Case Study

“独創”が咲かせた光の花

オンデマンド射出成形で商品化の道を拓くパイロット・ラボラトリー

LEDテーブルランプ “Flumie(フルミエ)

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User’s Profile

パイロット・ラボラトリー

 

本社   :東鹿児島県鹿児島市郡元3丁目2-1
設立   :2018 年2 月
代表者  :山中 佑允
目的   :小ロット生産

課題

  • 商品化には樹脂パーツの製造が不可欠
  • 射出成形のノウハウがなく適切なサポートも見つからなかった
  • 必要個数が少ないため鉄製の本金型では採算が合わない

 

解決

  • プロトラブズを製造パートナーとして樹脂パーツを製作
  • 専門エンジニアによるサポートにより射出成形の問題解消
  • 小ロット生産でコスト効率よく必要個数を製造

 

製品・製作パーツ概要パイロットラボラトリー様

  • 意匠性の高い洗練されたLEDテーブルランプ
  • 電池ホルダーや意匠パーツなどの樹脂部品を小ロット生産

 


ゆるやかにらせんを描く茎の先にあるのは、可憐な白い花。花の中心にあるタッチセンサーに触れるとそこには優しい光が灯ります。これは徳島のひとりメーカー、パイロット・ラボラトリーが創りあげたLEDテーブルランプ“Flumie(フルミエ)”。 「LEDの良さを生かす形をとことん突き詰めたら、こんなフォルムになりました」と話すのは、同ラボ創業者で、父親とさつまいも農家を営む山中佑允(ゆうすけ)氏。母親への手作りの贈り物として生まれたこの製品、商品化への道を拓いたのは、プロトラブズ のオンデマンド製造サービスでした。

「プロトラブズはビジネスのパートナーのような存在です。金型設計から設計製造スケジュールまで親身にサポートしてくれます」

「プロトラブズはビジネスのパートナーのような存在です。金型設計から設計製造スケジュールまで親身にサポートしてくれます」

パイロット・ラボラトリー
創業者/チーフエンジニア

山中佑允 氏(画像手前)
父・山中徹 氏(画像奥)

さつまいも農家のエンジニア

徳島県鳴門市にあるパイロット・ラボラトリーは、実家でさつまいも農家を営む山中佑允氏が立ち上げた“ひとりメーカー”。手がける製品は“Flumie(フルミエ)”という名の LEDテーブルランプで、類例のない花のフォルムが美しい照明器具を求める人々の心を惹きつけています。

Flumieの製作現場は実家にある納屋。そこには父親の徹氏が購入したり、付き合いのある町工場から譲り受けたさまざまな工作機械が並び、切削、板金、溶接など、思いのままに金属加工ができるようしつらえてあります。徹氏自身も農業の傍ら、自走式のさつまいも収穫機や出荷用段ボール箱の自動組立機を自作するほどの手練れでした。

Flumie開発のきっかけは母親の一言。「歳をとって手元が見えにくくなったのでLED照明がほしいと言われ、いろいろ物色したのですが、せっかくだから今まで学んできた技術を駆使して、世の中にまだ無い面白いものを作ってプレゼントしようと思い至りました」。もともと電気系エンジニアとして大手自動車メーカーの二輪部門で未来型の電動オートバイ開発に携わっていた山中氏にとって、それは決して荒唐無稽な思いつきではありませんでした。

LEDの秘めた可能性をかたちに

Flumieの魅力はなんといってもその意匠性。工芸品とも呼べるその繊細なフォルムは、一輪挿しに活けられた花の姿を彷彿とさせます。

しかし、「最初から花のかたちを念頭に置いていたわけではなかった」と山中氏は打ち明けます。「通常の開発ならまずデザインがあって、そこからモデルを試作していくのですが、自分はエンジニアとして、技術的な必要性を元にLED照明のミニマルなかたち を追究していきました」。

氏いわく、「当初製作した、複数のLED基板を電線のみで直列に支えるかたちは、使っているうちに自身の重みで垂れ下がってしまいました。これを改善するため3mm四方のLEDチップを載せた厚さ2mmのアルミ基板に側面から直径1.2mmの穴を開け、そこにステンレスパイプを圧入してLED基板を支えるフレームを作製。さらに配線を露出させて見栄えを損なわないように、パイプ自体にマイナス電流を流し、プラス電流の流れる電線1本 をそのなかに通す方式を考案しました。このフレームで光源を放射状に配置してLED基板を並列に接続することで、最小限の構造で強度を保った灯具が出来たんです。」

「花びらも当初はありませんでした」と氏は続けます。「直接触れても問題ないように発熱を抑えられるぐらいの輝度でしたが、それでも光が直接目に入ると眩しすぎました。そこで和紙をプラスチックではさんだディフューザー(拡散板)でLEDを覆うと、 花びらのような形になると気づきました。母に贈るものなので、花のかたちにしようとそのとき思いついたんです」。

舞い込んだ注文、商品化の壁

こうして完成したFlumie。LED産業の振興に積極的な徳島県の目にとまり、その後押しで国内外の見本市に出品されると、思わぬ展開で注文が舞い込むように。

しかし、納屋で手作りしていくやり方では、手間暇がかかり過ぎてしまい、注文に応えるのが困難でした。例えば単三電池2本を収める樹脂製の電池ボックス部分は、汎用加工機を使った切削加工と手仕上げで、製作に半日を要し、時間と労力はもちろん、 コストにおいても採算が合わないのです。

唯一の解決法は、製作法を射出成形に変えた小ロット生産。そう すればコストを抑えながら需要にあった商品をタイムリーにユーザーに届けることができます。しかし、どうすれば射出成形で部品が作れるのか、どのくらいの費用がかかるのか、どうすればいいのか想像もつきませんでした。

そんなとき知ったのが、プロトラブズのオンデマンド製造サービス。テレビ放送で社名を見かけ、大阪で開催された同社のセミナーなどに参加するうち、可能性を感じていったと山中氏は話します。

「県内にも射出成形の業者はもちろんありますが、こちらは素人で規模も小さいので先方に迷惑かと思ってしまい、依頼を躊躇してしまう。しかし、プロトラブズの場合、気を遣わずにオンラインで見積もり依頼や発注がかけられます。とにかく使って みようという気になりました」。

ひとりメーカーの独創を後押し

Flumie商品化の道筋をつけ、2020年3月末、本格的な受注販売の体制を整えるパイロット・ラボラトリー。プロトラブズについて「製造だけでなくビジネスのパートナーのような存在」と山中氏は話します。「金型設計の細かなノウハウから販売計画にあわせた設計製造スケジュールまで、担当営業やエンジニアの方が親身になって相談に乗ってくれます」。

「パーツ製作の手間はプロトラブズの小ロット生産で解消させ、これからそのぶん開発に集中するつもり」と山中氏は今後の抱負を語ります。「私は技術にもデザインにも興味があって、それぞれにやりたい事がたくさんあります。小回りの利く身軽な立場で、自分 のアイデアや想いを込めた設計を純粋に、しかも妥協なく作り上げ、世に出していきたいと思っています。」。これは、個人が“独り”でこれまでにないモノを世に送り出す“独創”のものづくりといえるかもしれません。

最後に氏は、こう語りました。「Flumieをとても喜んでくれた母は、4年前に亡くなりました。しかし、母の『とてもいいものができたのだから、わたしだけが使うのではもったいない。もっとたくさんの方々に使ってもらえるように、製品化して販売まで 出来てこそ一人前』という言葉が、私の心にまだ生きています。

学んできたことを設計に込めて、ずっと大事に使ってもらえるような良い製品づくりをめざしたい。そのためにもプロトラブズとのパートナーシップを大切にしていきます」。