Case Study

「人のぬくもり」を伝えるロボットを創造

難病や障がいにより体を動かせない人々のため遠隔分身ロボットを開発するオリィ研究所。
オンデマンド製造サービスでロボットの製品化を加速

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株式会社オリィ研究所

http://orylab.com/

本 社 : 東京都三鷹市下連雀 3-3-50 パークファミリア 501
創 立 : 2012年9月28日
資本金 : 1億3,982万円
代表取締役CEO 吉藤健太朗
事業内容 : 共同プロジェクト事業、OriHimeレンタル事業、
     ライセンス事業、OriHime eye事業

わずか高さ23㎝、両手に収まるほどの小さな半身ロボット。
話しかければ応え、頷いたり腕を振ったり、その動作は生き生きとして、まるで人がそこにいるかのよう。これは東京三鷹にあるロボティクスベンチャー、オリィ研究所が開発した遠隔分身ロボット“OriHime(オリヒメ)”。カメラ、マイク、スピーカーを搭載し、インターネットを介して会いたい人を会えない人につなげます。簡単なタブレット操作で、周囲を見回し、そばにいる人に話しかけることもできるこの分身ロボットは、あなたの代わりに見たい顔や景色を見、聞きたい声や音楽を聞き、あなたの声を相手に届けます。

「OriHimeのように、数百台規模の小ロットで製造する場合や、改良や追加発注がたびたび見込まれる開発環境、例えばベンチャー企業にとって、プロトラブズのサービスはとてもメリットが大きいと思います。」
株式会社オリィ研究所 代表取締役CEO 吉藤健太朗 氏

そこにあるのは”ロボットと人”ではなく”人と人”とのリアルなコミュニケーション。この“OriHime”最新モデルのパーツ製造で力を発揮したのは、プロトラブズのオンデマンド製造サービスでした。

孤立から社会へ、分身ロボットの着想

東京三鷹にある社員8 名のロボットベンチャー、株式会社オリィ研究所。2012 年に設立されたこの小さな企業は、遠隔分身ロボット“OriHime”の開発で人々に大きな希望を届けています。

奈良県の工業高校で電動車椅子の開発に取り組んでいたころ、同研究所創設者の吉藤健太朗氏は怪我や病気のため車椅子にも乗れない人々がいることを知り、病室にいるかれらの代わりに友達や家族に会いにいく分身ロボットの着想を得ました。
卒業後、氏は別の工業高等専門学校でAIを学び、さらに早稲田大学創造理工学部に進んで本格的にロボット開発に打ち込みます。「AI が人のように振る舞うというようなものではなく、いろいろな事情で社会から孤立してしまっている人たちが再び社会につながることができるような、そんなロボットを作りたかった」と吉藤氏は話します。

2011 年、大学の研究室で“OriHime”のプロトタイプを完成させた吉藤氏は、さらに開発を続けるため、翌年、オリィ研究所を立ち上げました。

小ロット生産、コストに大きなメリット

高さ23㎝、重さ587g の“OriHime”は、カメラ、マイク、スピーカーを内蔵し、ユーザーと遠隔地にいる人々をその場でつなぎます。最新モデルはパソコン接続も要らず、スマートフォンやタブレットで簡単に操作可能。視線入力の“OriHime eye”を用いれば目の動きだけでロボットを動かし、入力した文字を読み上げさせることもできます。

「最新モデルでは、とくにマイクを収める台座部分の改良に気を使いました」と話すのは同研究所のハードウェアエンジニア、松谷寛氏。「“OriHime”はコミュニケーションを取り持つロボットですから、音響は最重要課題です。相手の声もこちらの声もはっきり聴き取れなければなりません」。精度が求められるこの台座パーツは3Dプリンターでは製造が難しく、射出成形でしっかりと作り込む必要がありました。さっそく松谷氏は製造の委託先を探し始めます。

そのとき偶然Web 検索で見つけたのが、プロトラブズのオンデマンド製造サービス。まずその見積もりの速さに驚いたと氏は話します。「パーツの3D データをプロトラブズの見積もりサイトにアップロードしたときすでに同社の営業時間は終了していたのですが、翌日すぐに見積もりが届いたので驚きました」と松谷氏は話します。「他の製造受託会社では4、5 日かかるのが普通です。各社から届いた見積もりを比較したところ、コスト面でもプロトラブズの方がいいことがわかりました。他社より部品単価で60%、金型費で50%ほど割安だったのです」。

最終的にオリィ研究所は“OriHime”最新モデルの台座、台座蓋、眼窩の3 パーツを150 個の小ロットでプロトラブズに発注し、製品化にこぎつけます。パーツの品質はいずれも松谷氏の期待に応えるもので、「見積もり、製造、納期、品質ともに大変満足しています」と話しています。

OriHime を使えば、遠くにいる家族とそこにいるかのような存在感を持ってコミュ ニケーションを取ることができる

OriHime を使えば、遠くにいる家族とそこにいるかのような存在感を持ってコミュ ニケーションを取ることができる

「ロボットベンチャーではたいていの製造がユニット数で百単位のものとなり、製品需要の増加や改良にあわせて追加発注を行います。それを考えると、プロトラブズの小ロット生産サービスはメリットが大きい」と吉藤氏も評価します。

加速するロボット開発、試作にも活用

4 歳のときに交通事故で脊椎を損傷し、以来寝たきりとなっているユーザーのひとりは、“OriHime”を“心の車椅子”と呼んでおり、そうしたユーザーの声はオリィ研究所のロボット開発を後押ししています。2016 年、米国の経済誌Forbes は吉藤氏を「アジアを代表する30 歳未満の30 人」のひとりに選出しました。

現在、同研究所は“OriHime”から発展させた等身大ロボットの研究開発も進めています。「ベンチャー企業のものづくりではとにかくスピードが命です」と吉藤氏は話します。「イメージが湧いて、さあ作ろうとなったときに、それに応えてくれる製造サービスがあるのはありがたい。今後の製品開発では試作段階からプロトラブズをもっと活用したいと考えています」。