Case Study

液体調味料の風味を守るワンプッシュの容器

簡単な再充てんとお手入れを実現

User’s Profile

ハチスプロダクト株式会社
液体調味料の風味を閉じ込め、その品質を長期間保持するフレッシュキープディスペンサー <ミタス>の企画・開発・販売を行う他、試作開発業務受託も行っている。代表を務める佐々木洋一氏は、元オートバイのレーサーという異色の経歴を持ちながら、その後自動車関係の業界で技術者として設計や解析に関わってきた経験を活かして、本当に作りたいものを開発するために2013年4月にハチスプロダクト株式会社を設立した。

液体調味料の風味を閉じ込めて長期保存を実現する「ミタス」は、使いやすさも追求したこれまでになかった製品で、2013年4月に創業したばかりのハチスプロダクト株式会社が開発しました。リソースが限られる製品開発ベンチャーのチャレンジは設計品質を確保しつつ、納得のいく品質の製品を小ロットで製造することでした。同社はプロトラブズの提供しているネットで利用できる解析機能を3D設計に活用して、射出成形による小規模量産を実現しました。

解析技術者から製品開発ベンチャーへの転身

醤油が使い切れずにいつの間にか風味が落ちてしまった、という経験をしたことはないでしょうか。家庭でも業務でも液体調味料や食用油は品質が保持された状態で使いたいと誰もが思うものです。それを実現するためには、酸化や芳香成分の飛散を防止して、長期間にわたって保存できることが重要ポイント。しかし、そのためのソリューションは案外見当たりま せん。そこに着想を得たハチスプロダクト株式会社の代表取締役 佐々木洋一氏は、液体の酸化防止や芳香成分の飛散防止に役立つ技術を開発し、特許の取得と製品化に着手しました。その成果が調理用器具である「ミタス」と呼ばれるフレッシュキープディスペンサーです。この製品を開発した佐々木氏は、実は元オートバイのレーサー。 レーサーを引退後は、オートバイの部品メーカー、さらにそこから転身したのが自動車開発のCAEエンジニアという一見異色のキャリアを持っています。しかし、佐々木氏自身にとっては、これまでのキャリアがミタスの開発につながったことは意外ではないと言います。なぜなら、自動車やオートバイでも、オイルをはじめとして様々な液体を多用し、それらの液体の品質も非常に重要なも のだからです。ポンプ機構、バルブ、流路設計といったエンジニアリングに関わってきた佐々木氏にとって、自分のこれまでの経験を活かして新しい製品を開発し、ビジネスを起こすことはむしろ自然な展開だったのです。

3D設計を上手に活用した製品開発

今回の製品開発における重要なポイントの一つが3Dでの設計です。「現在、設計業務はGeomagic Designという3D CADを使用して進めています。設計工数の観点からも、二次元図面上で 複数のパーツの関係性を確認していくなど考えられません」と 佐々木氏は言います。 3Dを活用して設計を進める佐々木氏が出会ったのが、プロトラブズのネットでたのめる射出成形サービスProtomold でした。まず、佐々木氏が好評価するのが双方向見積りシステム ProtoQuoteです。3D CADのデータをアップロードするだけで 数時間のうちに見積りだけではなく、その製造性の図解を3D ビューワで確認することができます。「これがあるとずいぶん違う のです」と佐々木氏は言います。通常、射出成形を依頼しようとしても、見積り回答を得るだけでも2、3週間かかることは珍しくありません。その間は何のフィードバックもなく、手持ち無沙汰の状態が続きます。それに対して佐々木氏は、「ProtoQuote は設計のブラッシュアップにもとても役に立つのです。数時間で 見積りと製造性が確認でき、それを元に設計変更を行い、すぐ にその影響を確認する、ということを繰り返すことができます。 つまり同じ形状を納得いくまで詰めていくことができるのです」と 設計上のメリットも指摘しています。「細かいことですが、『ここの抜き勾配を変えると、今度はこちら側 の形状ではNGになった』などの反応が大変にわかりやすいのです。これを繰り返すことで形状を納得いくまで調整することができますし、ProtoQuote上で成形OKとなったものについては、プロトラブズ さんはきちんとコミットしてくれますので安心して進めることが できました」と佐々木氏はProtomoldのメリットを述べています。

シミュレーションを活用して
コストメリットの高い小ロット生産を実現

さらに、佐々木氏が効果的なツールとして挙げたのがプロトラブズ 独自の樹脂流動解析であるProtoFlowでした。「プロトラブズさんには、異形状多数個取り、という製造技術者泣かせのことをお願いしました。製造の難しさは増しますが、コストメリットを考えるとこ のオーダーは譲れなかったのです」と佐々木氏は振り返ります。

加えて、すべてのパーツに同時に樹脂を充てんさせるために重要なのがランナーの配置です。ここで効果を発揮したのが ProtoFlowです。「ランナーの配置を何度もシミュレーションすることで、無事に実現することができました。当初は、本当に樹脂が回るのか、という懸念からスタートしましたが、ProtoFlowの 活用でしっかりと成形を進められると確信したうえで発注することができました」とその成果について述べています。

小規模量産でも最適なコストで生産

3Dデータの活用は、設計の効率化をもたらしましたが、金型の コスト自体も重要なポイントでした。製造量に比して一般的な量産型はコストがかかります。「一般的な金型メーカーでは、どうしても試作型よりも量産型に話が流れ、小規模の生産量に対応してくれるところを探すのは難しいのが現実なのです」と佐々木氏は振り返ります。プロトラブズでは、ITベースの製造プロセスによる自動化とアルミ型を使用するため、金型コストを比較的抑えることができます。当初は、アルミ型では、あまり数を打てないのではないか、という懸念はあったものの、1万個でも生産できるとのことで初期の生産量から考えても問題なく、コストの観点からも満足のいく製造を実現できたと語ります。 今後、同社ではデザイン性をさらに高めた商品の開発などを企画しており、この技術を活かした他分野(化粧品、理化学、医療) の市場での活用が、ますます期待されます。

フレッシュキープディスペンサー「ミタス」は、ハチスプロダクト取得 の 特 許を活用した日本 生まれの新しい容器。液体調味料の風味 長期間保ち、使い勝手との両立も 実現。プロユースから一般までの活用が期待される。
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