Case Study

「ストレス・フリー」な製品開発

常に相反する製品開発での要件がプロトラブズのカスタマーサポートの活用で成立


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日本電色工業株式会社

https://www.nippondenshoku.co.jp/

本 社 : 東京都文京区千石4-45-17(千石長谷川ビル)
創 立 : 1960年28
資本金 : 8,100万円
代表取締役社長 : 岩本 康一
事業内容 : 分光色彩計・色差計、 ハンディ型分光色彩計・色差計、ソフトウェア、標準光源、 分光変角色差計・光度計、ヘーズメーター・曇り度計、光沢計・反射率計、濁度計・色度計(上水・排水用)

1954 年、国内で初めて測色色差計を開発して以来、独自のノウハウをもとに色彩測定機器の最先端を走り続けてきた日本電色工業株式会社。濁度、色度の測定器で国内シェアNo.1 を誇る同社は先ごろ、従来モデルを刷新した新型ポータブル水質計を発表しました。専用セルに試料をセットするだけで多彩な水質測定ができるこの水質計は、軽量でありながら堅牢性に優れ、操作も簡単。水質検査に高い機動力を発揮します。
この開発で大きな力となったのは、プロトラブズのオンライン製造サービスでした。

 

 

従来モデルを刷新、製造工程の課題

鮮明な3.5インチの大型カラー液晶を搭載したスタイリッシュなボディ。頑丈でありながら片手で扱える軽量設計。蓋を開けて試料台に検査用のサンプルをセットするだけで、野外でもリアルタイムに水質測定が可能。さらに計測データをCSV 形式でSD カードに保存でき、bluetooth 対応の外付けプリンターを使えばその場でプリントアウトすることも。これは日本電色工業が新たに開発し、昨年市場投入したポータブル水質計「WA-2/WA-2M」。水の濁り、色、透視度、残留塩素を素早く、そして正確に測定できることから浄水場や配管工事の洗管検査、貯水槽、プール、河川、海水、温泉など、さまざまな水の現場での検査に効率と利便性をもたらします。

このモデルの設計にあたったのは、日本電色工業の技術部技術開発課で主任を務める内野誠氏。2015 年10 月に刷新が決まった旧モデルの新規開発を、コンセプトデザインから金型・製造まで指揮した熟練エンジニアです。「野外で使われることが多い計測器なので、測定精度はもちろん、軽さや頑丈さ、そして操作性にこだわりました」と内野氏は開発当初の目標を説明します。「また、デザインにも注意を払いました。従来、こうしたデバイスはとにかく機能重視で、フォルムは後付けのことが多いのですが、今回は意匠を凝らし、ブランドとしての価値を高めました」。

たしかに「WA-2/WA-2M」は従来設計と異なり、スタイルと素材感にこだわった最新モデル。しかし、それだけ製造工程での難しさは高まります。一方で開発の予算と時間は限られており、難しい要件をクリアしながら設計者の思い描く製品に着地できるかどうか、不安がありました。

実践的カスタマーサポート、設計者の発想を後押し

2016 年4 月、大枠の設計を終えた内野氏は最終製造コストの見積もりに迫られていました。さまざまな金型業者にあたるなか、ふと浮かんだのがプロトラブズのオンライン製造サービス。以前、産業展示会で、2 週間かかる切削加工を1 日で実施できるという話を聞き、強い印象を受けていました。さっそく設計データをプロトラブズの見積もりサイトにアップロードした内野氏は、その手軽さに驚かされます。「材料や仕様を選択するだけで、画面上に金額が表示され、しかもそれが手頃な価格なのです」。

「ただし、最初にいただいたデータは、製造性にかなり難点がありました」と話すのはプロトラブズの営業部で新規顧客を担当する三澤結貴。「突起や自由曲面も多かったので、各所にアンダーカットが見られました」。プロトラブズの見積もりサイトでは、製造性解析も行われますが、製造が専門ではない設計者には、具体的にどの部分をどう修正すれば問題が解決するのか適切なアドバイスが必要です。予算や納期、設計者の意図を踏まえながら、カスタマーサービスエンジニアとともに最善策を提案していくのが三澤の仕事でした。

「ほぼ毎日1時間ほど、内野様と電話でお打ち合わせをしていました」と三澤は振り返ります。「同じ画面を見ながら、電話越しに問題点を細かく検討するのです」。この方法を内野氏は高く評価します。「通常は、二次元図面を見ながら打ち合わせをすることが多く、いろいろな思い違いが生じます。しかし、プロトラブズの場合、三次元モデルを見ながら細かく確認するので誤解が起きようがありません」。

こうしたやりとりのなかで、もともと一体型だった筐体は分割され、アンダーカットは置き駒により解消、面落ちも修正されました。また、電話後にカスタマーサポートエンジニアから届いた資料についても、内野氏は振り返ります。「自由曲面を支えるリブの最小肉厚、インサート成形で組み込むナット部分の応力分散など、とても実践的な提案でした」。

「今回は、ストレスをあまり感じることがなく、当初の発想そのままに設計を完成させることができました。ほかのサービスを使うことは、もう考えられません」

「今回は、ストレスをあまり感じることがなく、当初の発想そのままに設計を完成させることができました。ほかのサービスを使うことは、もう考えられません」

日本電色工業株式会社
技術部技術開発課 主任
内野誠 氏

「ほぼ毎日1時間ほど、内野様と電話でお打ち合わせをしていました」とプロトラブズの営業部の三澤(左)は振り返る

「ほぼ毎日1時間ほど、内野様と電話でお打ち合わせをしていました」とプロトラブズの営業部の三澤(左)は振り返る

試作で手戻り防止、開発期間が半減

金型製作の前に、内野氏は最後の念押しとしてプロトラブズの切削加工で試作を行いました。これについて三澤も深く頷きます。「どんなにうまく作り上げたデータでも、微妙な嵌合の具合などは実物を見ないとわかりません。金型修正はコストに直結するので、手戻りは絶対に避けたいですね」。実際に、この試作によって基盤を収める外装部分のたわみが見つかり、内野氏はその部分にリブやねじ止めなどの補強を行いました。

また、今回の金型にはインサート成形も盛り込まれています。

「水質計の試料室は筐体にしっかり固定しておかなければ精度に影響するため、強度の高い樹脂ナイロン66GF(ガラスフィラー入り)30 を用いてそこに固定用ナットを埋め込みました」と内野氏は説明します。この樹脂は硬く、反りを起こしやすいため、試作後に抑えのねじ止め穴も追加されました。

こうした改善ののち、7 型の金型は同時進行により納期15日で完成。従来のほぼ半分の開発期間で新型水質計は市場に送り出されることになりました。

「製品開発はいつでも相反する要件との戦いです」と内野氏は話します。「”こちらを立てればあちらが立たず”の連続で、エンジニアはスケジュールや予算の制約から妥協を余儀なくされます。しかし今回は、そうしたストレスをあまり感じることがありませんでした。問題があればいつでも相談できるため集中力が持続し、当初の発想をそのまま活かして設計を完成させることができました」。

今後もプロトラブズを利用するかと訊くと内野氏は静かに頷き、こう言葉を結びました。「ほかのサービスを使うことは、もう考えられません」。