Case Study

成長戦略のパーツを成形する

オンデマンド射出成形サービスの活用で量産試作コストと時間を削減。全自動ハイエンドコーヒーマシン開発でグローバル家電市場に斬り込む。

焙煎機付き全自動コーヒーマシン「カフェロイド」

焙煎機付き全自動コーヒーマシン「カフェロイド」


User’s Profile

日本電熱株式会社

http://www.nichinetu.co.jp/

本 社 : 長野県安曇野市三郷温3788番
創 立 : 1946年3月15日
資本金 : 9,500万円
従業員数 : 165名 (2017年4月 現在)
事業内容 : 産業機器事業(シーズヒーター、カートリッジヒーター等各種産業用電熱機器および関連制御機器製造販売)、ライフ機器製品事業

創業70年を機に、新たな成長への布石として家電への再挑戦を決めた日本電熱株式会社。長年培った熱制御技術を駆使して生み出した第一弾製品は、焙煎機付き全自動コーヒーマシン「カフェロイド」。焙煎から豆挽き、抽出まで繊細な調整を可能にするそのマシンは、味や香りのみならず、目にも愉しい遊び心でコーヒーファンの心をつかみます。この製品内全21種類の機構パーツ製造を、低コスト、高品質、短納期で支援したのは、プロトラブズのオンデマンド射出成形でした。

家電に再挑戦、世界にまだない製品

「さらなる成長への足がかりとして、家電に再挑戦します。しかし、低価格低機能ではとても市場競争に勝てません。そこで今回は、ハイエンドにこだわりました」と話すのは、日本電熱株式会社で開発グループを率いる西原剛氏。同氏は今年、エンジニアの小池幸司氏とともに焙煎機付き全自動コーヒーマシン「カフェロイド」を世に送り出しました。

日本電熱株式会社は、長年のものづくり実績を持つ機器メーカー。熱制御技術を武器に産業用・民生用の電熱機器を手がけ、業界で知らないもののない中堅企業です。以前は家電市場で国内最大手と肩を並べるほどのOEM メーカーでしたが、中国などアジア勢の価格攻勢で商品がコモディティ化するにつれ、より収益性の高い産業機器にビジネスの軸足を移しました。

しかし昨年、創業70 年を機に新たな収益の柱として家電再挑戦の声があがり、経営トップの指揮のもと新製品が生み出されました。それがこの焙煎機付き全自動コーヒーマシン「カフェロイド」です。「以前もこのタイプの製品は手がけていたのですが、昔と同じものをコピーしてもつまらない」と話すのは西原氏。

小池氏とともに焙煎のノウハウから学び直し、ほぼ一年をかけて製品コンセプトを煮詰めました。

タッチパネルの簡単な操作で豆の炒り具合、挽き加減、給湯温度を調整し、自分好みの一杯を選ぶことができるこのコーヒーマシンは、バリスタが淹れる贅沢な一杯を全自動で再現し、しかもそのプロセスのひとつひとつがコーヒー好きの心を捉えます。

「コーヒー関連の展示会で使用説明をすると、最初は皆、怪訝な顔をするのですが、説明が終わる頃には満面笑みになっています」と小池氏は話します。「プロのハンドドリップをここまで全自動で再現できるマシンは国内、いやもしかすると、世界にまだないかもしれません」。 

手厚いサポート、初心者でも安心な金型設計

カフェロイド設計の道のりはしかし多難を極めました。「とにかく部品が収まらない」と小池氏は当時の苦労を振り返ります。「産業機器なら外装の形状を少し変えれば済みますが、これは高級家電。デザインを設計の都合で変えるわけにいきません。基盤を変形させたり、配線の配置をずらしたりしてコンマ5mm 単位の調整を重ね、なんとかスペースを作り出しました」。

難所はレイアウトだけではありません。日本電熱では鋼材系金型は日常的に製作していますが、家電パーツの射出成形は、しばらく遠ざかっていたため不慣れでした。「正直なところ、射出成形については右も左もわからない、お手上げの状況でした」と小池氏打ち明けます。

そんなとき、西原氏が偶然見つけたのがプロトラブズのサイトでした。「パーツの3D データをアップロードするだけで、見積もりや製造性の確認ができる、というところに惹きつけられました」と西原氏。さっそく小池氏にその情報を伝え、小池氏は即座に耐熱パーツの3D データを作り、プロトラブズの見積もりサイトにアップロード。「すぐに抜き勾配やひけなど、修正点のアドバイスが返ってきたので、びっくりしました」と小池氏は話します。

その後、プロトラブズの担当営業や技術エンジニアの力を借りながら小池氏はカフェロイドの機構部品21 点を仕上げます。「流体解析の結果などを踏まえ、パーツの製造性について営業や技術の方と電話で細かく話せるので、初心者でも金型設計に心配はありません」と小池氏はプロトラブズのサポート体制を評価します。
西原氏はこれを「プロトラブズの教育効果」と呼んでいます。
「樹脂パーツの金型設計を一から新人に教え込むのは大仕事です。しかし、今回のようなかたちでやれば、新人は難しいところだけ先輩に学べばいい。その意味で効率的です。また、プロトラブズからで学んだ射出成形のノウハウは、家電市場を攻めいてくうえで、われわれ開発部隊全員の資産になります」。

量産試作コストと時間を削減、技術力をアピール

西原氏はもうひとつ、プロトラブズの製造サービスの品質についてこう話します。「焙煎や給湯に関わるパーツは、3Dプリンターでは作れません。熱で変形するし強度も精度も足りないからです。だから今回のように、量産試作の段階から本番の樹脂で一気に作り上げてしまう方がいい。そのぶん試作のコストと時間が削減できます。実際、プロトラブズにお願いしたパーツは、耐熱性のものも含めすべて手戻りなく一回の成形で組み上がりました」。

カフェロイドのターゲットは「コーヒーにこだわりのあるユーザー」がメイン。したがって経営層にとっては今後の市場開拓と売れ行きが何よりも気がかりです。しかし、売れ行きを見る前にすでにこの製品が日本電熱のビジネスに活気をもたらしている、と西原氏は指摘します。「カフェロイドの開発では委託先とコラボレーションも行っていますが、機構、電気、ソフトウェアの大半の部分はすべて自前です。その技術力が認められたのか、他のメーカーからの協業の依頼がすでにたくさん届いています」。今後の開発案件でパーツ製造はどうするかという問いかけに対し、西原氏は力強くこう応えました。「高品質、ハイスピード、低コストが魅力の、プロトラブズの製造サービスしかありません」。

「パーツの3D データをアップロードするだけで、見積もりや製造性の確認ができる、というところに
惹きつけられました」と西原氏(右)

「流体解析の結果などを見ながら、パーツの製造性について営業や技術の方と電話で細かく話せるので、初心者でも金型設計を進められます」

日本電熱株式会社
開発グループ
小池幸司 氏



「今回のように本番の樹脂で一気に作り上げれば、量産試作のコストと時間も削減できます。実際のところ、今回プロトラブズにお願いしたパーツはすべて手戻りなく一回の成形で組み上がりました」

日本電熱株式会社
開発グループ長
西原剛 氏