プロトラブズの切削加工パーツで金メダルを獲った「モンスター」マイク

Moto KneeとVersa2による新しい義足システムを左足に装着した 「モンスター」 マイク・シュルツ選手の近影。

「モンスター」ことマイク・シュルツ氏の人生を変える事故が起ったのは、2008年。ミシガン州アッパー半島の奥地アイアンウッド付近の雪に覆われ凍ったコースでの、スノーモービルのレース中でした。シュルツ氏は高性能スノーモービルによるレースの経験豊富なベテランでしたが、集団の中で順位を上げようと加速したときコブにぶつかってしまい、スノーモービルは激しく左右に振れました。「スロットルで脱けようとしたけど駄目だった」と、シュルツ氏は回想します。空中に強く放り出され、両脚から着地しました。衝撃で左膝が反り曲がり、180度「変な方向に」、過伸展してしまいました。雪の中に倒れ、トレイルで流血し、激しい痛みを感じながら、「(脚が逆方向に折れて)自分の胸の上にブーツの底があるのが見えました。」

悪夢のような苦痛の中、救急車で2時間以上かけて最寄りの外傷専門病院(ミネソタ州ダルース)に運ばれましたが、過伸展により脛骨高原が複雑骨折し、下肢に血液を供給する大動脈が切れていたことが判明。大きな外傷と出血による合併症が生じたため、3日後に左脚を膝上で切断することになりました。しかし術後数カ月のうちに、「モンスター 」マイクはガレージで自ら設計・製作した義足と義足によって、再びスノーモービルに乗ることができたのです。そしてなんとそれから12年のあいだに、彼は世界的なパラリンピック選手となっていきます。2018年パラリンピックで金メダルと銀メダルを獲得し、さらにモトクロス、スノーバイククロス、スノーボードなど、さまざまなウィンタースポーツの大会に出場して他にも金銀のメダルを獲得。彼はつい先日もコロラド州アスペンで開催されたXゲームズの 2020年冬期大会に出場してきたところで、Xゲームズではじつに10回目となる金メダルを獲得しました。

 

「モンスター」ことマイク・シュルツ氏がプロトラブズ社製のパーツを使って開発したMoto KneeとVersa Foot2を組み合わせたシステムの1例。

「モンスター」マイクとプロトラブズがパートナーシップを締結

アスペンで開催されるXゲームズに向け、ミネソタ州出身であるシュルツ氏と当社は先日、パートナーシップを結びました。Moto KneeとVersa Foot2を組み合わせた彼の最新義足を構成するパーツをともに製作し、これにより彼は最高のパフォーマンスを達成することができました。彼は最近、Fox Newsにこう語っています。「義肢装具は私のパフォーマンスに直接影響します。これなしでは今のようにはできないでしょう。」

シュルツ氏は、アダプティブスポーツの大会に出場していた時期に、他の多くの切断者にも自分が開発する装具が役立つのではないかと気づいたと言います。そこで2010年にBioDapt社を設立しました。BioDapt社は、アクションスポーツ等の物理的要求の高い活動に使用される高性能の下肢装具パーツを設計・製造・販売する会社です。

実際、2018年に開催されたパラリンピック(韓国)では、シュルツ氏によれば15人の選手が彼とBioDapt社が製作した装具を使用し、そのうち11人がメダルを獲得しました。「ものすごく張り合いがあります」と、先日の当社社員とのミーティングでシュルツ氏は語りました。「他のアスリートを助けることができるのは最高です。」

 

プロトラブズUS本社を見学するマイク・シュルツ氏

アルミ切削加工パーツによるソリューション

シュルツ氏は、Moto KneeとVersa Foot2システムのパーツの製作に、当社のCNC切削加工サービスとA6061アルミニウムを採用しました。軽量ながら耐久性があり、耐腐食性も高いことがアルミニウムを選んだ理由です。実際に当社が製作したパーツは、耐久性向上のため再設計したパーツと、膝と足の間により自然な可動域を得るため完全に新規に設計したパーツを組み合わせたものでした。シュルツ氏は、試作用としても、また「すぐに競技に使えるオンデマンド生産パーツ」としても、「高品質の切削加工パーツを迅速かつ確実に提供してくれる」と当社を評価しています。その例を挙げましょう。先日当社の社員らに語ったように、彼はXゲームズアスペン大会に向けて、義足の足の部分と膝の部分をつなぐ、複雑なカスタム・リンケージ・システムを作っていました。「足首と膝の両方で屈曲範囲をもっと広げるためにさらに小型化、軽量化し、フィットと仕上げも向上させようと頑張りました。BioDapt社のデザイナーと協力して、すべてをぎりぎりまで修正し、そしてプロトラブズに送って短時間でパーツを製作してもらいました」。最終調整の内容を土曜日の夜にプロトラブズに送り、一晩で加工してもらうよう依頼しました。そして実際、日曜日の朝にはパーツが納品され、シュルツ氏は翌日にはXゲームズに出発することができたのです。シュルツ氏は当社社員らに、「ほんとうに信じられないようなサービスです」と笑顔で語りました。

彼はまた、私たちの事業が人々にどのようにつながっているかを、当社に思い出させてくれました。「自分の会社によって私は素晴らしいことができる。人を助けることができるのです。私自身が競技をできるだけでなく、他の障害者アスリートを支援することもできる。これこそが、この事業の素晴らしいところです。現代の製造・設計技術で、こんな素晴らしい道具を作ることができるのですから」