないことも多いのですが、プロトラブズは、支給材にも柔軟に対応してくれます。成形品の仕上がりも実製品レベルで確認でき、大変助かりました」と話します。

開発のスピード化、市場競争力の向上

今回の開発でプロトラブズの貢献が際立ったパーツがもう一つあります。それは直径数センチほどのインク圧調整バルブ。「じつは時間が迫っていて、少々ラフな段階で試作用のデータを送らざるを得ませんでした」と上田氏は打ち明けます。

 「開発途中で筐体のデザインが変わり、インクカートリッジを上方に移動しなければならなくなりました。通常ならただのレイアウト変更ですが、インクカートリッジの位置は、プリントヘッドノズル先のメニスカス(表面張力による液体の屈曲)に作用し、吐出性能に大きく影響します。そこで急きょインクチューブ内の圧力を調整するバルブが必要になりました」。

上田氏は、応急的に設計データを仕上げました。「製造性に少々心配がありましたが、杞憂でした。プロトラブズから戻ってきたデータは、私の設計意図を汲んでいただき、流動解析や金型ノウハウに裏打ちされた完璧なものでした。コストが安い、スピードが速いというだけでなく、信頼性が高い。開発の強力なパートナーだと感じました」。

同社のR&D 本部で副本部長を務める倉島憲彦氏は、市場競争の観点からも、今回のような試作サービスの重要性を指摘します。「業務用大型インクジェットプリンターの市場では、差別化に向けた開発競争が一段と激しくなっています。No.1 の市場ポジションを堅持するためには、他に一歩先んじて満足度の高い製品をユーザーに届けていかなければいけない。そのために必要なのは、なによりもまず強い開発力です。その意味で、設計者の思うものをきっちり短納期で仕上げ、プラスアルファのアドバイスも提供するこのようなサービスには、大きな価値があります」。

上田氏によれば、「3次元切削加工機や3D プリンターを製造・販売する当社は、部品の試作でこれらを活用する機会が多くあります。しかしながら今回のように、時間が限られる中で、様々な樹脂を使った試作を同時並行で進めたい場合や、解析・試作をワンストップで完結させたい場合には、プロトラブズのサービスが有効です。プロトラブズの試作サービスは現在、ローランド ディー. ジー.R&D 本部の他の開発チームにも浸透しており、当社の機構開発の担当なら、知らない者はいないと思います」と述べています。

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