Case Study

農業革新のパーツを創る

工業エンジニアの発想で業界の常識を覆し、 超軽量合金の新型ドローンを開発した、石川エナジーリサーチ。 オンデマンド製造サービスで短期開発、コスト削減を実現。

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User’s Profile

株式会社石川エナジーリサーチ

http://www.ier.co.jp/

本 社 : 群馬県太田市大原町2225-41
創 立 : 2010年5月14日
資本金 : 5,500万円
代表取締役社長 : 石川 満
事業内容 : 熱交換器設計・開発、熱エネルギーシステム開発・試験、制御基盤設計・開発/設計支援CAD

超軽量マグネシウム合金で作られた、艶やかで強固なフレーム。独自開発による折りたたみ機構と電動モーター。ユーザーに優しい上蓋オープン式の詰め替え用タンク。コバルトブルーに輝くその機体には、日本の工業エンジニアリングで鍛え上げられた発想と技が詰まっています。これは、群馬のベンチャー、石川エナジーリサーチが開発した農薬散布用電動式ドローン「アグリフライヤー」。東南アジアの農業関係者が熱い視線を送るこの新製品のパーツ製造を、低コスト・高品質・短納期で実現したのは、プロトラブズのオンデマンド製造サービスでした。

長時間飛行ドローン、業界の不思議

2010 年創業の石川エナジーリサーチは、本田技術研究所をスピンアウトしたエンジニアたちが起業したものづくりベンチャーです。これまでヒートポンプをコア技術に熱交換器や熱エネルギーシステムを手がけてきましたが、先ごろ産業用電動式ドローンを発表し、業界の注目を集めています。

「もともとはエンジンを家庭用機器に使えないかと考えていたのです」。ドローン開発の経緯を問われた石川満社長はそう話しはじめました。「エンジンというのは素晴らしい機関ですが、使えるのは自動車、オートバイ、船、飛行機など、特定の製品領域に限られています。しかし振動のないエンジンなら、その使用領域が広がるのではないかと考えました」。

2015年、ちょうどエンジン開発が端緒についたとき、NEDO (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による長時間飛行ドローン開発の公募があり、石川氏らは無振動エンジンがそこに使えるのではないかと応募を決定します。

そこで提案されたのは、エンジン搭載ハイブリッド型測量用ドローン。これは見事にNEDO の採択を受け、石川エナジーリサーチのドローン開発が始動しました。

 

ところが市販のドローンを調査してみると、強度、剛性、耐久性はもとより、部品の累積公差といった工業製品としての基準があまり明確になっていません。さらにそこに「業界の常識」という不思議が加わります。「そもそもなぜ素材はカーボンファイバーなのか? アームは本当にたわませる必要があるのか?」。

石川氏らは、本田技研時代に培われた工業エンジニアリングの経験と知識を総動員して、ドローン開発を一から見直すことにしました。

オンデマンド製造、短期開発を支援

2016 年、NEDO のドローン開発プロジェクトが長引くなか、ベンチャーとして製品化を急ぐ石川エナジーリサーチは、それまでのノウハウをもとにバッテリー交換式ドローンの短期開発を決定します。

開発の指揮にあたったのは設計部副部長の福田太郎氏。「フレームにしなりがあると剛性値が積み重なり挙動が安定しないので、強度と軽さを兼ね備えたマグネシウム合金をフレームに採用し、NEDO プロジェクトのコンセプトデザインを使って形状を煮詰めました」。

設計の骨格は決まったものの、福田氏にとって一番の気がかりは開発のスピードとコスト。委託製造したパーツを組み立てて作る今回の短期開発では、部品製造が鍵を握ります。福田氏は、製造委託先の候補をリストアップし、納期、イニシャルコスト、最終コストの比較表を作って選定にあたりました。

「スピードとコストを比較して、圧倒的に他を抜き出ていたのがプロトラブズのオンデマンド製造サービスです」と福田氏は話します。「通常3 ヶ月かかる射出成形パーツが3 週間と聞いてびっくりしましたが、実際にその通りに納品されたときは本当に信じられませんでした。コスト面でも50% ほどの削減につながりました」。

 

「プロトラブズのサービスは、デジタルエンジニアリングの流れにうまくはまっていくでしょう。速くて精度がよく、しかもコストが抑えられるので、ベンチャーにとって最適な製造サービスです」

「プロトラブズのサービスは、デジタルエンジニアリングの流れにうまくはまっていくでしょう。速くて精度がよく、しかもコストが抑えられるので、ベンチャーにとって最適な製造サービスです」

石川エナジーリサーチ
代表取締役社長
石川 満 氏

「メリットとしてまず挙げられるのは、速さ。通常3ヶ月かかる金型が本当に3 週間で仕上がったときには驚きました。そして価格。他と比べて 5 0 %ものコストカットができました」

「メリットとしてまず挙げられるのは、速さ。通常3ヶ月かかる金型が本当に3 週間で仕上がったときには驚きました。そして価格。他と比べて 5 0 %ものコストカットができました」

石川エナジーリサーチ
設計部副部長(主任研究員)
福田 太郎 氏

「スピードとコストを比較して、圧倒的に他を抜き出ていたのがプロトラブズのオンデマンド製造サービスです」と福田氏(左)

「スピードとコストを比較して、圧倒的に他を抜き出ていたのがプロトラブズのオンデマンド製造サービスです」と福田氏(左)

福田氏は切削加工による試作でプロトラブズの製造品質を確かめたあと、実機の部品を発注します。「モーター部分のカバーにはABS 樹脂、折りたたみアームのジョイントにはグラスファイバー入りナイロン樹脂、農薬ポンプ下のフリンジにはPP 樹脂を指定しました。材料の選択肢に制限のある3Dプリンタではこうはいきません。また、こちらの求める精度も出せません」と福田氏は話します。

このほかにもまだ満足した点がある、と福田氏は続けます「。オンラインでの自動見積もりや設計データの製造性解析もユーザーにとって大きなメリットとなりますが、必要なときにいつでも対応してくれるテクニカルスタッフの存在が心強いですね。

製造前に3 次元データの完成度をしっかり高めておくことができ、最終工程での手戻り等のリスク回避に繋がりました」。

新規コア事業、ロボティクスにも挑戦

「じつは今回開発したドローンは、すでに東南アジアの方から引き合いがきています」と石川氏は打ち明けます。「日本の品質を信頼してくれている、その声にしっかり応えていきたいですね。これまで培ってきた工業技術が、アジアの農業革新に貢献できるならとても嬉しい。また、うちのエンジニアたちは動くモノが好きですから、その意味でもドローンとは相性がいい」。

今後、石川エナジーリサーチは滞空時間2 時間のエンジン搭載ハイブリッド型ドローンの完成を急ぐとともに、AI を使った自動運転ドローンの開発も進めていく計画です。産業用ドローンを新しいコア事業に育てながら、ロボティクスにも挑戦していきたいと石川社長は意気込みを語ります。「世界のドローン市場はいま中国メーカーが大きなシェアを持っていますが、クルマづくりで磨いた工学の技で斬り込んでいきます」。

製品開発の競争力を高めるため、デジタルマニュファクチャリングの強化も行うと語ったのち、石川氏はこう言葉を結びました。「ほとんどのプロセスがオンラインでスピーディに進んでいくプロトラブズのサービスは、まさに現在のデジタルマニュファクチャリングの流れにうまくはまっていくのではないでしょうか。速くて精度がよく、しかもコストが抑えられるので、ベンチャーにとっては大変ありがたい製造サービスです」。